二年目の春・4
「さて、そろそろ夕飯の支度をしますか。」
その後超鈴音の話をある程度終えたところで横島は時計に目をやり冷蔵庫から新鮮なアジを取り出す。
実はついさっき常連の年配者が釣りに行って大量だったからと三十匹ほど持って来てくれたのだが、これが今夜のメインとなる。
「ほんと、横島君って本業が何なのか時々分からなくなるのよね。」
「やだな~、本業は喫茶店のマスターっすよ。」
茶々丸に手伝って貰いつつプロ顔負けの包丁捌きを鼻歌混じりに披露する横島を刀子は呆れ顔で眺めていた。
刀子自身も包丁は人並みには使える自信があるが、横島の技術はやはり桁が違う。
本当に恋愛以外は何でも出来るのではとも思うが流石にそれを口に出すことはない。
「アジの刺身にフライになめろうなんてのもいいっすね。 骨は油で揚げて骨せんべいにしてっと。 今日は日本酒なんてどうっすか?」
横島自身はすっかり食道楽になっているためか、あれこれと楽しげに考えながらアジを捌くが一緒に飲むお酒まで考えてる辺りがらしいのかもしれない。
まあ刀子も未来やら魔法世界やら気が滅入ってくることばかり考えたくないらしく、そんな横島の姿にどこかホッとして手伝い始めていたが。
正直横島の切り換えの早さは見習いたいと割と本気で思っていた。
「ほんとやね。 夕食の支度始めてるわ。」
「うん! おいしそうなにおいがしてたもん。」
アジを捌き終える頃になるとタマモの嗅覚で夕食の支度をしてると気付いた木乃香とのどかが手伝いにやってくる。
今日は日曜だし茶々丸と刀子が手伝ってくれたのであえて声をかけなかったのだが、勉強熱心な二人はやはり手伝いつつ料理を覚えようとしていた。
メニューに関しては修学旅行から戻って来たばかりということでこの日も和食を中心にというか、少しばかり修学旅行で食べ過ぎたらしく一部の少女が体重を気にしてるのでメニューは全体的にヘルシーにしている。
まあ気にしてると言っても一キロ増えたとかニキロ増えたとかそんなレベルだが。
なんというか和気あいあいと調理が進むが、刀子はふといつの間にかほとんど毎日夕食を食べに来てるなと思う。
シャークティなどの友人と夕食を食べに行く時は来ない時もあるが、一人で自宅で夕食を食べる機会はここしばらくは全くない。
「刀子さんも料理上手いんですね。」
「いい年して出来ないのはちょっとね。」
ただまあ日頃は刀子が店にくるのは早くても夕食の少し前くらいな上に、来ても仕事をしていたりとするので調理を手伝うことは始めてであった。
のどかは始めて見た刀子の料理の腕前を純粋に褒めていたが、刀子としては二十代も半ばに入った女が料理も出来ないとちょっと問題だとついこぼしてしまう。
「美人なんですから料理なんて出来なくても……。」
「そんなこと言うの横島君だけよ。 女が料理を出来ないと影であれこれ言われるもの。」
横島は相変わらず美人はそれだけで十分だと言いたげであったが、元々普通の家庭が欲しかった刀子としては結婚する前に料理なんかも必死に覚えたりと努力はしたのだ。
前の旦那は料理が出来る出来ないなんか気にする人ではなかったが、旦那の家族には料理が出来ないと思われたくないとの理由があって刀子が料理を覚えたのは大学も後半の二十代に入ってからである。
結局離婚して一人暮らしに戻ると仕事の忙しさもありほとんど料理する機会はなかったが。
その後超鈴音の話をある程度終えたところで横島は時計に目をやり冷蔵庫から新鮮なアジを取り出す。
実はついさっき常連の年配者が釣りに行って大量だったからと三十匹ほど持って来てくれたのだが、これが今夜のメインとなる。
「ほんと、横島君って本業が何なのか時々分からなくなるのよね。」
「やだな~、本業は喫茶店のマスターっすよ。」
茶々丸に手伝って貰いつつプロ顔負けの包丁捌きを鼻歌混じりに披露する横島を刀子は呆れ顔で眺めていた。
刀子自身も包丁は人並みには使える自信があるが、横島の技術はやはり桁が違う。
本当に恋愛以外は何でも出来るのではとも思うが流石にそれを口に出すことはない。
「アジの刺身にフライになめろうなんてのもいいっすね。 骨は油で揚げて骨せんべいにしてっと。 今日は日本酒なんてどうっすか?」
横島自身はすっかり食道楽になっているためか、あれこれと楽しげに考えながらアジを捌くが一緒に飲むお酒まで考えてる辺りがらしいのかもしれない。
まあ刀子も未来やら魔法世界やら気が滅入ってくることばかり考えたくないらしく、そんな横島の姿にどこかホッとして手伝い始めていたが。
正直横島の切り換えの早さは見習いたいと割と本気で思っていた。
「ほんとやね。 夕食の支度始めてるわ。」
「うん! おいしそうなにおいがしてたもん。」
アジを捌き終える頃になるとタマモの嗅覚で夕食の支度をしてると気付いた木乃香とのどかが手伝いにやってくる。
今日は日曜だし茶々丸と刀子が手伝ってくれたのであえて声をかけなかったのだが、勉強熱心な二人はやはり手伝いつつ料理を覚えようとしていた。
メニューに関しては修学旅行から戻って来たばかりということでこの日も和食を中心にというか、少しばかり修学旅行で食べ過ぎたらしく一部の少女が体重を気にしてるのでメニューは全体的にヘルシーにしている。
まあ気にしてると言っても一キロ増えたとかニキロ増えたとかそんなレベルだが。
なんというか和気あいあいと調理が進むが、刀子はふといつの間にかほとんど毎日夕食を食べに来てるなと思う。
シャークティなどの友人と夕食を食べに行く時は来ない時もあるが、一人で自宅で夕食を食べる機会はここしばらくは全くない。
「刀子さんも料理上手いんですね。」
「いい年して出来ないのはちょっとね。」
ただまあ日頃は刀子が店にくるのは早くても夕食の少し前くらいな上に、来ても仕事をしていたりとするので調理を手伝うことは始めてであった。
のどかは始めて見た刀子の料理の腕前を純粋に褒めていたが、刀子としては二十代も半ばに入った女が料理も出来ないとちょっと問題だとついこぼしてしまう。
「美人なんですから料理なんて出来なくても……。」
「そんなこと言うの横島君だけよ。 女が料理を出来ないと影であれこれ言われるもの。」
横島は相変わらず美人はそれだけで十分だと言いたげであったが、元々普通の家庭が欲しかった刀子としては結婚する前に料理なんかも必死に覚えたりと努力はしたのだ。
前の旦那は料理が出来る出来ないなんか気にする人ではなかったが、旦那の家族には料理が出来ないと思われたくないとの理由があって刀子が料理を覚えたのは大学も後半の二十代に入ってからである。
結局離婚して一人暮らしに戻ると仕事の忙しさもありほとんど料理する機会はなかったが。