二年目の春・6
「揚げパンは有力な候補になりそうだな。」
「そうやな。 ええと思うわ。」
「よくよく考えてみたら昨年をあまり意識しない方がいいのかもしれませんね。 流石にあんなこと二年連続は出来ないでしょう。 そもそも麻帆良祭の出し物で連覇したのは過去に一度だけとですし。」
その後横島はこの日の夕食を作りつつ少女達の意見から揚げパンの改良点を検討していくが、夕映はふと冷静になり自分達はあまりに昨年の成功を意識しすぎてるのではと考え始めていた。
麻帆良カレーや味つきポテトなど一年が過ぎようとしてる現在でも人気のメニューを生み出したのは凄かったが、自分達は元より横島ですらもそれに引きずられて斬新なメニューをと悩んでいたが何も斬新なメニューでなくてもいいのではと思い付く。
「どのみち斬新なメニューがお客さんにとって馴染みのない料理となるならば、あえてありふれたメニューで勝負する方がいい気がするです。 別に人気にならなくてもカレーおでんのように地道に売れていけば成功なのですから。」
「あっ、言われてみるとそうかも。」
斬新で大衆受けするメニューを考え誰もが驚く仕掛けのレストランに出来ればいいのだろうが、実際世の中で人気になる店のメニューなんかはたいてい味で勝負してるのであって未知の料理ではない。
先々月の春祭りで横島が考案したカレーおでんは麻帆良カレーのように爆発的なヒットはしてないが、春祭りやちょっとしたイベントに出せばそれなりに人気で売れてるとの報告があったのだ。
麻帆良カレーだけでは少しメニューが少なく寂しかったところもあり先月には二ヵ所ほどイベントの屋台として麻帆良カレーと一緒に出店したらしいが、サイドメニュー的な扱いにも関わらず結構売れてるらしかった。
特に関係者が考案したうどんとしてカレーおでんを食べる食べ方の人気は続いていて、手間もかからぬカレーおでんは関係者に喜ばれている。
「なるほどな。 だとするとあんま珍しいメニューを考えるよりは祭りで食べたくなる料理を改良した方がいいか。」
「はい、揚げパンも食べやすさを考慮すればアイスと一緒に盛り付けるなど応用範囲は広がりますし。 横島さんの場合は素直に味で勝負した方がいいと思うです。」
そんな夕映の意見は友人達ばかりか、横島をも驚きハッとさせる。
元々横島は料理も素人だし店の経営やイベントへの参加なんかも必ずしも経験がある訳ではない。
受け継いだ多彩な才能と横島自身の器用さでなんとなく上手くやれてしまうが、気まぐれな上に感性で生きているので計画性はあまりない。
脱線やら回り道なんて日常茶飯事な横島には夕映のような冷静に物事を見れる存在が必要不可欠だったりする。
「そっかそっか。 ならメインの肉料理なんかもそっちの視点で考えるか。 夕映ちゃんにはご褒美としてタマモと一晩一緒に寝る権利を与えよう。」
「ゆえちゃんといっしょにねるの? いいよ! わたしもいっしょにねたい!!」
「そうですね。 では今度ハニワランドに行った時にでも。」
夕映の機転は3ーAの出し物の成否を左右するほど重要なことでこの機転を境に、横島や3ーAの少女達は現実的な視点で麻帆良祭の出し物と向き合うことになる。
横島はそんな夕映にご褒美として何故かタマモと一緒に寝る権利を与えると言い出し夕映や少女達を笑わせていたが、タマモ自身は楽しみが増えたと大喜びだ。
麻帆良の財界では女子中等部の才女として知られ一部では横島の懐刀ともブレーキ役とも言われる綾瀬夕映の歴史には残らぬ些細な成果だった。
「そうやな。 ええと思うわ。」
「よくよく考えてみたら昨年をあまり意識しない方がいいのかもしれませんね。 流石にあんなこと二年連続は出来ないでしょう。 そもそも麻帆良祭の出し物で連覇したのは過去に一度だけとですし。」
その後横島はこの日の夕食を作りつつ少女達の意見から揚げパンの改良点を検討していくが、夕映はふと冷静になり自分達はあまりに昨年の成功を意識しすぎてるのではと考え始めていた。
麻帆良カレーや味つきポテトなど一年が過ぎようとしてる現在でも人気のメニューを生み出したのは凄かったが、自分達は元より横島ですらもそれに引きずられて斬新なメニューをと悩んでいたが何も斬新なメニューでなくてもいいのではと思い付く。
「どのみち斬新なメニューがお客さんにとって馴染みのない料理となるならば、あえてありふれたメニューで勝負する方がいい気がするです。 別に人気にならなくてもカレーおでんのように地道に売れていけば成功なのですから。」
「あっ、言われてみるとそうかも。」
斬新で大衆受けするメニューを考え誰もが驚く仕掛けのレストランに出来ればいいのだろうが、実際世の中で人気になる店のメニューなんかはたいてい味で勝負してるのであって未知の料理ではない。
先々月の春祭りで横島が考案したカレーおでんは麻帆良カレーのように爆発的なヒットはしてないが、春祭りやちょっとしたイベントに出せばそれなりに人気で売れてるとの報告があったのだ。
麻帆良カレーだけでは少しメニューが少なく寂しかったところもあり先月には二ヵ所ほどイベントの屋台として麻帆良カレーと一緒に出店したらしいが、サイドメニュー的な扱いにも関わらず結構売れてるらしかった。
特に関係者が考案したうどんとしてカレーおでんを食べる食べ方の人気は続いていて、手間もかからぬカレーおでんは関係者に喜ばれている。
「なるほどな。 だとするとあんま珍しいメニューを考えるよりは祭りで食べたくなる料理を改良した方がいいか。」
「はい、揚げパンも食べやすさを考慮すればアイスと一緒に盛り付けるなど応用範囲は広がりますし。 横島さんの場合は素直に味で勝負した方がいいと思うです。」
そんな夕映の意見は友人達ばかりか、横島をも驚きハッとさせる。
元々横島は料理も素人だし店の経営やイベントへの参加なんかも必ずしも経験がある訳ではない。
受け継いだ多彩な才能と横島自身の器用さでなんとなく上手くやれてしまうが、気まぐれな上に感性で生きているので計画性はあまりない。
脱線やら回り道なんて日常茶飯事な横島には夕映のような冷静に物事を見れる存在が必要不可欠だったりする。
「そっかそっか。 ならメインの肉料理なんかもそっちの視点で考えるか。 夕映ちゃんにはご褒美としてタマモと一晩一緒に寝る権利を与えよう。」
「ゆえちゃんといっしょにねるの? いいよ! わたしもいっしょにねたい!!」
「そうですね。 では今度ハニワランドに行った時にでも。」
夕映の機転は3ーAの出し物の成否を左右するほど重要なことでこの機転を境に、横島や3ーAの少女達は現実的な視点で麻帆良祭の出し物と向き合うことになる。
横島はそんな夕映にご褒美として何故かタマモと一緒に寝る権利を与えると言い出し夕映や少女達を笑わせていたが、タマモ自身は楽しみが増えたと大喜びだ。
麻帆良の財界では女子中等部の才女として知られ一部では横島の懐刀ともブレーキ役とも言われる綾瀬夕映の歴史には残らぬ些細な成果だった。