二年目の春・5
「いい天気だな。」
さてこの日の横島であるが、新緑の季節になった庭を店内から眺めていた。
花壇や野菜畑に果樹もすくすくと育っていて猫達がのんびりと寛ぐ庭は見ていてホッとする。
ただ昨年の今ごろは日中はこうして庭を眺めながら居眠りが出来たのだが、今はそれほど暇でないのが横島としては少し残念だったが。
「クッ! また負けたわい!」
「強いのう。 いっそプロを目指したらどうじゃ?」
一方店内では相変わらずアナスタシアを囲むように年配者達が騒いでいるのが目立つが、近所の主婦なんかがこれまた賑やかに井戸端会議のようにお茶してもいる。
店の建物は赴きのある落ち着いた喫茶店が似合うのだが横島の影響か、平日の日中もすっかり賑やかなファミレスのような雰囲気の店になってしまっていた。
「ふん、そんな面倒なことは御免だな。」
「惜しいのう。 じゃが生活費を稼がんでも大丈夫なのか?」
「金には困ってない。 まあ困ってもそこの男が居るから問題ない。」
なお年配者の一人は割りと真剣にアナスタシアの現状を心配していてほとんど毎日遊んでいる様子を見てるだけにそろそろ働かなくてもいいのかと尋ねるも、本人は金には困ってないと言い切るばかりか最終的には横島をあてにしてるようなことを言い切ってしまい横島は話が聞こえたのか苦笑いしている。
別にエヴァ一家の援助くらいは問題ないが、それを第三者に当然のように公言するのはまた有らぬ疑いが生まれるので止めて欲しいのが本音だ。
もちろんアナスタシアは確信犯だろうが。
「すみません、コーヒーお代わりお願いします。」
そのまましばし庭を眺めていた横島だが、注文が入ると仕事に戻りカウンターの中で注文されたコーヒーを入れる。
学生時代なんかは事務所で令子のついでに入れてもらい飲む以外はインスタントしか飲んでなかったが、卒業後妙神山に移住してからは小竜姫がお茶なんかの飲み物に凝っていたので本格的なものをよく飲んでいた。
そんな思い出からかコーヒーの匂いを嗅ぐと今でもコーヒーを入れる小竜姫の姿を思い出してしまう時がある。
「一年か。」
麻帆良に来て一年が過ぎ少なくともこの先十年くらいはここに住んでいることになりそうだなと思う横島であるが、そうするとそろそろ真面目に考えなくてはならないのはかつての世界の友人知人達の復活をどうするかであった。
現状では魂のまま時を止めた場所で保護してはいるが、すでに肉体どころか霊体もないので復活には少しばかり手間なのだ。
人数もそれなりに居るし一番確実なのはコスモプロセッサーを起動させることなのだが、問題はエネルギー源である魂の結晶がないこと。
コスモプロセッサー本体はアシュタロスが試作した試作型と予備として作った二号機が異空間アジトには封印されてある。
だが魂の結晶が無ければただの置物に過ぎずかといって横島が人間の魂を集め魂の結晶を作るなんて出来るはずもない。
「さてどうしたもんかな。」
魂の結晶に代わるエネルギー源の制作に関しては実は理論上は可能で、アシュタロスがそれに関する理論を残している。
アシュタロス自身が何故それを作らなかったのかは横島どころか土偶羅も知らなかったが、元々新たな世界の創造なんてする気がなかったのだと横島は考えていた。
実際新たな世界の創造だけならば異空間アジトで成功しているので何も魂の結晶に拘る必要はなかったのだ。
結局アシュタロスは魂の結晶を持つメフィストに自分を重ね合わせ会いたかっただけなのかもしれないが。
少し話が逸れたがコスモプロセッサーだけはアシュタロスの知識や遺産を受け継いだ横島であっても未知の存在であり、今まで手をつけてなかった。
元々横島のアシュタロス系技術はルシオラのものなのでコスモプロセッサーまでは届いてないのも大きいが、やはり横島にとってコスモプロセッサーは複雑な心境にさせるものなのである。
ただあまり長い時間が過ぎてから復活させて浦島太郎のようになるよりはそろそろ考えなくてはならない時期であった。
どうしようかなと珍しく真面目に考えていた横島であるが、そんな横島の姿が珍しいからか年配者やアナスタシアが不思議そうに眺めていた。
さてこの日の横島であるが、新緑の季節になった庭を店内から眺めていた。
花壇や野菜畑に果樹もすくすくと育っていて猫達がのんびりと寛ぐ庭は見ていてホッとする。
ただ昨年の今ごろは日中はこうして庭を眺めながら居眠りが出来たのだが、今はそれほど暇でないのが横島としては少し残念だったが。
「クッ! また負けたわい!」
「強いのう。 いっそプロを目指したらどうじゃ?」
一方店内では相変わらずアナスタシアを囲むように年配者達が騒いでいるのが目立つが、近所の主婦なんかがこれまた賑やかに井戸端会議のようにお茶してもいる。
店の建物は赴きのある落ち着いた喫茶店が似合うのだが横島の影響か、平日の日中もすっかり賑やかなファミレスのような雰囲気の店になってしまっていた。
「ふん、そんな面倒なことは御免だな。」
「惜しいのう。 じゃが生活費を稼がんでも大丈夫なのか?」
「金には困ってない。 まあ困ってもそこの男が居るから問題ない。」
なお年配者の一人は割りと真剣にアナスタシアの現状を心配していてほとんど毎日遊んでいる様子を見てるだけにそろそろ働かなくてもいいのかと尋ねるも、本人は金には困ってないと言い切るばかりか最終的には横島をあてにしてるようなことを言い切ってしまい横島は話が聞こえたのか苦笑いしている。
別にエヴァ一家の援助くらいは問題ないが、それを第三者に当然のように公言するのはまた有らぬ疑いが生まれるので止めて欲しいのが本音だ。
もちろんアナスタシアは確信犯だろうが。
「すみません、コーヒーお代わりお願いします。」
そのまましばし庭を眺めていた横島だが、注文が入ると仕事に戻りカウンターの中で注文されたコーヒーを入れる。
学生時代なんかは事務所で令子のついでに入れてもらい飲む以外はインスタントしか飲んでなかったが、卒業後妙神山に移住してからは小竜姫がお茶なんかの飲み物に凝っていたので本格的なものをよく飲んでいた。
そんな思い出からかコーヒーの匂いを嗅ぐと今でもコーヒーを入れる小竜姫の姿を思い出してしまう時がある。
「一年か。」
麻帆良に来て一年が過ぎ少なくともこの先十年くらいはここに住んでいることになりそうだなと思う横島であるが、そうするとそろそろ真面目に考えなくてはならないのはかつての世界の友人知人達の復活をどうするかであった。
現状では魂のまま時を止めた場所で保護してはいるが、すでに肉体どころか霊体もないので復活には少しばかり手間なのだ。
人数もそれなりに居るし一番確実なのはコスモプロセッサーを起動させることなのだが、問題はエネルギー源である魂の結晶がないこと。
コスモプロセッサー本体はアシュタロスが試作した試作型と予備として作った二号機が異空間アジトには封印されてある。
だが魂の結晶が無ければただの置物に過ぎずかといって横島が人間の魂を集め魂の結晶を作るなんて出来るはずもない。
「さてどうしたもんかな。」
魂の結晶に代わるエネルギー源の制作に関しては実は理論上は可能で、アシュタロスがそれに関する理論を残している。
アシュタロス自身が何故それを作らなかったのかは横島どころか土偶羅も知らなかったが、元々新たな世界の創造なんてする気がなかったのだと横島は考えていた。
実際新たな世界の創造だけならば異空間アジトで成功しているので何も魂の結晶に拘る必要はなかったのだ。
結局アシュタロスは魂の結晶を持つメフィストに自分を重ね合わせ会いたかっただけなのかもしれないが。
少し話が逸れたがコスモプロセッサーだけはアシュタロスの知識や遺産を受け継いだ横島であっても未知の存在であり、今まで手をつけてなかった。
元々横島のアシュタロス系技術はルシオラのものなのでコスモプロセッサーまでは届いてないのも大きいが、やはり横島にとってコスモプロセッサーは複雑な心境にさせるものなのである。
ただあまり長い時間が過ぎてから復活させて浦島太郎のようになるよりはそろそろ考えなくてはならない時期であった。
どうしようかなと珍しく真面目に考えていた横島であるが、そんな横島の姿が珍しいからか年配者やアナスタシアが不思議そうに眺めていた。