二年目の春・6

「地震や火山の噴火の予知は出来ないんですか?」

「出来るぞ。 自然地震とか噴火ならほぼ百パーセントで。 魔法協会でもやってんじゃないかな。 精度はともかくとして。」

「関東魔法協会では一応予知の研究はしてるようですが現状では資質のある人間が個人で予知するしかなく、やはり当たり外れがあるらしいです。」

その後話は非常食から地震などの災害と魔法や魔法協会の関わりについての話となり、さよが普通に横島に対して地震の予知が出来るのではと尋ねると横島は相変わらずの軽い口調でほぼ出来ると断言した。

横島としては魔法技術が発達したこの世界なら予知もしてるのではと軽く言うものの、どちらかというと霊能に分類する予知は未熟らしい。


「地震はなぁ。 大きいのは地殻変動に関わるから下手に防ぐと他に歪みがいくからな。 ハニワランドなんかだとさ……。」

ちなみに異空間アジト内では地震は世界管理システムにより完全予知されているので予知されたらハニワ兵達が地震対策をして避難をしている。

地震は地殻変動など惑星のバランスに関わるので下手に抑えるとろくなことにならず、あまり酷い場合を考慮して大地震になる前に地震を人工的に起こして大地震になる前の軽い地震を複数回起こして済ませる分震計画はあるが、人口密度などあってないような異空間アジトではハニワ兵が避難した方が早く実行したことは未だなかった。


「結局避難するのが一番いいんですね。」

「まあな。 やろうと思えば不可能な訳じゃないけど、自然に逆らってもいいことないからな。 津波くらいなら防ぐの難しくないけど。」

一方夕映とのどかは自分達の世界より技術が進んでいる異空間アジトですら、地震からは避難するのだと聞いてホッとしたような少し残念なような複雑な心境だった。

正直もっと画期的な地震を無くすような方法があるのかと期待もしたからであるが、同時に逃げるのが一番確実で効率的だと言われると確かにそうなんだろうなと改めて実感する。



「タマちゃん地震ってわかる?」

「しってるよ。 ゆれるんだよね!」

「そかそか。 それじゃあ地震が来たらどうするか教えるわ。」

一方フロアでは木乃香が遊んでいたタマモを捕まえてに防災教育をしようとしていた。

日頃から横島と一緒が多いタマモであるが散歩に出かけたりと意外に行動範囲が広いので、地震があった時の行動を教えねばと思ったらしい。

実は先日茶々丸と共に火事を見つけた後には119番に電話することや一人で近寄らないことなど木乃香達に言われていて、この日はちょうど学校でも授業があった地震について教えるようだ。


「安全な場所で揺れが収まるのを待つんやけど、外に居る時は庭を囲む塀とかおうちの壁から離れなあかんで。 崩れて来たら危ないんや。」

幸いなことに学校の授業で使った最新版の麻帆良防災マニュアルがあるので、タマモにそれを見せながら危ない場所から離れることや落ち着いて避難することなど一つ一つタマモにも分かるように丁寧に教えていく。

ちなみに避難所に関しては近隣にある麻帆良学園第三初等部校舎が避難所に指定されていて木乃香達の女子寮と同じ避難所となっているが、避難所として使われたのは近年では去年の暮れの雪が積もった日や台風くらいしかなく地元民でも避難した経験がない者がほとんどだったりする。

幼い子供が居る場合は近所の危険な場所や避難経路の確認などした方がいいので木乃香は次の休みにでもタマモと近所の危険な場所の確認や避難経路を散歩しようと言いタマモを喜ばせていた。



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