二年目の春・6

『私は教えていいと思うよ。』

『でもまき絵さんですよ? 失礼ですが秘密を守れるかどうか。』

『単純な疑問としてまき絵さんは今後私達から離れるというか横島さんに飽きる可能性はあるのですか?』

『……それはどうなん?』

『私達が横島さんに飽きる可能性と同じくらいはあるかも?』

対して女性陣はまき絵の扱いをどうするかというか、これを機会に教えてしまうべきか隠して様子を見るべきかで話をしているが論点は概ね二つに分かれる。

一つはまき絵と亜子のというかバカピンクと言われるおバカなまき絵が秘密を守れるかということと、もう一つはまき絵の横島への気持ちは現状ではどの程度かということや今後どうなるかということだ。

流石に友人でもあるまき絵を問答無用で拒否するのはすでに選択肢にはなく、問題はいつ教えるかでこの際教えてしまった方がいいのではという意見もある。


『このまま中途半端にするの危なくない? 変に勘づかれたりとかしたら疑うだろうし、そのまま裕奈とかアキラにまで話が行けば厄介だよ。』

『うーんでもまき絵だよ。 そこまで疑う?』

『頭の善し悪しと勘がいいか悪いかは別じゃない? それに亜子は頭悪くないし。』

『遅かれ早かれ教えるなら早い方いいと思んじゃないかしら。 隠すのも大変だし。』

『確かに魔法の練習が出来ないんですよね。 このままじゃ。』

まき絵と亜子が横島や少女達と一緒に居るようになって半月が過ぎていたことで、そろそろ痺れを切らし始めている少女も何人か居るらしい。

肝心のまき絵はおバカだと言われるが飽きっぽいかと言われるとそうでもなく好きな物には熱中して一直線という性格なため、このまま横島に飽きて来なくなるというのはあまり期待出来ない。

少女達の方も半月様子を見たのだしそろそろ教えてもいいのではという意見が増えつつあるも、先月の超鈴音の問題なんかもあり魔法や横島の秘密は思ってた以上にデリケートな問題なのを再認識した慎重派の少女が少し難色を示していた。


『刀子さんどう思います?』

『完璧なタイミングなんてないわね。 貴女達に教える時も私は元より学園長先生達だって随分悩んだのよ。 ただ問題は私達と佐々木さん達じゃ積み重ねた時間による信頼が違うということだけど、それは私達でフォローするしかないわね。』

ほんの僅かな話し合いである故に結論が纏まるはずもなく少女達は無言で考える刀子に意見を求めるも、刀子は誰しも納得するような完璧なタイミングなんてないと言い切る。

正直こういう問題はある程度のリスクは覚悟し流れや勢いに乗るときは乗らないと、あまり慎重にばかり考えても進まないことを刀子は理解していた。

それが今かは刀子にも分からぬものの時には勇気を持った結論が必要だと少女達に語り聞かせていく。


「魔法で巨乳なんて邪道だな。 やっぱり胸や顔は自然のままが一番だ!」

「えー! マスター女心分かってないよ!」

「二人ともそんなに熱くならんでも……。」

ちなみに少女達が話し合いをしてる最中横島とまき絵は魔法による豊胸の是非について何故か熱く議論していて、そんな夢物語に熱くならんでもと思う亜子に止められていた。



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