二年目の春・6

「あれ? 先生達と刹那さん? 何してんの!?」

「ちょっと体を動かそうと思ってね。」

一階のロビーに降りたまき絵と亜子はなんとなく中庭に向かうと、そこにはすでに高畑・刀子・刹那の三人が早朝から軽く修行をしようとしていた。

近くにはラジオ体操や太極拳のような動きをしているハニワ兵なんかも居て、まるで早朝の公園のような光景である。


「魔法の練習ですか!?」

「魔法と言えば魔法なんだけど僕達はどっちかって言えば戦士タイプだからね。 横島君みたく器用な魔法は使えないよ。」

まき絵と亜子の二人はさっそく魔法が見れるのかとワクワクした表情を見せるも、高畑は少し困ったように横島のようには出来ないと告げていた。

実は昨夜ホテルに来てからも横島は以前少女達に見せた火の玉でのお手玉や、他にもハニワ兵の形をした氷なんかを作って見せたりなどと魔法っぽいことをやって見せていたのだ。

ただ横島がやると呪文の詠唱もなく突然炎や氷を出すので手品にしか見えないのだが、結局はあやか達が実はあれは結構な高等技術なんだと説明するはめになっていたが。


「あれ本物!? 時代劇みたいだね!」

「危なくないんやろか。」

そのまま二人は高畑達の見学をするが刀子と刹那が本物の刀で修行を始めると、真剣の迫力に二人は興奮気味になってしまいはっきり言えば修行の邪魔になっている。

もちろん本人達は気付くはずもないし、そもそも魔法が存在すると知らされたばかりの二人には高畑や刀子達の実力なんて分かるはずもないので部活を見学してるような認識でしかなかった。


「おっ、二人とも早いな。」

「おはよう!」

「おはようございます。」

ちなみに高畑達の修行はあくまでも軽いもので基礎的な内容がほとんどだったので、まだ二人にも見て理解できる範囲であり魔法の練習ということで興味深げに見ていたまき絵と亜子の元に少しすると横島・タマモ・さよの三人が朝の散歩に来る。


「ここ海が近いんだね! 景色が綺麗だよ!」

「ああ、地球で言うハワイだからな。 この場所。 後でみんなで海にいってみっか?」

「うん! 行く行く!」

朝からテンションが高いまき絵と亜子は昨夜は暗くて見えなかった周囲の景色がよほど気に入ったのか、横島達を囲むようにして興奮気味にあれこれと話をしていく。

この日は気温も麻帆良より暖かく天気もいいので海に行くには絶好の日和であり、あとでみんなで海に行こうと誘うとまき絵と亜子に何故かタマモも混じって三人は輪になって喜び騒ぎ出す。


「横島君、私の方にも付き合ってくれないかしら?」

「付き合うーー!?」

「まき絵、その意味とちゃうわ。」

そのあとも海に行くなら水着が欲しいとか楽しげに騒ぐまき絵と亜子であるが、刀子がせっかくだからと横島に修行をに付き合って欲しいと声をかけるとまき絵が意味を勘違いしたらしく驚き慌て始める。

まき絵としては何かと怪しい刀子だけにと誤解したらしいが亜子に冷静に突っ込まれると、少し恥ずかしげに自身の勘違いに気付き謝罪をすることになり刀子や横島ばかりか周りのハニワ兵にまで笑われていたが。


「ねえ、大丈夫なのかな?」

「あんまり強そうに見えへんよね。」

まき絵のボケのおかげか普段は修行の相手なんかをあまりしたがらない横島が刀子の相手をすることになるが、二人から見ると高畑や刀子の方が断然強そうであり横島は大丈夫かなと少し不安そうに見つめていた。

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