二年目の春・6

「えええーー!?!?」

そして後片付けが終わるとまき絵と亜子を連れた一行は異空間アジトになんの説明もないまま移動していた。

突然室内から屋外のしかも全く知らない場所に来たまき絵と亜子は周囲にこだまするほど驚きの声をあげてしまう。


「いったい何がどうなってるん?」

「ふふふ。 実は私達はみんな魔法使いなのだよ。 まき絵君 亜子君。 そしてここは麻帆良でも日本でもない異世界ハニワランドなのだよ!」

一体何がどうなってるのと目を白黒させるまき絵と亜子にハルナは、何故かあくどい笑顔をしつつノリノリな様子であっさり魔法という言葉を言ってしまい横島や少女達をポカーンとさせる。


「まっ、まほう? あのさっきも話してたほうきで空を飛ぶ?」

「もちろんだとも。 さあマスター。 二人を飛ぶ体験をさせてあげたまえ。」

「いいけどさぁ。」

こういう人を驚かすのが好きなんだろうなと誰が見ても分かるハルナに何人かは何とも言えぬ表情をするも、高畑と刀子が口出ししないうちは見守るつもりらしくまだ口出しする者は居ない。

突然魔法を体験させて欲しいと言われた横島は、きっと細かい説明はあやかに丸投げする気だと気付きなかなかいい性格してるなと苦笑いが出てしまう。


「えっ!? う、う、浮いてる~!?」

「どうなってるん!?」

そんな横島がまき絵と亜子を念動力の要領でふわりと三十センチほと浮かせるとまき絵と亜子はバダバタと慌てながら最初は落ちないかどうか不安なのか目の前に居た横島にしがみつくが、すぐに慣れると宙に浮くという貴重な体験を楽しみ始めた。

特にまき絵なんかは新体操で生かした体の柔らかさを披露するように足をあげたりくるくると回ったりして、またもや下着が丸見えになっていたが。


「わかった? 私達は魔法使いなのよ!」

「うんうん! 私はやっぱり胸を大きくして欲しい!」

「うーん、ウチは……。」

ちなみに夜に突然来て外からの転移場のど真ん中で踊ったり騒いだりするまき絵と亜子と一緒の横島達に、転移場の警備のハニワ兵達は何をやってるんだろうと不思議そうに遠くから眺めていたりする。


「だから魔法で豊胸はあかんって。 邪道だ!」

「えー! マスターは那波さんが居るし日頃から桜子の胸を触って大きい胸を自由に出来るからそんなこと言うんだよ!」

「ちょっと待て! 俺は触っとらん!!」

「よく抱き合ってるじゃん!」

「抱き合ってない! 抱きつかれてるだけだって、もしかして俺って端から見るとそう見えるのか?」

「うん。 マスター嬉しそうだよ。」

結果としてハルナはまき絵と亜子に魔法の存在を認識させることだけは早々と済ませたが、まき絵は何を勘違いしたのかまたもや魔法による豊胸の話を持ち出し横島と言い争いを再開してしまう。

そしてまき絵はその中で横島が日頃から胸の大きな女の子に囲まれてるから分からないんだと、意味不明なことを言い出すと二人の会話はカオスに突入していく。

しかも横島としては日頃から桜子に抱きつかれてることを嬉しそうにしてると言われるとどうやら自覚がなかったようで、流石にいい年して中学生に鼻の下を伸ばしていた自分にちょっぴりショックを受けていた。



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