二年目の春・5
この日の移動手段は電車である。
時間的にいつもならば通勤ラッシュが終わった頃の電車であるが、この日は連休ということもあり東京に出掛ける麻帆良の学生達が目につく。
「はしるでんしゃもはやいね!」
「あんまり騒いじゃダメよ。 他の人もいるんだから。」
少女達は毎日通学で電車に乗るので電車は珍しくもなんともないが、タマモは時々しか乗れないので電車に乗れたことも嬉しそうだった。
乗降口のドアのガラス窓から外を眺めては未知の世界に瞳を輝かせていたが、ついつい大きな声を上げて話してしまうタマモを明日菜や夕映なんかが落ち着かせたりと賑やかである。
「刀子さんもさやかさんもすいませんね。 付き合わせちゃって。」
「いいのよ。 どうせ予定もなかったしね。」
「私も構いませんわ。 こんな機会でもないと動物園にはいくことがありませんから。」
一方横島は刀子とさやかに対し、連休初日にタマモの動物園に付き合わせてしまったことを少し申し訳なさそうに謝罪していた。
他の少女達や暇人のエヴァと違い大人の刀子や高校生のさやかはやはり横島も気を使うようである。
何処かにお出掛けしようかと言い出したのは横島だが、タマモはいつも異空間アジトに行くときのように普通にみんなを誘っていて仕事があり来れない高畑以外は誰一人かけてない。
実はさやかは忙しい身なので予定があったものの、横島やタマモに誘われたならばそちらを優先させても両親から何も言われないので本人的には楽だったりする。
もちろん両親や祖父から何か指示されてる訳ではないが暗黙の了解としてさやかには横島達と親交を深めることは求められていた。
その辺りは話さなくても分かるようでなくては雪広家の長女としてやっていけないという事情があるが、同時に忙しい日常から抜け出せ気楽に過ごせる時間となっていて本人的には楽しんでいる。
無論打算や思惑が全くないとは言わないがそれは人が生きてる以上は少なからずついて回るものであり、さやかとしては雪広家にとっても横島にとっても周りの女性達にとっても決して悪いことにはならないようにと考えていた。
ただ実際のところ横島には打算も何も深い考えがないので、さやかの気掛かりは横島と少女達の今後の関係くらいであるが。
正直なところ純粋に好意と愛情を優先させられる横島や少女達が羨ましいと思わなくもないのが彼女の決して人には言えぬ本音になる。
「ねえねえ、マスター。 このスカートどう?」
「ちょっと短すぎないか? 見えちまうぞ。」
「えー? そうかな~。 可愛いスカートなんだよ。」
その後一行は何だかんだとおしゃべりをしながら電車に揺られていくが、やはり横島の周りが少し騒がしくなるのは変わらなかった。
しかもせっかくだからとおしゃれをして来た少女達に囲まれている横島は、周りの野郎達の嫉妬の籠った視線を一身に浴びてしまい内心では何とも言えない心境になる。
横島としては無実だと訴えたいのだろうが状況的にも女性陣の様子からしても限りなくクロであり、誰も無実だとは思わないだろう。
ちなみにじゃあ一人寄越せなどと言われたら横島は即断り全力で拒否するのだろうが。
手を出してはないので友人の範囲だが他人に渡したいかと言われるとノーというのが横島の偽らざる本音である。
時間的にいつもならば通勤ラッシュが終わった頃の電車であるが、この日は連休ということもあり東京に出掛ける麻帆良の学生達が目につく。
「はしるでんしゃもはやいね!」
「あんまり騒いじゃダメよ。 他の人もいるんだから。」
少女達は毎日通学で電車に乗るので電車は珍しくもなんともないが、タマモは時々しか乗れないので電車に乗れたことも嬉しそうだった。
乗降口のドアのガラス窓から外を眺めては未知の世界に瞳を輝かせていたが、ついつい大きな声を上げて話してしまうタマモを明日菜や夕映なんかが落ち着かせたりと賑やかである。
「刀子さんもさやかさんもすいませんね。 付き合わせちゃって。」
「いいのよ。 どうせ予定もなかったしね。」
「私も構いませんわ。 こんな機会でもないと動物園にはいくことがありませんから。」
一方横島は刀子とさやかに対し、連休初日にタマモの動物園に付き合わせてしまったことを少し申し訳なさそうに謝罪していた。
他の少女達や暇人のエヴァと違い大人の刀子や高校生のさやかはやはり横島も気を使うようである。
何処かにお出掛けしようかと言い出したのは横島だが、タマモはいつも異空間アジトに行くときのように普通にみんなを誘っていて仕事があり来れない高畑以外は誰一人かけてない。
実はさやかは忙しい身なので予定があったものの、横島やタマモに誘われたならばそちらを優先させても両親から何も言われないので本人的には楽だったりする。
もちろん両親や祖父から何か指示されてる訳ではないが暗黙の了解としてさやかには横島達と親交を深めることは求められていた。
その辺りは話さなくても分かるようでなくては雪広家の長女としてやっていけないという事情があるが、同時に忙しい日常から抜け出せ気楽に過ごせる時間となっていて本人的には楽しんでいる。
無論打算や思惑が全くないとは言わないがそれは人が生きてる以上は少なからずついて回るものであり、さやかとしては雪広家にとっても横島にとっても周りの女性達にとっても決して悪いことにはならないようにと考えていた。
ただ実際のところ横島には打算も何も深い考えがないので、さやかの気掛かりは横島と少女達の今後の関係くらいであるが。
正直なところ純粋に好意と愛情を優先させられる横島や少女達が羨ましいと思わなくもないのが彼女の決して人には言えぬ本音になる。
「ねえねえ、マスター。 このスカートどう?」
「ちょっと短すぎないか? 見えちまうぞ。」
「えー? そうかな~。 可愛いスカートなんだよ。」
その後一行は何だかんだとおしゃべりをしながら電車に揺られていくが、やはり横島の周りが少し騒がしくなるのは変わらなかった。
しかもせっかくだからとおしゃれをして来た少女達に囲まれている横島は、周りの野郎達の嫉妬の籠った視線を一身に浴びてしまい内心では何とも言えない心境になる。
横島としては無実だと訴えたいのだろうが状況的にも女性陣の様子からしても限りなくクロであり、誰も無実だとは思わないだろう。
ちなみにじゃあ一人寄越せなどと言われたら横島は即断り全力で拒否するのだろうが。
手を出してはないので友人の範囲だが他人に渡したいかと言われるとノーというのが横島の偽らざる本音である。