二年目の春・5
さて結局なんだかんだと賑やかになったこの日だが夕食のメインはハンバーグである。
例によって坂本夫妻はこの日も泊まりであり弟子の藤井も今夜中に来る予定なので多少食客が増えるが、まあ日頃から食客の多い横島達の夕食では誤差の範囲内だろう。
「むっ!? 今日は麻帆良亭のハンバーグだ!」
「せっかく坂本さんが居るんだから料理教わっててな。」
街はすっかり夜の闇に包まれており常連の年配者もすでに居ない店内ではいつものメンバーが揃っての夕食となるが、この日の夕食は練習をかねて麻帆良亭のレシピによる物になり夕食を待ちきれないとばかりにハンバーグにかぶりついた桜子は真っ先にその味に気付く。
「同じハンバーグでも味が違うのよねー。」
「わたしこれもすき!」
明らかに横島の味ではないので気付くのは容易いが横島の味とはまた違う麻帆良亭の味も少女達には好評で、タマモなんかは桜子と競うように口いっぱいにハンバーグを頬張る。
外は香ばしく焼けていて肉の香りが食欲をそそるが、口に入れると微かな香辛料が肉の旨味を引き立てていて美味い。
肉汁も口の中では広がるがハンバーグを切ると溢れてくるほどではなく、きちんとバランスが取れた昔ながらのハンバーグといった感じだ。
ちなみに坂本夫妻は昼間から店に居続け夕食を食べてるアナスタシアやまき絵と亜子を見て、また新しい女の子が増えたなと他人事のように見ていた。
別に悪いことでもないのでいいのだが何故こうも若い女性ばかり集まるのかと少し不思議な気がしないでもない。
「まきちゃんも無事選抜テスト合格したし、タマちゃんも今日はお手柄やったもんな。 お代わりまだまだあるえ。」
「今日は緊張したよー。 そうそうあの怖いコーチが今日の部活見に来てたよ。 なんでだろ?」
「怖い? ああ、あの人ね。」
一方少女達の食事はいつもと同じく楽しく賑やかであり、その日あったことなど話していたがまき絵が思い出したかのように新体操部の選抜テストを見ていた大学部の陣内コーチのことを話すと少女達と横島は少し興味があるのか雑談が止まる。
「マスター、またなんかした?」
「失礼な。 なんもしとらんわ!」
大学部の施設で練習してる時にずっと睨むように見られていたからか横島は微妙そうな表情をするも、少女達はちょっと疑うような視線を横島に向けていた。
陣内のことは初日の練習に着いていった木乃香達や美砂達は顔くらいは覚えていたが、見た目や性格が横島の好きそうなタイプではないものの失礼ながらあまり男性と付き合ったことがあるタイプには見えないので何かのきっかけに陣内が横島に好意を持ったのではと多少疑っている。
「刀子さんなんか聞いてない?」
「特には……。 連休だし中等部以外から人が来るのはさほど珍しくないもの。 佐々木さんと横島君が大学部で練習してる話は教師の間でも結構話題だったけど。」
何かしたのかと疑われた横島は何もしてないと本気で無実を主張するも、はっきりいってその手の話での横島の信頼度は限り無く低く美砂は刀子にまで確認するように聞くが流石に刀子も知らなかった。
「へっ? なんで話題に?」
「横島君は何かと目立つから注目集めやすいのよ。 去年の麻帆良祭とか体育祭とかいろいろあったし。」
まさかあり得ないだろうというのが少女達の本音だが最近まさかと思われていたまき絵の件もあり疑いは晴れない。
そんな中横島は自分が中等部の教師達の話題になってると聞き目を丸くしていた。
実は本人は何かと話題になってることをほとんど知らなく昨年少し話題になったことは知っていても、ここしばらくは大人しくしていたつもりなので話題になる理由が分からないらしい。
まあ横島が中等部教師陣の注目を集めてる最大の理由は刀子の存在にもあるので、当事者である刀子もどんな噂をされてるかは明確には知らないが。
ただ主に女性関係で横島が話題に上がってるのは確実であり知らぬは本人ばかりだった。
例によって坂本夫妻はこの日も泊まりであり弟子の藤井も今夜中に来る予定なので多少食客が増えるが、まあ日頃から食客の多い横島達の夕食では誤差の範囲内だろう。
「むっ!? 今日は麻帆良亭のハンバーグだ!」
「せっかく坂本さんが居るんだから料理教わっててな。」
街はすっかり夜の闇に包まれており常連の年配者もすでに居ない店内ではいつものメンバーが揃っての夕食となるが、この日の夕食は練習をかねて麻帆良亭のレシピによる物になり夕食を待ちきれないとばかりにハンバーグにかぶりついた桜子は真っ先にその味に気付く。
「同じハンバーグでも味が違うのよねー。」
「わたしこれもすき!」
明らかに横島の味ではないので気付くのは容易いが横島の味とはまた違う麻帆良亭の味も少女達には好評で、タマモなんかは桜子と競うように口いっぱいにハンバーグを頬張る。
外は香ばしく焼けていて肉の香りが食欲をそそるが、口に入れると微かな香辛料が肉の旨味を引き立てていて美味い。
肉汁も口の中では広がるがハンバーグを切ると溢れてくるほどではなく、きちんとバランスが取れた昔ながらのハンバーグといった感じだ。
ちなみに坂本夫妻は昼間から店に居続け夕食を食べてるアナスタシアやまき絵と亜子を見て、また新しい女の子が増えたなと他人事のように見ていた。
別に悪いことでもないのでいいのだが何故こうも若い女性ばかり集まるのかと少し不思議な気がしないでもない。
「まきちゃんも無事選抜テスト合格したし、タマちゃんも今日はお手柄やったもんな。 お代わりまだまだあるえ。」
「今日は緊張したよー。 そうそうあの怖いコーチが今日の部活見に来てたよ。 なんでだろ?」
「怖い? ああ、あの人ね。」
一方少女達の食事はいつもと同じく楽しく賑やかであり、その日あったことなど話していたがまき絵が思い出したかのように新体操部の選抜テストを見ていた大学部の陣内コーチのことを話すと少女達と横島は少し興味があるのか雑談が止まる。
「マスター、またなんかした?」
「失礼な。 なんもしとらんわ!」
大学部の施設で練習してる時にずっと睨むように見られていたからか横島は微妙そうな表情をするも、少女達はちょっと疑うような視線を横島に向けていた。
陣内のことは初日の練習に着いていった木乃香達や美砂達は顔くらいは覚えていたが、見た目や性格が横島の好きそうなタイプではないものの失礼ながらあまり男性と付き合ったことがあるタイプには見えないので何かのきっかけに陣内が横島に好意を持ったのではと多少疑っている。
「刀子さんなんか聞いてない?」
「特には……。 連休だし中等部以外から人が来るのはさほど珍しくないもの。 佐々木さんと横島君が大学部で練習してる話は教師の間でも結構話題だったけど。」
何かしたのかと疑われた横島は何もしてないと本気で無実を主張するも、はっきりいってその手の話での横島の信頼度は限り無く低く美砂は刀子にまで確認するように聞くが流石に刀子も知らなかった。
「へっ? なんで話題に?」
「横島君は何かと目立つから注目集めやすいのよ。 去年の麻帆良祭とか体育祭とかいろいろあったし。」
まさかあり得ないだろうというのが少女達の本音だが最近まさかと思われていたまき絵の件もあり疑いは晴れない。
そんな中横島は自分が中等部の教師達の話題になってると聞き目を丸くしていた。
実は本人は何かと話題になってることをほとんど知らなく昨年少し話題になったことは知っていても、ここしばらくは大人しくしていたつもりなので話題になる理由が分からないらしい。
まあ横島が中等部教師陣の注目を集めてる最大の理由は刀子の存在にもあるので、当事者である刀子もどんな噂をされてるかは明確には知らないが。
ただ主に女性関係で横島が話題に上がってるのは確実であり知らぬは本人ばかりだった。