二年目の春・6

そしてまき絵と亜子にこの場で魔法を教えるかどうかで悩んだ女性陣は最終的に多数決で決めることにした結果、賛成多数で教えることに決まる。

結論を言えばこのままズルズル引き伸ばしても二人が秘密を守れるかという不安は無くならないし、刀子が指摘した通りこの先そうそう秘密を明かすいいタイミングがあるなんてあまり考えられなかった。

超鈴音のように自分達の驚異となるならばともかく一般人で友人の二人ならばさっさと秘密を明かして身内に引き込んだ方がこの先楽だという楽観的な意見が多いのが結論だった。

無論最低限自分達から秘密を明かして守れと強要することになるので、まき絵と亜子が秘密を本当に知りたいと望むのかどうかは確認せねばならないが。


「豊胸の話はそのくらいにして下さい。 二人ともせっかくですから私達と横島さんの秘密を知りたくないですか?」

「いいんちょ、どうしたの急に?」

その結果相変わらず魔法による豊胸の話題で盛り上がる横島とまき絵にちょっとため息をついたあやかはあっさりと話題を止めると女性陣を代表してまき絵と亜子に突然真顔になり問いかけるも、まき絵と亜子は一部例外は居るが友人達がいつの間にか真剣な表情になってることに気付き秘密という言葉と共に興味をそそられつつも少し不安げな表情になる。


「実は私達はあなた達が知らない共通の秘密を抱えてます。 あなた達が私達とこれからも一緒に居るならばそろそろ秘密を明かすべきだという話になりましたわ。 ただし秘密を明かしたからには共に秘密を守って頂かねばなりません。 親御さんや裕奈さんやアキラさんにも秘密です。 二人ともそれを理解して知りたいですか?」

「なにそれ?」

「随分突然やね。」

クラスの纏め役としてクラスメートの信頼の厚いあやかのあまりに真剣な表情と普段ではあり得ないほどの口止め望む様子に二人は好奇心と不安が入り雑じるが、ここまで言われると秘密の内容を知りたくなるのが人情だった。


「ハッ! もしかしてタマちゃんのお母さんは……!?」

「全く違いますわ。」

そんな中まき絵は何を思ったのか閃いたとばかりにタマモのお母さんがアナスタシアではと勘違いしてしまい、タマモとアナスタシアを交互に見つめるが疲れたようなあやかに即否定され他の少女達の笑いを誘い少し空気が和らぐ。


「それってハルナも秘密を守ってるん?」

「守ってるわよ。 秘密を守るといいことも特典も満載だもの!」

「特典満載!?」

一方の亜子はまき絵より慎重なものの秘密を知るだろうメンバーに、とてもじゃないが秘密を守るタイプに見えないハルナが居ることに注目する。

噂好きでスピーカーのように噂を広める彼女が秘密を守ると特典満載だと意味ありげな笑顔を見せると亜子は驚きまき絵はさっそく瞳を輝かせて釣られた。


「ハルナさん!」

「いいじゃないの。 事実なんだし。 そう脅かすみたいに言わなくってもさ。 誰かさんみたいに変な主義主張を持ってるわけじゃあるまいし。」

少し重苦しいまでに慎重なあやかと対称的に楽観的なハルナにあやかは抗議するように少し声を荒げるが、ハルナはエキセントリックな部分はあるが意外に人を見る目というか物事を見る目があるのでまき絵と亜子にはそこまで必要ないと考えてるらしい。

信頼や気持ちは大切だがあまりプレッシャーをかけるのも良くないとハルナはハルナなりに考えている。


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