二年目の春・4
「お疲れさまでした。 よく説得出来ましたね。」
その後少女達が女子寮に帰ると店には横島一人が残り、エヴァ一家とタマモとさよとハニワ兵達は二階に上がりお風呂に入っていた。
そして少女達と入れ違いで店にやって来た高畑に横島は夕食と酒を出し、修学旅行の引率に対して労いの言葉をかける。
「選んだのは彼女達だよ。 超君も常にギリギリのところで悩んでいたのだろう。」
超と葉加瀬を言葉で説得して穏便に連れ帰ったことは言うは易く行うは難しという典型なんだろうと横島は思う。
力だけでも言葉だけでも不可能なことで高畑の人としての積み重ねの重さがあってこその結果なのだろう。
高畑はあくまでも決断したのは超達だと語るが、その決断に導けるのは高畑しか居ないかもしれない。
少なくとも横島や刀子には無理だったろうし、力ずくで得た結果と説得して得た結果ではこの先の展開がまったく変わる。
「世界は一つじゃない。 その一言を伝えられたらよかったんっすけどね。」
ただ横島としてはこんな事態になる前に超鈴音と腹を割って話すという選択肢も十分にあったことであり、それをしなかったのは極論を言えば世界や未来の為ではなく横島自身の都合でしかない。
まあ超鈴音の方からも腹を割って話そうというアプローチが無かった時点で客観的に見ればどっちもどっちだとも言えるが。
「それもあまりいい結果にならなかったと思うよ。 彼女達の性格だと単純な言葉は信じないし横島君の素性を明かせば必ず力をあてにするだろう。 そして行き着く先はナギ達の二の舞さ。」
人生の選択肢が限られてる他の人と違い横島は選択肢の幅が無数に存在する。
それ故に決断した後にも後悔が残るが、高畑はそんな横島の珍しい姿に結局のところ力があっても無くても悩むのだと自身と大差ない横島の本音に少し気が楽になる気がした。
そして同時に高畑はそんな横島をナギ達や自分の二の舞にしてはいけないと改めて心に刻むことになる。
「酷いもんだったよ。 戦争が終わったら手のひらを返したようにアリカ様を犯罪者に仕立てあげて昨日まで一緒に戦った連合の軍も帝国もアリアドネーも誰もが見てみぬふりをして助けようとしなかった。 それが戦争終結直後の微妙な時期の政治的な判断だったのは今なら理解出来るけどね。」
横島が高畑に後悔を見せたのはこれが初めてかもしれない。
元々迷いや後悔が多い横島なだけにそれだけ高畑が気を許せる相手になったというだけなのかもしれないが、高畑はそんな横島に近右衛門以外には口にしたことがない過去を語り始める。
それは二十年前の戦争が終結した直後の話で横島も情報として知っている話ではあったが、当事者の視点の話を聞くとその印象は違うものがあった。
「正直いうと僕も魔法世界は滅びるべくして滅ぶんじゃないかって思う時もある。 横島君が何処まで気付いてるか分からないけど、僕とクルトはそれぞれの生き方を貫くことで今も間接的に魔法世界に復讐してるのかもしれないしね。」
そのまま高畑の話は続くが横島は高畑から復讐という言葉が出ると、思わず目を見開きこの世界に来るまえのことをフラッシュバックするように思い出してしまう。
似ていると言えば今も強い意思で自制している高畑に失礼になるかもしれないと思うが、横島もまた滅びゆく世界で戦っていたのだ。
理由を取り繕えばそれなりの理由もあるが、復讐かと言われたらそうだとも言える。
「少し話が逸れたね。 だがどちらにしろ悩むのも後悔するのも一人じゃない。 僕も君もね。」
この時高畑は横島もまた過去を抱えているのだとが悟るがそこに触れぬまま一人ではないと口にして過去の話を終えていた。
そしてそれは横島ばかりではなく高畑自身にも言い聞かせる言葉だったのかもしれない。
その後少女達が女子寮に帰ると店には横島一人が残り、エヴァ一家とタマモとさよとハニワ兵達は二階に上がりお風呂に入っていた。
そして少女達と入れ違いで店にやって来た高畑に横島は夕食と酒を出し、修学旅行の引率に対して労いの言葉をかける。
「選んだのは彼女達だよ。 超君も常にギリギリのところで悩んでいたのだろう。」
超と葉加瀬を言葉で説得して穏便に連れ帰ったことは言うは易く行うは難しという典型なんだろうと横島は思う。
力だけでも言葉だけでも不可能なことで高畑の人としての積み重ねの重さがあってこその結果なのだろう。
高畑はあくまでも決断したのは超達だと語るが、その決断に導けるのは高畑しか居ないかもしれない。
少なくとも横島や刀子には無理だったろうし、力ずくで得た結果と説得して得た結果ではこの先の展開がまったく変わる。
「世界は一つじゃない。 その一言を伝えられたらよかったんっすけどね。」
ただ横島としてはこんな事態になる前に超鈴音と腹を割って話すという選択肢も十分にあったことであり、それをしなかったのは極論を言えば世界や未来の為ではなく横島自身の都合でしかない。
まあ超鈴音の方からも腹を割って話そうというアプローチが無かった時点で客観的に見ればどっちもどっちだとも言えるが。
「それもあまりいい結果にならなかったと思うよ。 彼女達の性格だと単純な言葉は信じないし横島君の素性を明かせば必ず力をあてにするだろう。 そして行き着く先はナギ達の二の舞さ。」
人生の選択肢が限られてる他の人と違い横島は選択肢の幅が無数に存在する。
それ故に決断した後にも後悔が残るが、高畑はそんな横島の珍しい姿に結局のところ力があっても無くても悩むのだと自身と大差ない横島の本音に少し気が楽になる気がした。
そして同時に高畑はそんな横島をナギ達や自分の二の舞にしてはいけないと改めて心に刻むことになる。
「酷いもんだったよ。 戦争が終わったら手のひらを返したようにアリカ様を犯罪者に仕立てあげて昨日まで一緒に戦った連合の軍も帝国もアリアドネーも誰もが見てみぬふりをして助けようとしなかった。 それが戦争終結直後の微妙な時期の政治的な判断だったのは今なら理解出来るけどね。」
横島が高畑に後悔を見せたのはこれが初めてかもしれない。
元々迷いや後悔が多い横島なだけにそれだけ高畑が気を許せる相手になったというだけなのかもしれないが、高畑はそんな横島に近右衛門以外には口にしたことがない過去を語り始める。
それは二十年前の戦争が終結した直後の話で横島も情報として知っている話ではあったが、当事者の視点の話を聞くとその印象は違うものがあった。
「正直いうと僕も魔法世界は滅びるべくして滅ぶんじゃないかって思う時もある。 横島君が何処まで気付いてるか分からないけど、僕とクルトはそれぞれの生き方を貫くことで今も間接的に魔法世界に復讐してるのかもしれないしね。」
そのまま高畑の話は続くが横島は高畑から復讐という言葉が出ると、思わず目を見開きこの世界に来るまえのことをフラッシュバックするように思い出してしまう。
似ていると言えば今も強い意思で自制している高畑に失礼になるかもしれないと思うが、横島もまた滅びゆく世界で戦っていたのだ。
理由を取り繕えばそれなりの理由もあるが、復讐かと言われたらそうだとも言える。
「少し話が逸れたね。 だがどちらにしろ悩むのも後悔するのも一人じゃない。 僕も君もね。」
この時高畑は横島もまた過去を抱えているのだとが悟るがそこに触れぬまま一人ではないと口にして過去の話を終えていた。
そしてそれは横島ばかりではなく高畑自身にも言い聞かせる言葉だったのかもしれない。