二年目の春・5
「先日は本当にありがとうございました。」
茶々丸と超鈴音達の話が終わる頃、店には先日タマモと茶々丸が助けた女性が旦那と一緒に店を訪れていた。
あの日は旦那が慌てていたこともあり横島達は特に自己紹介もしてなく助けた原田夫妻とは面識はなかったものの、一緒だったのが坂本夫妻の妻だっただけにすぐに横島達の素性が分かり退院したその足で挨拶に来たらしい。
「貴女達が私を見つけてくれたのね。」
「うん! ちゃちゃまるさんとねこのみんなといっしょにこげくさいにおいがしたからさがしたの! げんきになった?」
「ええ。 もう退院出来たわ。 本当にありがとうね。 あのまま誰にも見つからなかったら私も家もどうなっていたか……。」
助けられた原田夫妻の妻は自分を助けたのが街で評判の茶々丸とタマモだということに少し驚きつつもお礼を告げる。
ちょうど茶々丸も来てるからと個室から呼ばれてタマモと一緒に原田夫妻からお礼を言われているが、とにかく謙虚にしている茶々丸と自分達が助けたんだよと胸を張り誇るようなタマモの組み合わせは何処か店に居合わせた面々の笑いを誘う。
「ささやかなものですがお礼に……。」
「当然のことをしただけですから、お気になさらずに。」
「わーい! ありがとう!」
原田夫妻はまだ若い二人にと手土産には箱菓子を持参して来たようで茶々丸は遠慮しつつ受けとるが、タマモは素直に喜び箱菓子を受け取っている。
そのまま原田夫妻はまだ病み上がりだからと挨拶だけで帰っていくが、タマモがまた来てねと言うと今度またお店に来ることを約束して帰っていた。
「火事カ。」
「超さん?」
一方個室から茶々丸とタマモの様子を見ていた超鈴音は火事という言葉を呟くと少し感慨深げな表情をする。
超自身は未来の歴史は知ってるし過去の時代の新聞などの情報を可能な限りデータ化して持ってきていたが、現在はすべて近右衛門に渡したし流石に細かな火事などあったかまでは覚えてない。
「私の歴史ではあの人はどうなったのかと思ってネ。」
歴史の流れに変化を与えるような事件でもなければ気にする必要もないのだが、茶々丸とタマモが麻帆良に居ない世界ではあの女性はどうなったのだろうとふと気になってしまう。
「そもそもこの店は私の世界には存在しなかった店ネ。 麻帆良亭の閉店とそのあとに全面改装をしたレストランが開店したのは記録にあったがその後は一切記録自体なかったヨ。」
超自身は以前は横島を疑っていたので未来から持ち込んだ歴史にて横島やこの店を調べたが横島の存在は全く記録にはないし、この店も麻帆良亭の閉店と新しい店の開店は彼女の世界の麻帆良スポーツの記事に小さく掲載されていただけなのだ。
彼女の世界で麻帆良亭の後に出来た店がどうなったかは知らないが、少なくとも話題になったりすることがなかったことは確かだった。
「歴史ではなく今を生きるということカ。 私が勝てないはずネ。」
今回のタマモと茶々丸の行動は歴史に関わることもない些細な出来事であるが、超はすでに今回のような日々の些細な出来事の積み重ねが歴史を未来を作っていくのだと身をもって実感している。
この世界を過去だと決めつけて歴史を変えようとしていた超達だが、所詮は記録に残るような出来事しか知らぬ程度の存在なのだ。
今現在を見つめ精いっぱい生きる人達に勝てる訳がないと、茶々丸とタマモの姿を見て改めて感じたらしい。
茶々丸と超鈴音達の話が終わる頃、店には先日タマモと茶々丸が助けた女性が旦那と一緒に店を訪れていた。
あの日は旦那が慌てていたこともあり横島達は特に自己紹介もしてなく助けた原田夫妻とは面識はなかったものの、一緒だったのが坂本夫妻の妻だっただけにすぐに横島達の素性が分かり退院したその足で挨拶に来たらしい。
「貴女達が私を見つけてくれたのね。」
「うん! ちゃちゃまるさんとねこのみんなといっしょにこげくさいにおいがしたからさがしたの! げんきになった?」
「ええ。 もう退院出来たわ。 本当にありがとうね。 あのまま誰にも見つからなかったら私も家もどうなっていたか……。」
助けられた原田夫妻の妻は自分を助けたのが街で評判の茶々丸とタマモだということに少し驚きつつもお礼を告げる。
ちょうど茶々丸も来てるからと個室から呼ばれてタマモと一緒に原田夫妻からお礼を言われているが、とにかく謙虚にしている茶々丸と自分達が助けたんだよと胸を張り誇るようなタマモの組み合わせは何処か店に居合わせた面々の笑いを誘う。
「ささやかなものですがお礼に……。」
「当然のことをしただけですから、お気になさらずに。」
「わーい! ありがとう!」
原田夫妻はまだ若い二人にと手土産には箱菓子を持参して来たようで茶々丸は遠慮しつつ受けとるが、タマモは素直に喜び箱菓子を受け取っている。
そのまま原田夫妻はまだ病み上がりだからと挨拶だけで帰っていくが、タマモがまた来てねと言うと今度またお店に来ることを約束して帰っていた。
「火事カ。」
「超さん?」
一方個室から茶々丸とタマモの様子を見ていた超鈴音は火事という言葉を呟くと少し感慨深げな表情をする。
超自身は未来の歴史は知ってるし過去の時代の新聞などの情報を可能な限りデータ化して持ってきていたが、現在はすべて近右衛門に渡したし流石に細かな火事などあったかまでは覚えてない。
「私の歴史ではあの人はどうなったのかと思ってネ。」
歴史の流れに変化を与えるような事件でもなければ気にする必要もないのだが、茶々丸とタマモが麻帆良に居ない世界ではあの女性はどうなったのだろうとふと気になってしまう。
「そもそもこの店は私の世界には存在しなかった店ネ。 麻帆良亭の閉店とそのあとに全面改装をしたレストランが開店したのは記録にあったがその後は一切記録自体なかったヨ。」
超自身は以前は横島を疑っていたので未来から持ち込んだ歴史にて横島やこの店を調べたが横島の存在は全く記録にはないし、この店も麻帆良亭の閉店と新しい店の開店は彼女の世界の麻帆良スポーツの記事に小さく掲載されていただけなのだ。
彼女の世界で麻帆良亭の後に出来た店がどうなったかは知らないが、少なくとも話題になったりすることがなかったことは確かだった。
「歴史ではなく今を生きるということカ。 私が勝てないはずネ。」
今回のタマモと茶々丸の行動は歴史に関わることもない些細な出来事であるが、超はすでに今回のような日々の些細な出来事の積み重ねが歴史を未来を作っていくのだと身をもって実感している。
この世界を過去だと決めつけて歴史を変えようとしていた超達だが、所詮は記録に残るような出来事しか知らぬ程度の存在なのだ。
今現在を見つめ精いっぱい生きる人達に勝てる訳がないと、茶々丸とタマモの姿を見て改めて感じたらしい。