二年目の春・5
「学生が増えたわね。 春祭りの影響かしら?」
「そうだと思うです。 皮肉なことかもしれませんが春祭りで初めて食べた人が日頃から店に来ることもありますから。」
さてこの日の営業は前々回の店舗での営業と比べると地元の麻帆良生がかなり増えていた。
店から近い女子中高生ばかりではなく男子や大学生も多く、フロアを仕切っていた坂本夫妻の妻と夕映は前回の春祭り参加の影響かと見ていた。
麻帆良亭は麻帆良で一二を争う歴史のある老舗であるしマホラカフェもそれなりに有名な店だが、それでも最近の学生が来たことがある人は未だ少数派であることに変わりはない。
そもそも麻帆良学園は学校にも寮にも食堂は完備されてるし学校がある地区には食堂が多く入った食堂棟すらある。
食堂は学生の為にと安くて美味しい料理を数多く提供しているし、最近は横島達が考案した麻帆良カレーだってあるのだ。
わざわざ外食しなくても十分な食堂がある上に学生の町ということでファーストフードやファミレスなどの飲食店の激戦区でもあった。
麻帆良亭がいかに絶品の料理をリーズナブルで提供していてもそれが学生達に知られていたかと言われると微妙なところである。
「お店を経営するって難しいわね。 この年になって学ぶことが多いわ。」
結局閉店した名店の味という触れ込みがあればこそ春祭りへの参加や今回の来店に繋がっているのであり、坂本夫妻の妻は少しだけ複雑そうな表情を夕映に見せていた。
閉店に関しては夫婦で熟慮に熟慮を重ねた結果でありその判断が間違いだとは今も思ってないが、それでも代々の店主が守り続けた店を自分の代で閉めてしまったことを本当に良かったのかと思う時が希にあるのだ。
ただまあ単純に続けていても今のように学生達が来てくれたとは思えないし、閉店しなければ横島がここで店を始めて少女達が集まることもなかっただろう。
そう思うと坂本夫妻の妻は過去を見るよりも今現在を見て、この店が引き合わせてくれた出会いに感謝したいと思っていた。
「ゆえちゃん、ゆえちゃん。 さかきのおじいちゃんからごほうびもらった!」
「ご褒美ですか?」
「うん!」
「あらあら、榊さん子供好きだから。」
そんな老若男女で賑わう店内を見て少し話し込んでいた二人だが、先程からフロアで注文を受けていたタマモが常連の年配者からプレゼントを貰ったと夕映に報告にくる。
夕映はすぐに中身を確認するとプレゼントは猫の形をした可愛らしい目覚まし時計であり、坂本夫妻の妻共々ついつい笑ってしまう。
開店前に美砂達からタマモにご褒美をあげるあげないで年配者達が揉めてたと二人は聞いていて、この調子だとご褒美のプレゼントが増えそうだなと思うがお礼は当然言わねばならないしこの日は横島も忙しくさよも厨房の雑用に入っていたので夕映自身がお礼を言いに行く。
ただ夕映がお礼を言いに行くと年配者達はまた自分が一番タマモを見守っていたんだと揉めていて、夕映はそんな年配者達の姿に傾国の美女という言葉がふと頭に浮かぶ。
現代にまで残る伝説の妖怪の転生体らしいタマモも今のところその片鱗すらないが、一説には傾国の美女と言われたと何かの本で読んだことを思いだしその片鱗はあるのかなと思う。
横島はいい加減なので暮れるというならお礼を言って貰っとけとしか考えてなく年配者達もタマモにご褒美やプレゼントをあげるのを喜んでるので拒否はしないが、夕映は密かに年頃になった時のためにタマモの教育はきちんとしようと心に決めていた。
「そうだと思うです。 皮肉なことかもしれませんが春祭りで初めて食べた人が日頃から店に来ることもありますから。」
さてこの日の営業は前々回の店舗での営業と比べると地元の麻帆良生がかなり増えていた。
店から近い女子中高生ばかりではなく男子や大学生も多く、フロアを仕切っていた坂本夫妻の妻と夕映は前回の春祭り参加の影響かと見ていた。
麻帆良亭は麻帆良で一二を争う歴史のある老舗であるしマホラカフェもそれなりに有名な店だが、それでも最近の学生が来たことがある人は未だ少数派であることに変わりはない。
そもそも麻帆良学園は学校にも寮にも食堂は完備されてるし学校がある地区には食堂が多く入った食堂棟すらある。
食堂は学生の為にと安くて美味しい料理を数多く提供しているし、最近は横島達が考案した麻帆良カレーだってあるのだ。
わざわざ外食しなくても十分な食堂がある上に学生の町ということでファーストフードやファミレスなどの飲食店の激戦区でもあった。
麻帆良亭がいかに絶品の料理をリーズナブルで提供していてもそれが学生達に知られていたかと言われると微妙なところである。
「お店を経営するって難しいわね。 この年になって学ぶことが多いわ。」
結局閉店した名店の味という触れ込みがあればこそ春祭りへの参加や今回の来店に繋がっているのであり、坂本夫妻の妻は少しだけ複雑そうな表情を夕映に見せていた。
閉店に関しては夫婦で熟慮に熟慮を重ねた結果でありその判断が間違いだとは今も思ってないが、それでも代々の店主が守り続けた店を自分の代で閉めてしまったことを本当に良かったのかと思う時が希にあるのだ。
ただまあ単純に続けていても今のように学生達が来てくれたとは思えないし、閉店しなければ横島がここで店を始めて少女達が集まることもなかっただろう。
そう思うと坂本夫妻の妻は過去を見るよりも今現在を見て、この店が引き合わせてくれた出会いに感謝したいと思っていた。
「ゆえちゃん、ゆえちゃん。 さかきのおじいちゃんからごほうびもらった!」
「ご褒美ですか?」
「うん!」
「あらあら、榊さん子供好きだから。」
そんな老若男女で賑わう店内を見て少し話し込んでいた二人だが、先程からフロアで注文を受けていたタマモが常連の年配者からプレゼントを貰ったと夕映に報告にくる。
夕映はすぐに中身を確認するとプレゼントは猫の形をした可愛らしい目覚まし時計であり、坂本夫妻の妻共々ついつい笑ってしまう。
開店前に美砂達からタマモにご褒美をあげるあげないで年配者達が揉めてたと二人は聞いていて、この調子だとご褒美のプレゼントが増えそうだなと思うがお礼は当然言わねばならないしこの日は横島も忙しくさよも厨房の雑用に入っていたので夕映自身がお礼を言いに行く。
ただ夕映がお礼を言いに行くと年配者達はまた自分が一番タマモを見守っていたんだと揉めていて、夕映はそんな年配者達の姿に傾国の美女という言葉がふと頭に浮かぶ。
現代にまで残る伝説の妖怪の転生体らしいタマモも今のところその片鱗すらないが、一説には傾国の美女と言われたと何かの本で読んだことを思いだしその片鱗はあるのかなと思う。
横島はいい加減なので暮れるというならお礼を言って貰っとけとしか考えてなく年配者達もタマモにご褒美やプレゼントをあげるのを喜んでるので拒否はしないが、夕映は密かに年頃になった時のためにタマモの教育はきちんとしようと心に決めていた。