その後食事が終わるとケーキを食べながら食後のまったりとした時間を過ごしていき、ここでのどかにはプレゼントが渡されていた。

横島はいつものように春秋物のコートでタマモとさよは夕映や木乃香に評判が良かったブックカバーを渡している。

友人達はファッション関係や小物など様々であるが、今回もエヴァ一家からということで茶々丸から洋服をプレゼントされていたことが少女達とエヴァの関係の深まりを表しているのだろう。


「のどかも本当に笑顔が増えたわね。」

まき絵と亜子はまだ違うのだろうが、タマモ的には家族という友人達からのプレゼントにのどかは自然と笑みを浮かべて受け取っている。

一年前の頃には長い前髪で目元が隠れるほどで表情の変化もあまり目立たない彼女であったが、最近は少なくとも目元を隠すことはなくなり表情も喜怒哀楽が豊かになっていた。


「そう言えばそうよね。 昔は引っ込み思案みたいだったもんね。」

「表情があんまり見えないから、話しかけていいのか分からなかったのよね。」

そんなのどかの変化を若干ちゃかしながらも喜んでいたのはハルナであり、彼女の発言に同意するように食いついたのは美砂達であった。

何度も説明したことであるがいかに少女達のクラスが仲がいいとはいえ全員が全員仲がいい訳ではなく、孤高だったエヴァは元より大人しくあまり自分から会話に加わって来ないのどかや夕映も美砂達からすると少し話しかけにくい雰囲気が少しあったらしい。

だが現在では普通に教室で談笑したりすることも多くなっている。

成績面でもこの一年間安定して高い水準を維持しておりそちらは話題になったりするが、意外にそんなのどかの素の表情の変化は自然に溶け込んだ為かあまり話題になってなかった。


「そういやそうだな。 俺も初めは避けられてたし。」

「のどかは男性が苦手でしたからね。 横島さんで免疫が出来たのか最近は改善しましたが。」

「免疫って、まるで人をインフルエンザウィルスみたいに言うなよ。 麻帆良に来てからは爽やかなイメージで頑張ったんだぞ。」

のどかの変化の原因は今更語るまでもないが、その原因たる横島は地味に出会った頃に避けられてたことを覚えている。

人に避けられることに慣れているとはいえ、意外にデリケートな一面もあるので避けられたことなんかは結構覚えているらしい。

一方ののどかは一年も前の初対面の頃の話を今更持ち出す横島に若干困ったような恥ずかしいような表情を見せるも、夕映がフォローするように男性に免疫がなかったというと横島がそれをインフルエンザウィルスと繋げると周囲の少女達ばかりか刀子や高畑にアナスタシアまで笑ってしまう。

本人的には爽やかなイメージで頑張ったと半ば自画自賛する横島であるが、ある意味インフルエンザウィルスよりタチが悪いのは今更言うまでもない。


「ねえねえ、いんふるえんざうぃるすってなに？」

「えっとね、風邪の原因になる病気のことですよ。」

ちなみにタマモは意味が理解出来ずに一人首を傾げて隣に座るさよにインフルエンザウィルスという知らない言葉を聞くも、説明を聞いても何故みんなが笑ったのか理解出来なかった。

まあみんなが楽しそうなのでタマモとしてはそれだけで嬉しいので深く気にすることはなかったが。