二年目の春・6

同じ頃麻帆良にとって切り札の一つになるであろう無人惑星の開発だが、こちらは魔法世界からの移民の受け入れを考慮して当初の予定していた拠点となる街などはすでに完成していていたが開発が続けられていた。

しかしいかにハニワ兵達と異空間アジトの力を持ってしても十二億とも言われる生命を受け入れる星を開発するのは簡単ではない。

それに十二億全てを移民させることは現実には恐らくないだろうし、そこまでするなら密かに魔法世界を救った方がいい。

現実問題として救っても厄介だが見捨てても厄介なのが魔法世界であり移民自体は選択する可能性としてはさほど高くなく、メセンブリーナ連合が帝国やアリアドネーなどの魔法世界固有の人々を見捨てようとした場合などには移民による救済も一つの選択しになる程度だろう。

加えて可能性というならば地球側の情勢の変化などにより日本の魔法関係者やその支援者達の移民になる可能性もあり得る話であり、横島達とハニワ兵達の別荘惑星になる可能性だって十分にある。

無人惑星自体が異空間アジトではない麻帆良がある世界の外宇宙に存在する星なので、横島やハニワ兵にとっては最悪魔法世界や麻帆良の人々にあげても別に困らないだけに使い道は意外にいろいろあった。


「ぽー?」

なお現在は無人惑星各地にある資源の採掘が始まっていた。

土偶羅の調査により資源の分布は判明していて、鉱石関連は効率がいい露天掘りなどを中心に最新型のカオスフライヤー型無人重機により採掘が行われている。


「ぽー。」

ハニワ兵達は無人重機のコントロールと現場管理を行っているが、無人重機が高性能なためトラブルらしいトラブルは全くなくぶっちゃけ暇であった。

彼らは重機のコントロールと管理をする為の専用カオスフライヤー内部にて快適な環境で仕事をしているものの、本当に見てるだけの仕事なのでハニワ兵達にはあまり人気がない仕事である。

ただ技術が進歩してる異空間アジトでは自動化がかなり進んでいるので、ハニワ兵達も知的作業や管理なんかの仕事が多いのが現実だった。

ちなみに工業の基礎である発電所や製鉄所などは現状ではまだ建設されてなく、電力は核融合炉搭載型のカオスフライヤーに太陽光発電などで賄っていて製鉄もカオスフライヤー型工作船により通常の鉄鋼製品くらいならばある程度製造出来ている。

これに関しては無人惑星を誰が使うか分からないので異空間アジトの技術では建設出来ずに、地球側と魔法世界側のどちらの技術で文明を構築するか決まってないことが影響していた。


「ポポー!!」

そしてハニワ兵達に人気の仕事の一つが農林水産業だったりする。

農業は耕作地は完成し環境などを事前調査して問題ないと判明した食品を生産することにしているが、万が一を考え少量を試験的に栽培する実地試験を始めたばかりだった。

生態系などはほぼ地球と同じで問題が起きる可能性は低いが地球では絶滅した動植物が居たりと突然変異的な問題が起きる可能性はあるのだ。

こちらは人の手ならぬハニワ兵の手がかかる仕事で毎日成長具合や土壌の変化に気候なども記録したりと忙しいが、種族的に働くことに生き甲斐を感じるハニワ兵なだけにこういう忙しい仕事が人気らしい。

現時点での目標は一千万の人を受け入れることが可能な準備であり、久々の大仕事に張り切るハニワ兵達の努力により開発は順調であった。


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