二年目の春・5

「そうですか。 超さんが……。」

そしてこの日の夜には夕映とのどかがあやかと千鶴の部屋で超鈴音が麻帆良祭を最後に未来に帰る可能性があることを二人に教えていた。

魔法公開なんてとんでもないことを企んだ彼女だがクラスメートであることに変わりはなく、いざ帰ると聞くと流石に思うところがあるらしくあやかは複雑そうな表情を浮かべる。


「少し無責任にも思えるけど次が二十二年後だと流石にね。」

「超さんはすでに歴史を変えてますから、もし帰るとすれば変えた歴史については責任を取らないということですが。 正直個人が責任を取れるレベルではないのでしょうね。」

一方の千鶴はすでに変えたこの世界に関しては放置して帰るのかもしれないとなると少し無責任だろうと思うらしく、どう受け止めるべきかと悩むも夕映はそもそも超鈴音にも責任は取れないだろうと告げた。

根本的な問題として何が何処まで超鈴音が歴史を変えた影響か第三者が見極めるのは難しく、超鈴音の歴史には存在しない横島の影響もある考えると最早区別は不可能ではと考えている。


「私達はまだ超さんの目的聞いてないですから何とも言えませんけど、超さんにとって私達ってどんな存在なんですかね?」

ただこの四人もまだ超鈴音の魔法公開が何を目的にやろうとしたのか知らされてなく、横島はともかくとして高畑や刀子があまり触れて欲しく無さそうなので未だに追求してないだけに判断する材料に欠けていた。

そんな中のどかは超鈴音にとってこの時代や自分達はどんな存在なのか聞いてみたいとずっと考えている。

のどかは超を友達だと思っているし、ならばこそきちんと話したいと以前から思っていただけに何も話さないまま未来に帰らせてしまってもいいのか迷っていた。


「のどかは優しいのでそう言いますが、魔法公開は木乃香を筆頭に多くの魔法関係者の人生を狂わしてしまうのですよ。 今更友達だと言われても木乃香の気持ちを思えば……。」

そんなのどかであるが夕映は超鈴音が麻帆良にて魔法公開をしようとしたことを重く受け止めていて、今更友達だと言われても木乃香の家庭を壊して人生を狂わせようとした相手に未遂だからと言って水に流していいのか疑問を感じている。

それに以前ハルナが言っていたすでに変えた歴史に対してもやったもん勝ちでいいのかとも思うと、益々帰るからといっても軽々しく水に流す気にはならない。


「多分マスターがいなかったら出し抜かれてもっと大変なことになっていたんでしょうね。」

「そうですわね。 困った人ですが横島さんが動いたのには相応の訳があるのでしょうし。 超さんのことですから私達や魔法協会の動きはある程度予測していたのかも。 ただ流石の超さんも私達ですら何をしでかすか読めぬ横島さんには敵わなかった結果が現状かと思いますわ。」

意見の割れるのどかと夕映だが千鶴とあやかは状況を整理するように超鈴音が何故計画を未遂であっさり失敗したのかと考えると、この件で珍しく横島が動いたばかりか近右衛門達と協力したということにたどり着く。

魔法協会にさえ隠された超の計画を察知して潰すほど情報を集めたのは流石に近右衛門達にも無理で、どう考えても横島が影でアシュタロスの遺産を使ったのは明らかだろうと結論付ける。


「でも帰るんだったら、せめてきちんとお別れはいいたいよ。」

「そうですわね。 もし帰るとなるとお別れのパーティくらいはクラスでやればいいかと。 二度と会えぬかもしれませんし。」

結局超をどう評価するかは根本的な情報がないので推測しか出来ないが、もし帰るとすればお別れのパーティくらいはみんなで開いてあげようということしか決まらなかった。

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