二年目の春・5

ゴールデンウイーク明けの翌日には超鈴音と葉加瀬の処分が正式に発表されていたが、超と葉加瀬は一ヶ月の謹慎処分となりその間は大学部への立ち入りを禁止されることになった。

ただ来月開催する麻帆良祭の半月前には謹慎が解除されることになり、準備を含めて麻帆良祭への参加は問題ないと決まる。

なおこの件に関しては高畑を始めとして彼女達の研究に関わった大学部の講師や教授なども口頭で厳重注意を受けていて、改めて学園側の指導にも問題があったことを認めていた。

そして今後に関しては中等部では高畑が大学部では彼女達を弁護した教授達が責任を持って指導をすることになる。

加えて今回の件では学園と生徒会の調査で同じ麻帆良学園ながら学校を越えた活動をした場合の教師間での生徒指導の情報などの共有が必ずしも出来ていたとは言えず、それが彼女達の倫理を無視した活動に繋がった可能性があると表向きは結論付けられた。

従って今後は中等部の担任の高畑と大学部の教授達が定期的に情報の共有と指導方法を話し合うことが決められ、彼女達以外の学校を越えた活動をする生徒に関しても情報の共有を今後は進めることになる。


「超リン~、暇なら面白アイテムでも発明して~!」

さてそんな超達の処分への周囲や世間の反応だが、クラスメートは事情を知らない者の中には元々批判的な者が居なかったので一ヶ月暇になる超と葉加瀬を部活に誘ったり何か面白い物でも作ってと頼むくらいで平常通りだった。

尤も秘匿された本来の事情を知る少女達は批判することもないが積極的に関わることもなかったが。

はっきり言えばあやかと千鶴に夕映などはまだ疑っているし、お気楽な明日菜に美砂達なんかも少し危ない人だとの認識が消えた訳ではないのだ。

横島や高畑達が目を光らせてるので心配してるというほどではないが本質が見えてくると自ら積極的に関わりたいとまでは思えないのが現状になる。

無論クラスメートとしては今まで同様に普通に話すし、別に無視したり距離を明けるというあからさまな行動をすることはない。

まあ元々仲がいいクラスとはいえ忙しかった超鈴音とは学校や教室内でばか騒ぎすることはあっても、学校外で親しく遊ぶほどではないので表面的には今までと変わらぬ関係なのは確かだが。


「一ヶ月の謹慎ね。 甘くない?」

「超包子は無罪なんだ。」

そしてクラスメート以外の反応についてだが、こちらは賛否が分かれる形となっていた。

妬みや嫉妬も合間ってもっと徹底的に超鈴音を調査しろと言う者も中には居たし、実は超鈴音がどっかの国の紐付きなのではとの有らぬ疑いも生まれていて超鈴音の能力に疑問を持ってる者の中には逆に麻帆良の技術を狙ってるのではと疑う者もいる。

この件に関してはやはり疑惑と噂が更なる疑惑と噂を呼ぶことになり、横島の噂と同様によく知らぬ者ほど厳しい意見があり超達をよく知る者は少しやり過ぎたのだから注意くらいでいいだろうという意見が大半だった。

結果として超鈴音の名声には傷がつき、その功績が高ければ高いほど妬まれ今回の件が将来に渡り少なからず影響するのは確かだろう。

ただまあ麻帆良の人間の大多数は学園の処分は支持することになり、落としどころだろうと納得することになるが。

要は今後はきちんと指導して二度と問題を起こさせない体制を作ればいいのだと考える人が多かった。

一部では学校を越えた活動に制限なり制約が増えるのではとの噂も囁かれていたが、夕映やのどかやあやかのように全うに活動をしてる者にまで制限を加えることには学園側も生徒会側も慎重だった。

実は今回の件では夕映のようにテストの成績はパッとしないが放課後や学校外での活動で高い評価を受けてる者が小数ながら居ることも密かにクローズアップされていて、全体として指導者側の情報の共有や意志疎通を今後は密にして様子をみようという方向で纏まっている。

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