麻帆良祭への道

一方アトラクションを出た横島と木乃香は、近くの公園のベンチでタコ焼きを食べていた

美味しそうな匂いに釣られてつい買ってしまったらしい


「いや~ アトラクションで遊んで金券貰えるなんて麻帆良祭ってスゲーな」

「ウチ賞品とか初めて貰ったわ~ 麻帆良祭のイベントは賞金とか賞品出るの多いんやけど、みんな真剣だから大変なんよ」

予期せぬ金券をゲットしたことがよほど嬉しかったのか、横島も木乃香もかなりテンションが高くなっている

金券は半分ずつ分けたのだが、どうやら木乃香にとっては初めての賞品だったらしい


「そういやあ、去年の麻帆良祭のクイズ大会とか深夜のケーブルテレビで見たな」

「賞金だけでもかなりのイベントがあるんよ。 横島さんなら何かイケるんやないん?」

賞金が出るイベントの種類も多く横島ならば何か賞金がゲット出来るのではと尋ねる木乃香に、横島はしばし腕組みして悩み始める


「何か出てみようかな~ 賞金ゲットしたらみんなでパアッと使いたいな」

せっかくだから何かのイベントに参加したいと考える横島だったが、やり過ぎない程度にしなくてはならないので実は選ぶのが意外と大変だった

というか確実に勝てる種目はいくつかあるが、それはフェアじゃない訳だし


「このタコ焼き美味しいわ~」

「そうだな。 普通のタコ焼きの屋台だったのに……」

そのまま楽しそうに雑談しながら一つのタコ焼きを半分ずつ食べる横島と木乃香の姿は、端から見るとカップルにしか見えない

流石にちょっと年の差はあるようには見えるが、学園都市という性質上麻帆良では大学生と中高生のカップルも珍しくなかった


「すいません。 写真撮らせてもらってもいいですか?」

「ウチら? 別にええよ」

そんな横島と木乃香だったが、大学生らしき女性に頼まれて写真を撮られる

彼女は麻帆良大の写真サークルの人らしく、麻帆良祭用のコンテストに出す写真を撮って歩いてるらしい


「もしかするとコンテストに応募するかもしれないので、その時はよろしくお願いします」

横島と木乃香を何枚か写した彼女はさらっとコンテストに応募する可能性があると告げると、今度は違う人の写真を撮りに行ってしまう


「ウチらの写真飾られるかもしれへんなんて、なんか恥ずかしいわ~」

「木乃香ちゃんはともかく俺が写ってる限りは選ばれないな。 写真家はたくさん写真撮るから、もっと絵になる人がたくさんいるはずだし」

見知らぬ大学生に写真を撮られコンテストに出品されると聞いた木乃香は嬉しいような恥ずかしいような表情だったが、横島はコンテストに選ばれるはずがないと笑っている

実際横島達の写真を撮った人は手当たり次第に写真を撮っているのだから、木乃香も選ばれるとは思ってないようだった


「横島さんソースついてるえ~」

その時ふと横島の口元についていたタコ焼きのソースを拭く木乃香の姿を、先程の彼女が離れた場所から偶然目撃して瞬時に写真に写してしまう

その一枚の写真がコンテストに出品されてしまうのだが、流石の横島も悪意も敵意もない彼女の行動は読めなかったらしい


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