二年目の春・5

「やっぱ連休だし混んでるわね~。」

一行がこの日向かったのは上野動物園であったが電車を乗り換え上野駅で降りると上野は観光客などで賑わっていた。

少女達が日頃でかける渋谷などとは違い比較的年齢層が高めの人が目につくが、動物園に近付けばやはり家族連れなども目立ってくる。


「千葉に行くと麻帆良学園付属動物園と水族館もあるのですが以外に遠いですからね。」

「そういや千葉にも麻帆良学園があんだっけか?」

「麻帆良学園は昔は分校もあちこちにあったようで千葉麻帆良はその残りですね。 主に水産や海洋系の大学や専門学校があります。 あと千葉麻帆良には雪広グループと那波グループの工場も多くあるです。」

横島的には動物園と言えば上野動物園だろうと考えてここにしたが、どうやら麻帆良学園には獣医学科付属の動物園まであるらしい。

ただ麻帆良学園付属動物園は埼玉県麻帆良市ではなく千葉県麻帆良町にある、いわゆる千葉分校の敷地にある動物園だった。

元々麻帆良学園は魔法協会という裏の顔があり日本各地に大小様々な分校を作っていたが、移動手段の発達や経営効率などに加えて魔法協会の方針変更などあり現在は内陸の麻帆良では出来ぬ海洋系の学校が残る千葉麻帆良のみが残っている。

横島も噂程度に千葉麻帆良については聞いたことはあるが行ったことはない場所であり、 麻帆良学園付属動物園に行くという選択肢はなかったらしい。

なお余談だが千葉麻帆良は埼玉県麻帆良市ほどではないが一つの町とも言える敷地を持ち、こちらには雪広や那波などの麻帆良派企業の工場が多くあった。

民間の学園による広大な土地の所有と学園自治とも言える完全な議会制民主主義でない都市運営には麻帆良市共々批判されることもあるが、千葉麻帆良は周辺市町村の雇用の場でもあり昔から地域に根付いているので地元の評判はいい。


「わーい! どうぶつさんだ!」

「タマちゃん嬉しそうや。 動物園初めてやもんな~。」

さて雑談をしながら歩くと一行はすぐに上野動物園に到着していた。

あと何人か居たら団体料金になれる人数の一行はここでも少し目立っているが、流石に麻帆良を離れると横島を知る者も居ないのでどっかから来た団体客のように見られていた。

まあ上野動物園なんかだと修学旅行を初めとした団体客は珍しくないのだろう。

一行はそのまま料金を払い園内に入るが、園内に入って早々に走り出すタマモを木乃香なんかは微笑ましげに見ているも人も多く迷子になるからと明日菜とさよが慌てて止めに走る。


「いいタマちゃん。 動物さんとお話し出来ること言っちゃダメよ。 今日はまきちゃん達居るんだから。」

「うん。 ひみつにする。」

ちなみに明日菜や木乃香達は動物園に来るに前から、何度もタマモに動物とお話し出来ることを言わないようにと言われていた。

少女達も時々忘れそうになるがタマモは妖狐でありネコを始めとした動物やら雪広家の桜の木なんかと話を出来るのは知っている。

横島は幼いタマモのことだからとあまり気にしてないが明日菜達は今後の為にもあまり不用意なことは言わないように教育しているのだ。



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