二年目の春・5
同じ頃エヴァ宅の裏に造った花壇では茶々丸が手入れをしていた。
すくすくと育つ花の成長を眺めるのが彼女の日課であると同時に楽しみの一つであり、最近は桜の木も植えたりと花壇を少しずつ拡大している。
元々周囲を小さな森に囲まれた家なのでどちらかと言えば殺風景な環境だったのだが、花壇を造ったりタマモが散歩のコースにしてるからか野良猫が居着いたりした結果華やかというか命の息吹きを感じる環境になりつつあった。
「私が名前を考えるなんて……。」
そんな花壇を手入れしてはあくびをする野良猫と一緒に眺めている茶々丸であるが、この日は少しばかり悩んでいる。
実は今日の夜にでも横島から超鈴音製の新型ガイノイドを茶々丸に渡すからと言われていて、事前に名前を考えておかねばならなくなったからだった。
タイプ的にはボディのサイズが茶々丸よりも小型で子供サイズのボディが二体あるので茶々丸の妹の双子として顔を茶々丸に似てる程度に変えたらしいが、名前は茶々丸が付けたらいいと横島が付けてくれなかった為に茶々丸が考えるハメになっている。
横島からはあくまでも純粋なガイノイドであり魂を与えた訳ではないから気楽に考えたらと言われたが、それでも茶々丸は自らの妹とも言える二人の名前に悩んでいるのだ。
「ミャー。」
もしかすれば自分のようにいつか魂が宿り命ある存在になるかもしれないと思うと幸せになって欲しいとも思うし、みんなに祝福される存在であって欲しいと願うとなかなか名前が決まらないらしい。
暇なのかすり寄って来た野良猫を撫でてやりながら茶々丸は妹達の存在を楽しみにしつつ悩み続けることになる。
「陣内先輩、突然どうしたんですか?」
「ちょっと見学させて欲しいのよ。」
一方女子中等部では選抜テストを前に新体操部員達が準備体操をしていたが、顧問の二ノ宮の元に麻帆良大の新体操部コーチをしてる陣内が突然訪ねてきていた。
先輩と後輩という関係ではあったが正直さほど親しい訳でもなく、年に一度だけ女子中等部の生徒達を大学部の新体操部の見学に連れていく時に挨拶する程度の関係なだけに突然訪ねて来たことには流石に驚いたらしい。
「別にいいですけどまき絵ですか?」
「あの人が何を考え教えていたのか知りたいの。」
ただ二ノ宮には陣内が訪ねてくる訳が思い当たらない訳ではなく恐らくまき絵の関係かと当たりをつけると、陣内はそれを肯定しつつ詳しい訳を語る。
実は陣内には横島の教え方というかやり方が今一つ理解できないというか納得いかない部分が多いらしく、その結果がどうなるのか知りたかったようなのだ。
「どういう教え方をしてたんです?」
「たいしたこと教えてなかったわ。 ただ魅せることを意識させることと呼吸の取り方について少し教えてたけど。」
真面目というか堅物な性格である陣内は新体操について誰よりも真剣に取り組んでいるが、正直二ノ宮はそこまで新体操だけを見て生きてる訳ではない。
しかし陣内をここまで動かす噂のマスターである横島のことは二ノ宮も気になるらしく何かの参考になればと昨年のまき絵の大会の映像を見せながら話をするも、二ノ宮には取り立てて気にするようなことをしたようには思えなかった。
「まき絵は元々練習熱心ですし運動神経もよくセンスもあるんですよ。 ただあの性格がね。」
ただまあ大学部の新体操部には世話になってるので横島のことはともかくまき絵について説明していく。
「貴女そのこと本人に話したの?」
「いえ、流石にそこまでは。」
陣内はまき絵の練習を可能な限り見ていたものの彼女にも指導する学生が居て練習中の会話まで全て聞いていた訳ではなかった。
だが選抜テストの為にと話していたのは聞いていたし、二ノ宮の話からどうやらまき絵が直接か間接的かは知らないが二ノ宮が懸念してることを知ったのだろうと理解する。
すくすくと育つ花の成長を眺めるのが彼女の日課であると同時に楽しみの一つであり、最近は桜の木も植えたりと花壇を少しずつ拡大している。
元々周囲を小さな森に囲まれた家なのでどちらかと言えば殺風景な環境だったのだが、花壇を造ったりタマモが散歩のコースにしてるからか野良猫が居着いたりした結果華やかというか命の息吹きを感じる環境になりつつあった。
「私が名前を考えるなんて……。」
そんな花壇を手入れしてはあくびをする野良猫と一緒に眺めている茶々丸であるが、この日は少しばかり悩んでいる。
実は今日の夜にでも横島から超鈴音製の新型ガイノイドを茶々丸に渡すからと言われていて、事前に名前を考えておかねばならなくなったからだった。
タイプ的にはボディのサイズが茶々丸よりも小型で子供サイズのボディが二体あるので茶々丸の妹の双子として顔を茶々丸に似てる程度に変えたらしいが、名前は茶々丸が付けたらいいと横島が付けてくれなかった為に茶々丸が考えるハメになっている。
横島からはあくまでも純粋なガイノイドであり魂を与えた訳ではないから気楽に考えたらと言われたが、それでも茶々丸は自らの妹とも言える二人の名前に悩んでいるのだ。
「ミャー。」
もしかすれば自分のようにいつか魂が宿り命ある存在になるかもしれないと思うと幸せになって欲しいとも思うし、みんなに祝福される存在であって欲しいと願うとなかなか名前が決まらないらしい。
暇なのかすり寄って来た野良猫を撫でてやりながら茶々丸は妹達の存在を楽しみにしつつ悩み続けることになる。
「陣内先輩、突然どうしたんですか?」
「ちょっと見学させて欲しいのよ。」
一方女子中等部では選抜テストを前に新体操部員達が準備体操をしていたが、顧問の二ノ宮の元に麻帆良大の新体操部コーチをしてる陣内が突然訪ねてきていた。
先輩と後輩という関係ではあったが正直さほど親しい訳でもなく、年に一度だけ女子中等部の生徒達を大学部の新体操部の見学に連れていく時に挨拶する程度の関係なだけに突然訪ねて来たことには流石に驚いたらしい。
「別にいいですけどまき絵ですか?」
「あの人が何を考え教えていたのか知りたいの。」
ただ二ノ宮には陣内が訪ねてくる訳が思い当たらない訳ではなく恐らくまき絵の関係かと当たりをつけると、陣内はそれを肯定しつつ詳しい訳を語る。
実は陣内には横島の教え方というかやり方が今一つ理解できないというか納得いかない部分が多いらしく、その結果がどうなるのか知りたかったようなのだ。
「どういう教え方をしてたんです?」
「たいしたこと教えてなかったわ。 ただ魅せることを意識させることと呼吸の取り方について少し教えてたけど。」
真面目というか堅物な性格である陣内は新体操について誰よりも真剣に取り組んでいるが、正直二ノ宮はそこまで新体操だけを見て生きてる訳ではない。
しかし陣内をここまで動かす噂のマスターである横島のことは二ノ宮も気になるらしく何かの参考になればと昨年のまき絵の大会の映像を見せながら話をするも、二ノ宮には取り立てて気にするようなことをしたようには思えなかった。
「まき絵は元々練習熱心ですし運動神経もよくセンスもあるんですよ。 ただあの性格がね。」
ただまあ大学部の新体操部には世話になってるので横島のことはともかくまき絵について説明していく。
「貴女そのこと本人に話したの?」
「いえ、流石にそこまでは。」
陣内はまき絵の練習を可能な限り見ていたものの彼女にも指導する学生が居て練習中の会話まで全て聞いていた訳ではなかった。
だが選抜テストの為にと話していたのは聞いていたし、二ノ宮の話からどうやらまき絵が直接か間接的かは知らないが二ノ宮が懸念してることを知ったのだろうと理解する。