二年目の春・5
「急に静かになったと思ったら……。」
その頃横島は店で仕事をしながら木乃香達と一緒に坂本夫妻の夫に麻帆良亭の料理を教わったりしていたが、店内の方が急に静かになったので気になって行ってみると静けさの中で注目を集めてる二人が居た。
「あっ、マスター。」
「どっちが勝ってるの?」
一人はすっかり店の常連というか最近は店のヌシになりつつあるアナスタシアで、もう一人は麻帆良が誇る完璧超人超鈴音だった。
超は葉加瀬と共に自主的に謹慎しているがまだ学園側の正式な処分は降りてなく、連休に部屋に籠りがちな二人を心配した高畑が昼食でも一緒にと連れて来たらしいがなんの因果かアナスタシアバージョンのエヴァと囲碁で勝負をしている。
「五分五分か、超さんが少し優勢かってとこだな。」
休日の店内は賑やかだったのだがアナスタシアと超はそんな店内の賑やかさとは無縁な様子で無言のまま淡々と碁石を打っていて、その緊迫した勝負に周囲の年配者達も自ずと静かになり果ては店内で騒いでいた女子中高生達もなんとなく注目し始めていたようである。
尤も囲碁のルールも見方も分からぬ少女達なので横島が行くとすぐに質問攻めにしていたが。
「彼女囲碁まで出来るんだ。」
「出来るなんてもんじゃねえぞ。 姉ちゃんはプロ並の強さなんだ。 わしらが束になっても勝てんと言うのに……。」
完璧超人と異名を持つ超鈴音なだけに囲碁が出来ても少女達はあまり驚きはないようだったが、年配者達は超鈴音の噂は知っていたが実際に直接見た者は居なかったらしくその実力に度肝を抜かれていた。
「いや、騒がして済まないね。 彼女達が部屋に籠ってると聞いたから連れ出したんだが。」
そして横島の店では珍しい静けさと緊張感に超と葉加瀬を連れて来た高畑は妙なことになり申し訳なさそうに謝るが、もう一人の一緒に連れて来た葉加瀬の方は流石に囲碁のやり方を知らないようで超の隣に座りアナスタシアと超が打つ姿を静かに見ているだけだ。
「なかなか面白い勝負じゃないっすか。」
実は最初にこの勝負を誘ったのは意外なことにアナスタシアの方である。
先日の修学旅行の一件やそれ以降のこともアナスタシアことエヴァは直接何か動いた訳ではないが、彼女は彼女なりに考えがあり現状の超鈴音を見極めようとして超を囲碁に誘ったのだ。
横島はそんなエヴァの意図をすぐに理解するも、同時に皮肉めいたものを僅かに感じる。
未来という異なる世界から来て力で世界を改変しようとした超鈴音が最も怖れていたのは紛れもなくエヴァであり、そんな相手とのんびりと囲碁で勝負するというのは超鈴音からするとどんな心境なのだろうと考えてしまう。
「マスターの元カノ外国人なのに凄いじゃん。」
「だから違うっつうの。」
「マスターが教えたんでしょ? 外人の美女に手取り足取りいろいろね。」
ただ少女達の方はルールも見方も分からぬ囲碁をいつまでも見て居られるほどではなく、ほとんどの少女達はすぐに興味を横島と元カノと言われるアナスタシアの話題に切り替えてしまい店内はすぐに賑やかに戻ってしまった。
横島とアナスタシアが恋人や元恋人らしい行動を取ったことは一度もないが、やはり周りは完全に信じてしまいアナスタシアに囲碁を教えたのも横島だろうと勝手な想像を事実として広めることになる。
その頃横島は店で仕事をしながら木乃香達と一緒に坂本夫妻の夫に麻帆良亭の料理を教わったりしていたが、店内の方が急に静かになったので気になって行ってみると静けさの中で注目を集めてる二人が居た。
「あっ、マスター。」
「どっちが勝ってるの?」
一人はすっかり店の常連というか最近は店のヌシになりつつあるアナスタシアで、もう一人は麻帆良が誇る完璧超人超鈴音だった。
超は葉加瀬と共に自主的に謹慎しているがまだ学園側の正式な処分は降りてなく、連休に部屋に籠りがちな二人を心配した高畑が昼食でも一緒にと連れて来たらしいがなんの因果かアナスタシアバージョンのエヴァと囲碁で勝負をしている。
「五分五分か、超さんが少し優勢かってとこだな。」
休日の店内は賑やかだったのだがアナスタシアと超はそんな店内の賑やかさとは無縁な様子で無言のまま淡々と碁石を打っていて、その緊迫した勝負に周囲の年配者達も自ずと静かになり果ては店内で騒いでいた女子中高生達もなんとなく注目し始めていたようである。
尤も囲碁のルールも見方も分からぬ少女達なので横島が行くとすぐに質問攻めにしていたが。
「彼女囲碁まで出来るんだ。」
「出来るなんてもんじゃねえぞ。 姉ちゃんはプロ並の強さなんだ。 わしらが束になっても勝てんと言うのに……。」
完璧超人と異名を持つ超鈴音なだけに囲碁が出来ても少女達はあまり驚きはないようだったが、年配者達は超鈴音の噂は知っていたが実際に直接見た者は居なかったらしくその実力に度肝を抜かれていた。
「いや、騒がして済まないね。 彼女達が部屋に籠ってると聞いたから連れ出したんだが。」
そして横島の店では珍しい静けさと緊張感に超と葉加瀬を連れて来た高畑は妙なことになり申し訳なさそうに謝るが、もう一人の一緒に連れて来た葉加瀬の方は流石に囲碁のやり方を知らないようで超の隣に座りアナスタシアと超が打つ姿を静かに見ているだけだ。
「なかなか面白い勝負じゃないっすか。」
実は最初にこの勝負を誘ったのは意外なことにアナスタシアの方である。
先日の修学旅行の一件やそれ以降のこともアナスタシアことエヴァは直接何か動いた訳ではないが、彼女は彼女なりに考えがあり現状の超鈴音を見極めようとして超を囲碁に誘ったのだ。
横島はそんなエヴァの意図をすぐに理解するも、同時に皮肉めいたものを僅かに感じる。
未来という異なる世界から来て力で世界を改変しようとした超鈴音が最も怖れていたのは紛れもなくエヴァであり、そんな相手とのんびりと囲碁で勝負するというのは超鈴音からするとどんな心境なのだろうと考えてしまう。
「マスターの元カノ外国人なのに凄いじゃん。」
「だから違うっつうの。」
「マスターが教えたんでしょ? 外人の美女に手取り足取りいろいろね。」
ただ少女達の方はルールも見方も分からぬ囲碁をいつまでも見て居られるほどではなく、ほとんどの少女達はすぐに興味を横島と元カノと言われるアナスタシアの話題に切り替えてしまい店内はすぐに賑やかに戻ってしまった。
横島とアナスタシアが恋人や元恋人らしい行動を取ったことは一度もないが、やはり周りは完全に信じてしまいアナスタシアに囲碁を教えたのも横島だろうと勝手な想像を事実として広めることになる。