二年目の春・4

「えーと、僕が説明するのかい?」

食後お腹に余裕のあるメンバーは余り物のデザートを食べたりしていて横島はちびちびと日本酒を飲んでいたが、超鈴音の説明は高畑がすることになる。

基本的にいい加減な横島は説明なんかは向かないし刀子は超鈴音に対して厳しいのを自身も理解しているので、一番客観的に話せるのは高畑であった。


「うーん、まずは彼女の素性から話そうか。 彼女は百年後の世界から来た未来人なんだよ。 タイムマシンで過去に来て歴史を変えようとしたんだ。」

ただ超鈴音の問題は有史以来続いてきた魔法と人の歴史の闇に関わることで何処まで話すか判断が難しい。

高畑はしばし考えて可能な限り超鈴音個人の情報に絞るべきかと考えたらしく、超鈴音の素性から話始める。


「未来人?」

「今度は未来からかぁ。 最近よそからこの世界に来るの流行ってるの?」

「キタキタ! これよこれ!! 異世界からの漂流者を危険視した未来からの刺客なのね! 昨日までの友情をかなぐり捨てて互いに命を賭けて戦うのよ!」

しかし少女達の反応にあまり驚きはなく、大半はというか一部の少女以外は異世界もあるんだし未来から人が来るのも有り得るよねと冷静に受け止めていた。

その一部の少女はやはり何かのスイッチが入ったようで超鈴音を勝手に未来からの刺客だと言い放ち戦うのだと叫ぶが、話が脱線するので周りからおざなりに止められてしまう。

正直少女達の反応はあっさりしたものであり高畑は若干拍子抜けした感じを受けるが、魔王の遺産を持つ異世界人や現役の魔王に人と見分けがつかない幽霊や妖怪であることを忘れそうになる幼女が身近に居るだけに驚きはほとんどない。

まあ超鈴音なら有り得るよねとあっさりと受け入れている。


「それで超リンは何しに来たの?」

一部の少女というかハルナが騒いだ以外はすんなりと話が進むが、この時点でも半数の少女に危機感はなく少女達の興味な何しに来たのかということに集中していく。


「魔法を世の中に公開することで、この先に起こる可能性がある歴史を変えようとしたんだよ。」

「魔法を?」

「公開しちゃうの?」

「いいの? そんなことして。」

すっかり非常識に耐性が出来てる少女達のおかげで話はスムーズに進むが、高畑の口から魔法の公開という言葉が出てくると流石に事態が少し深刻なのではと楽観視していた者も気付く。

尤も雪広姉妹や千鶴に夕映とのどかなんかは超鈴音が未来人で歴史を変えようとしたという時点で、深刻というかかなり危険な話なのだと理解しのどかなんかは顔色を悪くしてもいたが。


「横島君いわく世界も歴史も一つじゃないらしい。 人の可能性の数だけ世界は存在し未来もまた人の可能性だけ存在するらしいよ。 超君の未来はその中でもあまり幸せな未来じゃないらしくってね。 彼女にとっての過去を変えることにより未来を変えたかったらしいんだ。」

そのまま世界と未来の関係を簡潔に説明し始める高畑だが、すでにさよとタマモと明日菜なんかは理解出来なくなり始めていて頭の中にハテナマークがたくさん浮かんでいる。

ちなみに明日菜の頭の中では国民的な猫型ロボットの姿が浮かんでいて、超鈴音=猫型ロボットの立場かとアニメに置き換えて考えて理解しようとしていたが。


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