麻帆良祭への道

あやかは仮設店舗のスケジュールを説明していくが、麻帆良祭十日前には店舗が完成する予定である

内装やレイアウトは基本的に2-Aでしたいとのことから、その準備に七日ほど予定していた

そして営業日時だが、こちらは麻帆良祭の三日前からの営業を予定している

流石にぶっつけ本番ではいろいろ失敗する可能性もあり、三日ほどプレオープンとして本番形式で営業する予定なのだ

ちなみに同じ敷地内の雪広グループの企業ブースに関しては、本番の五日前からオープン予定だった


「一週間で間に合うのでしょうか? 皆さんこの手の作業は経験がないと思うのですが……」

内装やインテリアを自分達でやりたいと張り切る2-Aの面々だが、中一の女の子に大工仕事のような真似が出来るとは夕映には思えないらしい


「大丈夫ネ。 案外やれば出来るものヨ」

「そうだな。 コンセプトが決まれば作るのはなんとかなるよ」

夕映やのどかは不安そうなのだが、何故か超と横島が妙に楽観的に大丈夫だと言い切っていた


(やはりこの二人の意見が合うと不安になるのは何故でしょう)

超と横島ならば本当に大丈夫にしてしまいそうな気がする夕映だが、何故か違う意味で不安になるのは気のせいではないのかもしれない

そのまま細かなスケジュールや買い揃える物などを話し合っていくが、横島と超はレシピの交換もしていた

横島は超包子の料理を作らねばならないし、超と五月は慣れないフレンチカレーを作らねばならない

他のクラスメートに教える為にも互いに早く作れるようになる必要がある


「とりあえず一回作ってみるか」

話し合うことはまだ残っているのだが横島・超・五月の三人は、話し合いをあやか達に任せてさっそく料理の練習を始めていた

店の厨房は元々洋食レストランなので多少古いが立派な厨房器具なのだが、火力だけは中華料理向きではない

まあそれでも横島は超包子のレシピを店の火力に合わせることなど朝飯前なのだが……


「なかなか手慣れてますね。 その調子なら大丈夫そうです」

横島が超包子の味を出せるか興味津々な様子の五月だったが、予想通り横島は手慣れた感じで作っていく

レシピを渡したとはいえあまりに慣れたその作業には超ですら驚きを感じたほどだった


「超包子の味は気に入ったから前に研究して真似したんだよね。 流石に店には出してないけどさ」

とりあえず麻婆豆腐を作っていく横島だったが、あっさりと超包子の味を前に真似をしたことをバラしてしまう


「油断も隙もあったもんじゃないネ」

「本業の人に真似されるのは光栄ですよ」

横島が真似したことを聞いた二人だったが、しごく冷静に受け止めていた

まあ自分の舌で真似や勉強されるなら仕方ないことだし、超は横島に合わせて冗談で返すが五月などは素直にプロに真似されることを光栄だと告げる

まあ二人共に年上でプロに見える横島には一定の敬意を払っているようだった


「しかし失敗したネ。 貴方がこれほど料理が出来るならば超包子で雇ったのに……」

横島の料理が順調に進むのを見ていた超は、ついつい本音をこぼしてしまう

正直今でもタイミングが合えばスカウトしたいとすら考えているようだ


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