二年目の春・6

「なんかよくわかんないけど凄いんだね!」

「ほんまや。」

結局この夜は一般的な魔法の存在と一般的な魔法より更に秘密にするべきな横島の秘密を軽く教えただけで終わっていた。

まき絵に関してはあまり詳しく教えても無駄だということもあるし、少し頭を整理する時間が必要なのは少女達の時と同じなのだ。

そんなまき絵と亜子であるがこの時に話をしていたのはいつも横島達が泊まっているホテルのバーであり、中学生では普通は入れない場所である。

ちょっと高級感あるホテルのバーで店員もお客さんもハニワ兵ばかりな姿は二人の興味をそそるようで不思議そうに眺めていた。

二人とも何度か頬をつねったりしてるところを見るとこれが本当に現実なのか、まだ半信半疑の部分が多少なりともあるようでもあったが。


「でもずるいよね。 みんなだけでこんな楽しいことしてたなんて!」

「ずるいと言われましても。」

「いろいろ複雑な背景があるんですわ。」

ただ流石に若く適応力もあるからか慣れるのも早い二人はすぐに慣れてしまうものの、すると今度はまき絵が少女達にずるいと言い出してしまい横島を笑わせていた。

一応秘密にしなきゃいけないことは理解したらしいが、ハルナの言う特典がいろいろあることに気づき出すと羨ましいという思いが出てきたらしい。


「でもなんか人が入り込めない雰囲気やったんは魔法の秘密のせいやったんやね。」

一方の亜子は横島と周囲の少女達の間には以前から他人が入り込めない何かをなんとなく感じていたようで、その一端が魔法に関わる秘密なんだと理解したようである。

まき絵は魔法よりも横島個人と少女達に興味を抱いたようだが亜子はまき絵よりは魔法に興味を抱いていて、もしかすれば背中の消えない傷を消せるのだろうかと微かな期待も抱いていていたが。


「うわー!? 海が見えるよ!!」

「どうしたん、まき絵。」

そしてここは異世界秘密の国ハニワランドなので帰れば元の時間に戻れるという至極魔法らしい説明を二人にした一同はこの日は異空間アジトに泊まることにしたが、翌朝になると窓から差し込む朝の日射しで目覚めたまき絵は窓の外に広がる綺麗な海に気付き未だ眠る亜子をたたき起こす。


「海だよ。 うみ!」

「うわ~、ほんまや。 それに街も綺麗や。」

二人が泊まった部屋からは南国特有の植物の緑が多い少し日本風の街並みと遠く水平線まで続く海だった。

建物が密集してなく南国特有のヤシの木などに芝生などがあちらこちらにある街並みは、ここが異世界ハニワランドなのだと二人に改めて理解させるには十分であろう。

よく見ると街ではハニワ兵達がすでに活動を始めていて、朝早いながら街の掃除をしたりするハニワ兵の姿が二人には印象的のようだ。

ハニワの国だとハルナが中途半端に説明したことや魔法という夢の力に二人は少し興奮して昨夜はなかなか寝付けなかったようだが、一夜明けてみると全てが夢ではなく現実なのだと改めて感じたようで騒ぐ二人は我慢出来なくなったのか部屋から出てホテルの一階ロビーへと降りていくことになる。




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