二年目の春・5
「ぽー?」
そしてこの日の夜には風呂上がりにハニワ兵が今年の夏服を作る為にとタマモの身体測定をしていた。
横島とさよは最早成長しないがタマモは成長期であり昨年の夏以降ハニワ兵が定期的に計っているが、また身長が伸びていて去年の服が少し小さくなった物まである。
今までの一年間は季節に合わせた服が全くなかったので全て一から作っていたが、夏以降は昨年の服があるので新しい物を作るばかりではなく仕立て直したりもするようだ。
「わーい! わたしももうすぐおとなだよ!」
マメな性格のハニワ兵は一緒にタマモの成長記録もつけてるらしく、日付と共に身長や体重などを詳細な情報を纏めて記録に残していた。
将来大人になった時にいい想い出になればいいと昨年横島にアルバムを作ってプレゼントして以降はさよとタマモと一緒にさよやタマモのアルバムも作っていて、タマモの成長記録のファイルもそれらと一緒に大切にされている。
尤もタマモ本人は身長が何センチ伸びたとか言われても今一つ実感はないようだが、それでも成長してると言われると大人が近付いたようで嬉しいらしい。
「おっ、また身長伸びたのか。 子供は成長が早いな。」
身体測定を終えたタマモは成長したのが嬉しいらしく白ハニワ兵や横島やさよに自身の成長を教えて、もうすぐ大人だと胸を張っているがそんな微笑ましい姿に横島も思わず笑みを浮かべた。
横島自身は正直子育てと言えるほどのことはしてなくハニワ兵やさよに木乃香達が実質的に育ててるとはいえ、間近で成長していくタマモを見ると家族もいいもんだとしみじみと実感する。
「本当ですね。 もうすぐ一年ですか。」
一方のさよは部屋の中を元気に駆け回るタマモを見て時の流れの速さを感じていた。
正確にはタマモが横島宅に現れるまではまだ二ヶ月ほどあり一年を迎えるのはまだ先だが、昨年の服の手直しをするハニワ兵を見ていると季節は巡り早いものだと感じる。
さよ自身も夏服以降は昨年ハニワ兵が作ったり用意した物があるので、一部手直しをしたり新しい物を何着か増やすだけで今度からは済む。
思えば実体化した頃は本当に何もなかったが今では春夏秋冬の洋服がクローゼットにたくさんあり、他にも文房具や本に雑貨などさよとタマモの部屋には物がいつの間にか増えていた。
「……この部屋も最初は殺風景でしたね。」
「うん? そういやさよちゃんが来るまではそうだったな。 あの頃は基本的に二階は酒のんで寝るだけだったしな。」
ただ増えたのはさよとタマモの部屋や服ばかりではなく家全体にいろいろな物が増えている。
さよが横島宅に来た頃は古いテレビを床の上に置いていて小さなテーブルがある以外は何もないリビングだった。
何というか不思議な部屋だなと感じた当時の印象を思い出し思わず口に出してしまうと、横島は少し苦笑いを見せつつ言い訳をするがさよはそんな横島もまた変わったと感じる。
「まさか家族が出来るとは思わんかったしな。」
いつの間にか部屋ではタマモが白ハニワ兵と並んでテレビを見ていた。
タマモ達が好きな旅番組が入っていて二人はまだ見ぬ世界に瞳を輝かせているが、横島は少しだけ過去を思い出しているさよについ本音を溢してしまう。
本当に愛し愛される重みだけは人一倍理解している横島にとって自分の家族を持つと言うのは想像も出来ないことだった。
恐らくタマモが家族だと言い出さなければ、横島が家族という形をリアルに捉えることは今でもなかっただろうことは確かである。
正直横島自身はそれほど変わったとは今も思えないが、それでも一つだけ変わったと自覚があるのは今度こそ守らなければならないという決意だろう。
例えどんな手段を用いても、相手が誰であろうとも。
そしてこの日の夜には風呂上がりにハニワ兵が今年の夏服を作る為にとタマモの身体測定をしていた。
横島とさよは最早成長しないがタマモは成長期であり昨年の夏以降ハニワ兵が定期的に計っているが、また身長が伸びていて去年の服が少し小さくなった物まである。
今までの一年間は季節に合わせた服が全くなかったので全て一から作っていたが、夏以降は昨年の服があるので新しい物を作るばかりではなく仕立て直したりもするようだ。
「わーい! わたしももうすぐおとなだよ!」
マメな性格のハニワ兵は一緒にタマモの成長記録もつけてるらしく、日付と共に身長や体重などを詳細な情報を纏めて記録に残していた。
将来大人になった時にいい想い出になればいいと昨年横島にアルバムを作ってプレゼントして以降はさよとタマモと一緒にさよやタマモのアルバムも作っていて、タマモの成長記録のファイルもそれらと一緒に大切にされている。
尤もタマモ本人は身長が何センチ伸びたとか言われても今一つ実感はないようだが、それでも成長してると言われると大人が近付いたようで嬉しいらしい。
「おっ、また身長伸びたのか。 子供は成長が早いな。」
身体測定を終えたタマモは成長したのが嬉しいらしく白ハニワ兵や横島やさよに自身の成長を教えて、もうすぐ大人だと胸を張っているがそんな微笑ましい姿に横島も思わず笑みを浮かべた。
横島自身は正直子育てと言えるほどのことはしてなくハニワ兵やさよに木乃香達が実質的に育ててるとはいえ、間近で成長していくタマモを見ると家族もいいもんだとしみじみと実感する。
「本当ですね。 もうすぐ一年ですか。」
一方のさよは部屋の中を元気に駆け回るタマモを見て時の流れの速さを感じていた。
正確にはタマモが横島宅に現れるまではまだ二ヶ月ほどあり一年を迎えるのはまだ先だが、昨年の服の手直しをするハニワ兵を見ていると季節は巡り早いものだと感じる。
さよ自身も夏服以降は昨年ハニワ兵が作ったり用意した物があるので、一部手直しをしたり新しい物を何着か増やすだけで今度からは済む。
思えば実体化した頃は本当に何もなかったが今では春夏秋冬の洋服がクローゼットにたくさんあり、他にも文房具や本に雑貨などさよとタマモの部屋には物がいつの間にか増えていた。
「……この部屋も最初は殺風景でしたね。」
「うん? そういやさよちゃんが来るまではそうだったな。 あの頃は基本的に二階は酒のんで寝るだけだったしな。」
ただ増えたのはさよとタマモの部屋や服ばかりではなく家全体にいろいろな物が増えている。
さよが横島宅に来た頃は古いテレビを床の上に置いていて小さなテーブルがある以外は何もないリビングだった。
何というか不思議な部屋だなと感じた当時の印象を思い出し思わず口に出してしまうと、横島は少し苦笑いを見せつつ言い訳をするがさよはそんな横島もまた変わったと感じる。
「まさか家族が出来るとは思わんかったしな。」
いつの間にか部屋ではタマモが白ハニワ兵と並んでテレビを見ていた。
タマモ達が好きな旅番組が入っていて二人はまだ見ぬ世界に瞳を輝かせているが、横島は少しだけ過去を思い出しているさよについ本音を溢してしまう。
本当に愛し愛される重みだけは人一倍理解している横島にとって自分の家族を持つと言うのは想像も出来ないことだった。
恐らくタマモが家族だと言い出さなければ、横島が家族という形をリアルに捉えることは今でもなかっただろうことは確かである。
正直横島自身はそれほど変わったとは今も思えないが、それでも一つだけ変わったと自覚があるのは今度こそ守らなければならないという決意だろう。
例えどんな手段を用いても、相手が誰であろうとも。