二年目の春・6
「あの、過去に告白した人居たんですよね? その……幸せになった人って居るんですか?」
「遠い昔には政略結婚のように本人の意思と関係なく結婚する際に使われたこともあるそうよ。 それは幸せだったかは分からないけど生涯添い遂げたみたい。 ただここ百年ほどは幸せになった人は居ないわね。」
アナスタシアが渋々横島の頼みを引き受けると少女達は安堵と少しもったいないと言いたげな人に分かれたが、のどかはふと過去に告白した人の話に興味を持ち聞いてしまう。
実は明治以前には武家や公家などの政略結婚に利用されたこともあるようでこちらは詳しい資料はないものの生涯添い遂げたらしいが、明治以降は関東魔法協会が禁止したにも関わらず密かに告白してしまった魔法関係者が何人か居たものの最終的に幸せになった人は誰もいないと語り具体的な内容は明言しなかった。
内容が少女達はともかく幼いタマモに聞かせていいような話ではないので言えないと言った方が適切だろうが。
「前は裏技みたいなものだけど別の縁結びの強力な魔力が働く旅館の別館で別の人と縁結びすると多少は中和されて時間を掛ければ世界樹の効果の解除も出来たらしいけど、その旅館の別館が何年か前に無くなったみたいでね。 だから今年は本当にどうしようもないみたい。」
告白成就という甘い見せ掛けの幻想に少し夢を見ていた少女も流石にここ百年では幸せになった人が居ないと言われると事態の深刻さを理解したようで顔を青ざめてしまう。
そもそも人の気持ちなど移り変わるものなのだ。
告白された側は魔法により強制的に洗脳されたように愛するようになるが、そんな偽りの愛に告白した側が一生満足して双方幸せになるなどあり得なかった。
ちなみに刀子いわく多少中和する方法も前回まではかなり粗っぽいがあったらしい。
しかし数年前にとある若者が縁結びの魔力に逆らった為にその旅館の別館が全壊してしまい使えなくなっている。
「ああ、美味しい。 このお出汁は素晴らしいです。」
「妹ヨ。 話ヲ全ク聞イテナイデ食ッテルノオマエダケダゾ。」
なお刀子の話に改めて魔法の恐ろしさを知る少女達だが、意外なことに話を全く聞いてなくただ己の世界に入り料理を味わっていたのは他ならぬ食事が出来るようになった茶々丸であった。
まあタマモは例によって話の内容を理解してなくチャチャゼロは興味がないのでハニワ兵を相手に酒を飲んでいたが。
「恐いですね。」
「マスターとアナスタシアさんが居てよかったね。」
「でもさ、その告白でみんな愛してるとかって叫んだらどうなるんだろ?」
「流石にそこまで馬鹿なことを身を持って試した人は居ないと思うわ。」
なんというか茶々丸の幸せそうに食事をする姿に和んだ少女達はまたもや魔法の価値が下落していたが、それに対しては特に問題もなくみんな食事を再開することになる。
まあ少なくとも横島とアナスタシアが居る限り自分達に影響はないと理解すればこその楽観的な態度だったが。
「困った時は魔王様に頼むのが一番ね。」
「じゃあ、私達は魔王様のしもべかなんかかな?」
「チャチャゼロに刀子さんと高畑先生に刹那さんは魔王様の四天王とか?」
その後少女達の話題は魔王様と自分達の関係になり、勝手にアナスタシアを魔王とする魔王軍が出来上がることになる。
ただここで揉めたのは横島とタマモをどのポストにするかであるが、少女達の話のネタにされている横島とアナスタシアは疲れたように苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
アナスタシアとしても魔王の異名に未練はないが、年端もいかぬ少女のネタにされるようになるとは思いもしなかったらしい。
かつては冗談抜きにして泣く子も黙ると恐れられただけに複雑な心境にはなるようである。
「遠い昔には政略結婚のように本人の意思と関係なく結婚する際に使われたこともあるそうよ。 それは幸せだったかは分からないけど生涯添い遂げたみたい。 ただここ百年ほどは幸せになった人は居ないわね。」
アナスタシアが渋々横島の頼みを引き受けると少女達は安堵と少しもったいないと言いたげな人に分かれたが、のどかはふと過去に告白した人の話に興味を持ち聞いてしまう。
実は明治以前には武家や公家などの政略結婚に利用されたこともあるようでこちらは詳しい資料はないものの生涯添い遂げたらしいが、明治以降は関東魔法協会が禁止したにも関わらず密かに告白してしまった魔法関係者が何人か居たものの最終的に幸せになった人は誰もいないと語り具体的な内容は明言しなかった。
内容が少女達はともかく幼いタマモに聞かせていいような話ではないので言えないと言った方が適切だろうが。
「前は裏技みたいなものだけど別の縁結びの強力な魔力が働く旅館の別館で別の人と縁結びすると多少は中和されて時間を掛ければ世界樹の効果の解除も出来たらしいけど、その旅館の別館が何年か前に無くなったみたいでね。 だから今年は本当にどうしようもないみたい。」
告白成就という甘い見せ掛けの幻想に少し夢を見ていた少女も流石にここ百年では幸せになった人が居ないと言われると事態の深刻さを理解したようで顔を青ざめてしまう。
そもそも人の気持ちなど移り変わるものなのだ。
告白された側は魔法により強制的に洗脳されたように愛するようになるが、そんな偽りの愛に告白した側が一生満足して双方幸せになるなどあり得なかった。
ちなみに刀子いわく多少中和する方法も前回まではかなり粗っぽいがあったらしい。
しかし数年前にとある若者が縁結びの魔力に逆らった為にその旅館の別館が全壊してしまい使えなくなっている。
「ああ、美味しい。 このお出汁は素晴らしいです。」
「妹ヨ。 話ヲ全ク聞イテナイデ食ッテルノオマエダケダゾ。」
なお刀子の話に改めて魔法の恐ろしさを知る少女達だが、意外なことに話を全く聞いてなくただ己の世界に入り料理を味わっていたのは他ならぬ食事が出来るようになった茶々丸であった。
まあタマモは例によって話の内容を理解してなくチャチャゼロは興味がないのでハニワ兵を相手に酒を飲んでいたが。
「恐いですね。」
「マスターとアナスタシアさんが居てよかったね。」
「でもさ、その告白でみんな愛してるとかって叫んだらどうなるんだろ?」
「流石にそこまで馬鹿なことを身を持って試した人は居ないと思うわ。」
なんというか茶々丸の幸せそうに食事をする姿に和んだ少女達はまたもや魔法の価値が下落していたが、それに対しては特に問題もなくみんな食事を再開することになる。
まあ少なくとも横島とアナスタシアが居る限り自分達に影響はないと理解すればこその楽観的な態度だったが。
「困った時は魔王様に頼むのが一番ね。」
「じゃあ、私達は魔王様のしもべかなんかかな?」
「チャチャゼロに刀子さんと高畑先生に刹那さんは魔王様の四天王とか?」
その後少女達の話題は魔王様と自分達の関係になり、勝手にアナスタシアを魔王とする魔王軍が出来上がることになる。
ただここで揉めたのは横島とタマモをどのポストにするかであるが、少女達の話のネタにされている横島とアナスタシアは疲れたように苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
アナスタシアとしても魔王の異名に未練はないが、年端もいかぬ少女のネタにされるようになるとは思いもしなかったらしい。
かつては冗談抜きにして泣く子も黙ると恐れられただけに複雑な心境にはなるようである。