二年目の春・4

「マスター! 撮ってきたよ!」

「そんじゃ見てみるか。 木乃香ちゃん悪いけど少し頼むな。」

飛び出したまき絵とタマモは三十分もしないうちに撮影を終えて戻って来ていた。

期待に瞳を輝かせるまき絵は当然のように横島に相談に乗ってもらうつもりであり、横島はなんでこんなに信頼されてるのかと少し苦笑いを浮かべつつ木乃香に店を任せて二階で撮影した演技を一緒に見ることにする。


「うわ~、テレビ買ったんだ~。」

そのまま横島はまき絵とタマモとなんとなく着いて来た美砂達三人と二階に上がるが、まき絵は久しぶりに入った横島宅のリビングのテレビが大型の物に変わってることに驚く。

実は最近はチャチャゼロがハニワ兵達とよくゲームをしたりするので、横島が最初に持ち込んだ古くて小さなテレビでは面白くないと言い出して新しいテレビを買ったのだ。

ちなみに部屋のソファーには人形のふりをしたチャチャゼロと二体のハニワ兵が並んで座っていたが。

突然二階に上がったので隠れる暇がなかったらしい。


「どれどれ……。 ブハッ!?」

リビングのテレビの前に座り、さっそく撮影して来た演技を再生し始めるが目の前のテレビに映るまき絵は普通に学校の制服姿だった。

ジャージにでも着替えればいいものを、まき絵はそのまま制服で演技を始めるものだからパンチラというかパンモロとでも言うような完全にパンツがまる見えである。

まき絵達に飲み物を入れてやり、ついでに自分もコーヒーを飲んでいた横島はその映像に思わず吹き出してしまう。


「ちょっとマスター。」

「いい年した大人なんだからパンツくらいで騒がないの。」

「えっ!? 俺が変なのか!?」

しかしそんなまき絵の映像に反応したのは横島だけであり、まき絵本人やタマモどころか美砂達までもが特に気にした様子はない。


「普通ジャージに着替えれるとかするだろ。」

「そっか~。 今度から気を付けるよ。」

あからさまに動揺する横島にまき絵は言われてみるとと少し照れ笑いしながらも、今度から気を付けるとちょっぴり反省するもそれ以上は見るなということもない。


「マスターってその返の価値観堅いから。」

「女子校だと日常じゃそこまで気にしないのよね。 流石に男子が居るとこだと気にするけど。」

ただこの件は意見を求める相手が間違っていたと言えなくもない。

まき絵は新体操で美砂達はチアリーディングで男子から見られることにはそれなりに慣れている。

特にチアリーディング部に関してはカメラ小僧なんかがバシバシ撮影したエロ目線の写真が出回っていたりもするのだ。

極論を言えば見られたくない男が見れば不快感を示すが、別に見られてもいい相手ならそれほど不快ではないらしい。

まき絵にとって横島は木乃香達ほど親しい訳ではないが、一番身近な男性であることに代わりはなく好感はあれど見られて嫌な気持ちはないようだった。

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