二年目の春・5
「寝ちゃったわね。」
その後焼肉をお腹いっぱい食べた一行は麻帆良に帰ることするが、暖房の効いた暖かい電車に乗るとタマモは朝から騒いでいた疲れや満腹感からかウトウトとし始めるとあっさりと眠ってしまう。
ついさっきまでは動物園の話を楽しげにしていたのだがやはり睡魔には勝てないらしい。
「可愛ええわ。」
「どんな大人になるんだろうね。」
連休であるし時間的にも混雑する時間ではないのでタマモは空いた席に座り気持ちよさげに寝息をたてている。
無邪気さや幼さが残るその寝顔だが傾国の美女に相応しい美しさの片鱗も見えていた。
少女達はそんなタマモの寝顔を見てるだけでホッとするような幸せを感じており、タマモの大人になった姿を想像して思わず未来の光景に想いを馳せる。
「大人か。」
一方横島は少女達が話す大人になったタマモの姿の話を聞きながらふと過去を思い出す。
かつての世界においても横島の身近にはシロとタマモという二人の妖怪がいたが、二人は大人になるに従って歩む道を自ずと決めて生きていた。
シロは令子やおキヌと共にGS事務所で横島の抜けた穴を埋めるほど活躍したが、かつての世界のタマモはあまり除霊への参加を好まず最終的には横島の居た妙神山に居着いてしまう。
別に令子やおキヌとの関係が良くなかった訳ではないので美神事務所と妙神山を行ったり来たりして自由にしていたが、神魔が対立し世界が不穏な空気に包まれ始めると妙神山に籠るようになる。
当時小竜姫はそんなタマモのことを不要な争いを避けたいのだろうと推測していて、事実その後神魔の対立の余波で世界が荒れていくとシロは人と争いにならぬようにと人狼の里に戻されたし机の妖怪の愛子は居場所を失い妙神山に身を寄せる結果となった。
それらの出来事や流れが良かったのか悪かったのか横島には未だ判断が出来ないし、当時の横島は今ほど力もなく半人半魔といった複雑な存在なので無闇に力を使うこと自体禁じられていたのでどうしようもなかったのだが。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでも……。」
この世界もタマモに限らず少女達がこれから先に自ら未来を選び幸せになるには少なくとも平和な国や世の中が必要になる。
しかし僅か十数年先の平穏な環境を守るのでさえ簡単ではないのだ。
そんな過去と未来を考えしばし思考の渦に飲まれていた横島であるが、気が付くとタマモの話題で盛り上がっていた少女達が静かに見つめている。
「なんとかなるよ。」
「うんうん。」
「何のことか全然分からないけどね。」
時々横島が遠く感じるほど何を悩むというか考えてることはまき絵や亜子は別にして他の少女達は今更なことであった。
夕映達に雪広姉妹や千鶴などは横島から語らぬ以上は深く追求はしないが、桜子が楽観的というか何を考えてるかすら理解せぬままなんとかなると口にすると美砂や円に加えてまき絵や亜子までもが同意するように頷き笑顔を見せる。
「そうだな。 なんとかなるかな。」
それは本当に楽観的で何も知らぬからこその言葉や笑顔であったが、横島はそんな少女達のおかげで本当になんとかなるような気がした。
元々精神的な強さや信念などない横島は周りの人に助けられ流されて生きているのだ。
結果として横島は未だに少女達の助けを借りて日々を生きてるに過ぎなかった。
その後焼肉をお腹いっぱい食べた一行は麻帆良に帰ることするが、暖房の効いた暖かい電車に乗るとタマモは朝から騒いでいた疲れや満腹感からかウトウトとし始めるとあっさりと眠ってしまう。
ついさっきまでは動物園の話を楽しげにしていたのだがやはり睡魔には勝てないらしい。
「可愛ええわ。」
「どんな大人になるんだろうね。」
連休であるし時間的にも混雑する時間ではないのでタマモは空いた席に座り気持ちよさげに寝息をたてている。
無邪気さや幼さが残るその寝顔だが傾国の美女に相応しい美しさの片鱗も見えていた。
少女達はそんなタマモの寝顔を見てるだけでホッとするような幸せを感じており、タマモの大人になった姿を想像して思わず未来の光景に想いを馳せる。
「大人か。」
一方横島は少女達が話す大人になったタマモの姿の話を聞きながらふと過去を思い出す。
かつての世界においても横島の身近にはシロとタマモという二人の妖怪がいたが、二人は大人になるに従って歩む道を自ずと決めて生きていた。
シロは令子やおキヌと共にGS事務所で横島の抜けた穴を埋めるほど活躍したが、かつての世界のタマモはあまり除霊への参加を好まず最終的には横島の居た妙神山に居着いてしまう。
別に令子やおキヌとの関係が良くなかった訳ではないので美神事務所と妙神山を行ったり来たりして自由にしていたが、神魔が対立し世界が不穏な空気に包まれ始めると妙神山に籠るようになる。
当時小竜姫はそんなタマモのことを不要な争いを避けたいのだろうと推測していて、事実その後神魔の対立の余波で世界が荒れていくとシロは人と争いにならぬようにと人狼の里に戻されたし机の妖怪の愛子は居場所を失い妙神山に身を寄せる結果となった。
それらの出来事や流れが良かったのか悪かったのか横島には未だ判断が出来ないし、当時の横島は今ほど力もなく半人半魔といった複雑な存在なので無闇に力を使うこと自体禁じられていたのでどうしようもなかったのだが。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでも……。」
この世界もタマモに限らず少女達がこれから先に自ら未来を選び幸せになるには少なくとも平和な国や世の中が必要になる。
しかし僅か十数年先の平穏な環境を守るのでさえ簡単ではないのだ。
そんな過去と未来を考えしばし思考の渦に飲まれていた横島であるが、気が付くとタマモの話題で盛り上がっていた少女達が静かに見つめている。
「なんとかなるよ。」
「うんうん。」
「何のことか全然分からないけどね。」
時々横島が遠く感じるほど何を悩むというか考えてることはまき絵や亜子は別にして他の少女達は今更なことであった。
夕映達に雪広姉妹や千鶴などは横島から語らぬ以上は深く追求はしないが、桜子が楽観的というか何を考えてるかすら理解せぬままなんとかなると口にすると美砂や円に加えてまき絵や亜子までもが同意するように頷き笑顔を見せる。
「そうだな。 なんとかなるかな。」
それは本当に楽観的で何も知らぬからこその言葉や笑顔であったが、横島はそんな少女達のおかげで本当になんとかなるような気がした。
元々精神的な強さや信念などない横島は周りの人に助けられ流されて生きているのだ。
結果として横島は未だに少女達の助けを借りて日々を生きてるに過ぎなかった。