二年目の春・6

「どうだ?」

「良好です。 問題ありません。」

さてパーティが終わったその日の夜はいつものメンバー以外の3ーAの少女達が帰った店内にて茶々丸が新型の茶々丸専用有機ボディに交換していた。

見た目は超鈴音製新型ボディとほぼ変わりないものの、身体を部分的に無機物に変換出来る機能を搭載したため特徴的な耳などは茶々丸の意思で自由に変換出来る。


「あとその腕時計型通信機も茶々丸ちゃんの専用品な。 ボディには必要以上の機能付けてないけど、それで前のボディと同じ程度の演算とか索敵とか出来るようにしたから。 あとみんなと同じ魔法機能も。」

元はドクターカオスが最晩年に設計したMシリーズを基本に横島が造ったもので、実は横島一人で造るのは初めてのことだったりする。

高校卒業後に妙神山に移住した横島は異空間アジトを手に入れるとカオスが住み着き、ルシオラの知識や技術を求めるカオスに半ば無理矢理に手伝わされたりしたが横島一人だけで人造人間を開発したことはないのだ。


「茶々丸さんが人間になっちゃった。」

ちなみに茶々丸の有機ボディの一件を知らなかったまき絵と亜子は信じられないような表情で目の前の光景を眺めていた。


「良かったねタマちゃん。 一緒にご飯食べたいって言ってたもんね。」

「うん!」

他の少女達は以前に試験的に有機ボディになったのを見ているのであまり驚きはないが、茶々丸の有機ボディを誰よりも待ち望んでいたタマモはご機嫌な様子で茶々丸にパーティの残りのご馳走を運んでいく。


「もし気付かれたらどうするの?」

「気付かれたらエヴァちゃんと学園長先生に聞いてくれって言っとけばいいだろ。 ダメなら俺が造ったって言っても構わんけど。」

「横島さんの名前を出すのはダメですわ。」

茶々丸自身も二度目なので有機ボディの五感の感覚に慣れているようでタマモが運んで来た食事をさっそく食べ始めるが、幸せそうに食事をする茶々丸を眺めながら横島と少女達は茶々丸の有機ボディがバレた時のための話を始めた。

一応擬装工作はしたが天才超鈴音が自分の発明でないと気付く可能性は十分にある。

横島としてはエヴァと近右衛門に聞いてくれと説明を丸投げすることを提案するも、最悪自分が造ったとバレても構わないと軽く考えていた。

どうせ今の超鈴音に出来ることなどたかが知れてるし、誰が造ったか知られてもそれ以上は調べようがないので楽観的にもなるのだが。

ただ少女達は当然ながら楽観的など横島の意見に反対して、超鈴音に横島の秘密の一端でも見せるのは危険だと言い切る。


「まあそう心配することもあるまい。 ジジイがなんとかするだろう。」

結局茶々丸には何も言う権限がないということにして面倒な説明は近右衛門に丸投げすることに決まる。

アナスタシアは別に自分に聞きに来ても教えないと言って終わりなので、最終的に近右衛門が納得なり諦めさせることになった。


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