二年目の春・6
「誕生日おめでとう!」
「なんかテレビとかで見るパーティみたい。」
そして美砂の誕生パーティが始まるがメンバーはいつものメンバープラスまき絵と亜子である。
まき絵と亜子は先日ののどかの誕生日に続いて二回目の参加であるが、綺麗に飾られた花にローストビーフが塊のまま置かれた姿には流石に驚きの声をあげていた。
真っ白い純白のテーブルクロスを敷いたことも高級感を演出する一翼を担っており、メニューは他にもマグロやサーモンなどのお刺身に野菜の具だくさんなスープにサラダなどボリュームも日頃の食事によりある。
「みんなありがとう!」
この半年ほどで誕生日が来るとみんなでお祝いすることが恒例と化したが、やはりお祝いされる本人は初めてであり嬉しそうでもありながらちょっと恥ずかしそうでもあった。
タマモだけは相変わらずサプライズのつもりなのでワクワクドキドキといった表情で美砂を見つめるが、そんないつもと違う美砂の反応にうんうんと誇らしげに頷き満足げである。
「今日のローストビーフは木乃香ちゃんが作ったんだぞ。」
「凄いね!」
メインのローストビーフは相変わらず食事が出来ない茶々丸がそれぞれに厚さや枚数のリクエストを聞き切り分けているが、この日はタマモが誘ったらしい初音と鈴江も来ていて茶々丸と一緒に給仕を行っている。
目の前で塊のローストビーフを切り分けて食べるなど一般庶民からしたら滅多に経験出来ないことで、特にまき絵なんかは興奮ぎみに茶々丸が切り分ける姿を見ていた。
しかも今日のローストビーフの調理が木乃香だと聞かされるとまき絵と亜子なんかはクラスメートの進化に驚く表情を見せるが、流石に他は慣れているのでさほど驚きはない。
ただ木乃香はすっかり料理人の方に進んでるなと改めて感慨深く感じた者は何人か居たが。
「やっと15かぁ。」
そのまま食事自体ははいつものようにわいわいと賑やかに始まり料理の感想やこの日誕生日の美砂の話題が中心となるが、当の美砂はようやく十五才になれたことに少しホッとしたような表情を見せる。
美砂は元々早く大人になりたいと思うタイプではなかったが横島が自分達を子供扱いする最大の要因が年齢なのは考えるまでもなく、少し前からせめて高等部に進学でもしないと横島の中での自分達の扱いはあまり変わらないだろうと考えている。
アシュタロスの遺産なんて非常識なものを持ってるにも関わらず横島自身は結構気遣いの人であり、周りの大人のことも気にして自分達を一人の女性として見るのは最低限高等部に進学する頃だろうと予想していたのだ。
横島が求める女性とはどんな女性なのか?
そして自分達はあと一年余りで横島にとって掛け替えのない存在になれるのか?
美砂は楽しげな横島を見ながらふと考えていく。
もちろん脈は十分あるし可能性は高いと気付いているが、現状から先に進むには普通の人として生きることを捨てる覚悟も必要になるし気持ちだけではなく冷静に考えねばならないこともあるのは理解していた。
ただそれでも彼女は離れるつもりはないし、まずはこのままあと一年横島を自分達で繋ぎ止めておければと考えを巡らせていく。
「なんかテレビとかで見るパーティみたい。」
そして美砂の誕生パーティが始まるがメンバーはいつものメンバープラスまき絵と亜子である。
まき絵と亜子は先日ののどかの誕生日に続いて二回目の参加であるが、綺麗に飾られた花にローストビーフが塊のまま置かれた姿には流石に驚きの声をあげていた。
真っ白い純白のテーブルクロスを敷いたことも高級感を演出する一翼を担っており、メニューは他にもマグロやサーモンなどのお刺身に野菜の具だくさんなスープにサラダなどボリュームも日頃の食事によりある。
「みんなありがとう!」
この半年ほどで誕生日が来るとみんなでお祝いすることが恒例と化したが、やはりお祝いされる本人は初めてであり嬉しそうでもありながらちょっと恥ずかしそうでもあった。
タマモだけは相変わらずサプライズのつもりなのでワクワクドキドキといった表情で美砂を見つめるが、そんないつもと違う美砂の反応にうんうんと誇らしげに頷き満足げである。
「今日のローストビーフは木乃香ちゃんが作ったんだぞ。」
「凄いね!」
メインのローストビーフは相変わらず食事が出来ない茶々丸がそれぞれに厚さや枚数のリクエストを聞き切り分けているが、この日はタマモが誘ったらしい初音と鈴江も来ていて茶々丸と一緒に給仕を行っている。
目の前で塊のローストビーフを切り分けて食べるなど一般庶民からしたら滅多に経験出来ないことで、特にまき絵なんかは興奮ぎみに茶々丸が切り分ける姿を見ていた。
しかも今日のローストビーフの調理が木乃香だと聞かされるとまき絵と亜子なんかはクラスメートの進化に驚く表情を見せるが、流石に他は慣れているのでさほど驚きはない。
ただ木乃香はすっかり料理人の方に進んでるなと改めて感慨深く感じた者は何人か居たが。
「やっと15かぁ。」
そのまま食事自体ははいつものようにわいわいと賑やかに始まり料理の感想やこの日誕生日の美砂の話題が中心となるが、当の美砂はようやく十五才になれたことに少しホッとしたような表情を見せる。
美砂は元々早く大人になりたいと思うタイプではなかったが横島が自分達を子供扱いする最大の要因が年齢なのは考えるまでもなく、少し前からせめて高等部に進学でもしないと横島の中での自分達の扱いはあまり変わらないだろうと考えている。
アシュタロスの遺産なんて非常識なものを持ってるにも関わらず横島自身は結構気遣いの人であり、周りの大人のことも気にして自分達を一人の女性として見るのは最低限高等部に進学する頃だろうと予想していたのだ。
横島が求める女性とはどんな女性なのか?
そして自分達はあと一年余りで横島にとって掛け替えのない存在になれるのか?
美砂は楽しげな横島を見ながらふと考えていく。
もちろん脈は十分あるし可能性は高いと気付いているが、現状から先に進むには普通の人として生きることを捨てる覚悟も必要になるし気持ちだけではなく冷静に考えねばならないこともあるのは理解していた。
ただそれでも彼女は離れるつもりはないし、まずはこのままあと一年横島を自分達で繋ぎ止めておければと考えを巡らせていく。