二年目の春・5

「あさだ!」

翌日は五月三日のゴールデンウィーク後半の初日だったがタマモは夜明けと共に目をパッチリと開き、待ちきれないと言わんばかりに横島を叩き起こす。

実はこの日は以前から約束していたお出かけの日なのである。


「……タマモ、約束の時間にはまだだいぶあるぞ。」

異空間アジトには時々遊びに行くとはいえこちらで普通に遊びに行くのは久々なので興奮してあまり寝られなかったらしい。

今日は店も休みにしているので早起きする必要のない横島はもう少し寝たいのが本音であるものの、タマモは眠気など微塵もないようで横島を起こすと次はさよを起こす為にさよとタマモの部屋に突撃していく。


「朝飯でも作るか。」

元気だなと思いながらも二度寝を諦めた横島は次にはお腹が空いたと騒ぐだろうタマモの為に起きると朝食の支度を始める。

と言っても日頃から二階でゆっくり朝食を食べるのは滅多にないので、食材も二階にはなく一階の厨房や地下室から食材を取ってきての朝食作りとなるが。


「いただきます!」

朝食はシンプルに焼き魚と卵焼きにほうれん草のお浸しと自家製のぬか漬けだった。

昼は外食にしようと話しているので朝はアッサリ目の和食にしていて、タマモとさよは横島が朝食を作ってる間に庭の草花に水をやり猫達にご飯をあげての朝食となる。

お出かけに関しては今回は動物園に行くことになっていて、例によってタマモはいつも異空間アジトに一緒に行くメンバーを誘っていた。

待ち合わせは最寄りの駅に九時であるので、ゆっくりとテレビを見ながら朝食を食べてからの出発だった。


「みんな、おはよう!」

ちなみにタマモはいつもお散歩に使っているリュックをこの日も背負っていて、待ち合わせ場所に着くとすでに到着していた少女達と挨拶を交わしチャチャゼロをいつものようにリュックに入れてやる。

実はこの日は高畑は仕事で不参加だったものの、こちらでのお出かけには参加しなかったエヴァがアナスタシアとして茶々丸とチャチャゼロを連れて来ていたのだ。

闇の福音が開放されたとバレるのはまずいのだが、最近エヴァ自身はあまり気にしなくなって来ていて大人バージョンだとバレないだろうと来ることになったらしい。

それと横島宅の二体のハニワ兵達もタマモは抱えて連れて来ているので、端から見たらタマモは人形の頭がリュックから顔を出しながらハニワを二体持つという不思議な姿になっているが。


「動物園なんて久々だよ。」

「うちもや。」

最後に今回のお出かけには予定外と言っては失礼だが、当初の予定になかったまき絵と亜子が参加している。

二人はここ数日まき絵が横島と新体操の練習をしていることで一緒に夕食を食べたりしていたのだが、休業日の予告を以前からしていたこともありアッサリとゴールデンウィークのお出かけが知られることになった。

昨年は一緒に海にも行った二人なだけに私達も行きたいと言い出した結果一緒に行くことになっている。



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