二年目の春・5

「うーん。」

さて翌日には修学旅行やゴールデンウィークも終わりいつもの日常に戻った横島と少女達だが、今度は一学期の中間テストが近付いていて横島はすでに恒例となりつつあるテストの山掛けを始めていた。

霊感や予知などの人には出来ない手段を使わぬテストの山掛けは地味に大変であり、自分のテストならば適当でいいかもしれないが少女達のテストだけに手は抜けない。

従って先程から仕事の合間に頭を悩ませながら山掛けを作成しているが、昨日辺りから煮込んでいるドミグラスソースの鍋もあったりするので地味に大変であった。

ちなみにドミグラスソースはもうすぐ誕生日であるのどかの誕生パーティーのための物であって売り物ではない。

なおのどかの誕生日が10日で続いて美砂の誕生日が15日と誕生日が近いので、誕生パーティーを一緒にしようかと横島はタマモを説得しようとして失敗している。

三月には同じ日生まれの円とさよの誕生日を一緒にしただけに今回も日にちが近いだけに一緒でいいんじゃないかと言ったのだが、タマモ的には納得出来なかったらしく結局別々に行うことになっていた。


「誕生日のパーティー?」

「タマちゃんがみんなの誕生日をサプライズで祝うんだって毎回張り切ってるのよ。」

「いいな~。 私も参加していい!?」

さてこの日の放課後には部活がなかったまき絵が明日菜と木乃香と早めに帰っていたが、途中でふとしたことから話題はのどかの誕生パーティーの話になっている。

最近毎日夕食に来てるだけに誕生日のパーティーだけは来るなとも言えないので事前に話しておかねばならないと思ったのだろう。


「いいけど、なんか簡単なプレゼントは用意してよ。 あとタマちゃんがサプライズにしたいらしいから迂闊にこの話題みんなの前でしちゃだめだからね。」

「うんうん、任せて!」

やっぱりというか当然のように自分も参加したいと瞳を輝かるまき絵に明日菜と木乃香は少し困ったように感じながらもやっぱりねと笑ってしまうが、最終的には注意事項を告げて承諾する。

まあ誕生日のパーティーは事実上タマモが主催してるようなものなので後でタマモに話を通さねばならないが、先日も一緒に動物園に行ったまき絵と亜子ならば問題ないだろうことは明日菜と木乃香ならば理解していた。

尤もタマモ的には二人はまだ友達の分類らしく家族認定はされてないが。

例の部活の選抜テスト以降まき絵が横島に好意を持ち自分達の輪の中に入りたいようなのは恋愛に少し疎い明日菜と木乃香もすでに理解していたが、そもそも二人としては恋愛の微妙な気持ちはともかくとして友人を拒否するつもりはなく後はタマモ次第ではと思っている。

最終的にタマモが家族としてまき絵や亜子を思うようになれば後はなんとかなると特に明日菜なんかは考えていて、魔法や横島の秘密はどっちでもいいんじゃないとしか考えてない。

馬鹿だ馬鹿だと言われていた明日菜にとってまき絵は自分と似た立場であり、自身を導いてくれた横島に惹かれるのは仕方ないと半ば諦めにも似た形で受け入れていた。

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