二年目の春・4

「ほんとにいいとこだよね。」

「うん。でも大きな公園よね。 見て回るの大変そう。」

あれこれと賑やかなお花見は続くがお腹がある程度満たされると少女達は桜を眺めておしゃべりしたり、桜祭りのパンフレットを見ていたが一つの町が入るほどの公園の桜祭りなだけに祭りのスケールが違った。

桜祭りの規模も少女達にはお馴染みな麻帆良祭のようにあちこちでイベントなんかが行われていて、本気で全部見るなら数日は確実に必要な規模である。

もちろん公園内の移動手段として空飛ぶバスがあるが、この地区のバスは自然公園ということから見た目がレトロな馬車のような木の風合いを生かした乗り物だった。

なおイベントは桜にちなんだ映画の上映や音楽会なんかのように見物するイベントもあれば、早食い競争にウォークラリーのように参加型のイベントもある。

それと珍しいのでは桜の植樹なんてイベントもあるらしいが。

自分で植えた桜でいつかお花見をしたいとハニワ兵達にはかなり人気なイベントだったりする。


「ぽー?」

「うん、ええよ。 はい、アーン。」

「ぽー!!」

そして時間が過ぎると少女達は周囲に居たお花見をしてるハニワ兵達とも交流していて、近くのハニワ兵達と一般に騒ぎ始めていた。

中でも人間である木乃香達の作ってきたお弁当がハニワ兵達は興味津々らしく、一口味見させて欲しいと頼まれては木乃香達が食べさせてあげたりしている。

ハニワ兵達はよほど美味しかったのか目から光線のような光を撒き散らしながら喜び、作り方を聞いたりと交流が進む。


「うん? こりゃ新酒か?」

「ぽー!」

「ああいいぞ。 酒は大歓迎だ。」

なお横島達大人組の元にはまだラベルも貼られてない一升瓶を幾つか持参したハニワ兵達がやって来ていて、横島達に新酒の試飲を頼みに来ていた。

どうもこの付近の地元で酒蔵をしているハニワ兵達らしく、自慢の新酒の味を試して欲しいらしい。

異空間アジトでは酒に限らず食料全般に関しては以前も説明した通り神魔戦争期に支援物資件輸出品として作っていたので大規模な製造工場があるが、どうしてもそこだと同じ味の食料や酒を大量生産することになってしまう。

凝り性のハニワ兵達はそれでは面白くないと世界各地に散り伝統的な技法などを異空間アジトのデータベースから取り寄せては再現しているので、酒類に関してもかなりのハニワ兵達が各地で作って切磋琢磨している。

今回のハニワ兵達もそのパターンらしく横島達が来ると聞き付けて本物の味を知る人間の感想が聞きたいらしい。


「ちょっと辛口だけど美味しいわね。」

「うむ、悪くないな。」

結果として横島・高畑・刀子・エヴァ・チャチャゼロは新酒を飲み始めるが評価は上々で木乃香達の作ってきたお弁当を肴にお酒が進み、エヴァなんかはちゃっかりお土産を要求して彼らのお酒をお土産に持って帰るほどだった。

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