二年目の春・6

翌日は月曜で新たな一週間の始まりであった。

最近は超鈴音の一件もそろそろ話題に新鮮味が無くなりつつあって落ち着き始めている。

疑惑やら不満は完全に消えた訳ではないが所詮は他人事であり、あまり自分達には関係はないことから芸能スキャンダルのように飽きてくれば自然と落ち着くらしい。

近右衛門辺りは喉元過ぎればなんとやらとならないか多少不安だったようだが、高畑が積極的にコミュニケーションを取ってることもあり超鈴音も葉加瀬も特におかしな行動はしてなかった。


「やっぱりエンターテイメントと食事の融合でしょ!」

「ふふふ、私達には超リンが居るもんね!」

そんな月曜の3ーAではホームルームの時間を使って麻帆良祭の出し物の話し合いをしていたが、現時点で決まっている雪広グループと共同の飲食店をどういう物にするかで議論というか半ば雑談になっている。

昨年の躍進には幾つかの鍵があり一つは横島の料理で、一つは超鈴音の立体映像技術を惜しみ無く使ったことだ。

ただ美味しい物を作ってもインパクトが弱いと判断した少女達は当然ながら超鈴音にも横島同様に過大とも言える期待をしてしまう。


「同じものだと面白くないし、どうしたものかネ。」

対してクラスメートの期待を集める超鈴音は相変わらず自信ありげな笑みを浮かべるも、流石にすぐにアイデアを出せと言われても出てくるものではない。

エンターテイメントと言う方は簡単だが考える方は予算や設備に使える人員などがどの程度かなど、具体的なことも考えねばならないのでそう簡単ではないのだ。


「出来ればメニューの方もみんなで考えて欲しいのですが。」

「そうや。 こっちも大変なんよ。」

そして横島に近い少女達であるが、こちらは夕映と木乃香がメニューやせめてそのアイデアだけでもみんなで考えて欲しい提案していた。

横島や木乃香達も考えているが早々斬新で大衆受けするメニューなんか思い付くはずもなく、アイデアや方向性だけでもみんなで考えて欲しいところなのだ。


「メニューね~。」

「ケン〇ッキーは?」

「いやいや、やっぱマ〇クでしょう!?」

ただメニューに関しても考えて欲しいと話を広げた結果、クラスメート達は自分が食べたいものや好きな物を上げていくばかりで作り手の苦労なんかは全く考えてない。

まあ作り手の苦労をあまり理解してないと言った方が正しく、木乃香達ですら昨年はその辺りをあまり理解してなかったことを考えると仕方ないことでもある。

今年はすでに夕食を兼ねて何品か試作品を一緒に作っているので横島の悩みや試行錯誤する苦労を理解していたが。

しかしそんな少女達のアイデアと言えない意見でも何かの参考になればとのどかはきちんとメモしていた。


「早めに横島サン達と相談する必要があるみたいネ。」

一方エンターテイメントという要素をほぼ丸投げされた超鈴音は、クラスメートの友人は残念ながらアイデア以外の具体策を考えるには向かないだろうと思い早めに横島達と話し合う必要があるとの結論を出している。

料理もエンターテイメントも何らかの方向性が欲しいところだが、それを少女達に考えてもらうにはある程度の選択肢というか具体的な事例でもなければ纏まるものも纏まらなかった。


3/100ページ
スキ