二年目の春・4

「わ~、タマちゃんよく似合うね!」

「こんど、これきてうみにいく!」

さて横島の店のフロアでは夕食を待つ少女達がタマモやエヴァ一家にお土産を渡していた。

お土産を配るのも貰うのも好きなタマモはご機嫌な様子でお土産を受け取り中身を見てははしゃいでおり、先程からは美砂達が買ってきた子供用のアロハシャツを来て店内を走り回っている。


「はい、二人にはこれね。」

「ぽ?」

「ぽぽ??」

それと時間的にも客足はまばらで店はすでに閉められて二体のハニワ兵もタマモに連れられて一階に降りて来ていたが、少女達がハニワ兵達のお土産も買ってきたことで手渡すも二人は貰えると思ってなかったようで驚き信じられないと言わんばかりの表情を見せていた。


「ああ、あの女なら居ない間よく来ていたぞ。 横島にちょっかい出していたから、ちょっとからかってやったらムキになっていたがな。」

「正体を知ったらどんな顔をするのか見てみたいですね。」

一方エヴァ一家には美味しいと評判のお菓子なんかをお土産として渡しつつ居ない間のことを尋ねていた夕映だが、居ない間にも横島を狙う魔法協会所属の女子大生が来ていたらしい。

どうも勝手にライバル視されてるらしくバチバチと火花を散らしそうな視線を向けられてるようで、エヴァがそれに面白がって乗って遊んでいたようである。


「つまらん反応をするだけだろう。 貴様らとは違ってな。」

知らぬとはいえ魔王の異名をもつエヴァに喧嘩を売るような女に夕映は無知という恐ろしさを感じるが、エヴァは正体を知らせることは興ざめするだろうという程度にしか考えてない。

ちなみに常連の年配者達はそんなエヴァと女子大生のやり取りをニヤニヤと見ていてエヴァ以上に面白がっていたが。


「私、あの人ちょっと苦手です。」

この時代にはまだない言葉だが世が世なら肉食系と呼ばれるような女である噂の女子大生であるが、一緒に暮らすさよや親しい木乃香達に対する態度が微妙にトゲがあって人当たりのいいさよが苦手意識をもつのだから正直あまり賢いとは言えないタイプである。

まあエヴァや常連の年配者達が笑って見ていることから見ても、どちらかと言えば性格が悪いというよりは必死さが出すぎてるとも言えて店の密かな名物常連になりつつあった。

というか以前にも話したが店の常連でタマモがあまりなつかないのは彼女くらいなため、かなり珍しいタイプであることは確かだろう。


「ああいうのは放っておけば勝手に化けの皮が剥がれるからな。 見てれば面白くなるはずだ。」

なお横島自身は別に嫌いなタイプではないし見た目もそれなりに美人なので嫌ってはないが、あからさまにアプローチというか誘われると引いてしまうため現状では完全にエヴァのオモチャと化している。

ニヤリと悪い笑みを浮かべこれからも彼女で遊ぶ気満々のエヴァに、夕映はまあ実害はないしいいかと軽く流すしか出来なかった。

実は個人的にもお前には勝てるとでも言われそうな視線で見られたことがあるので夕映も正直あまり好きなタイプではない。

千鶴とか木乃香に負けるのは仕方ないと割りきれるが、流石に見ず知らずの女に一方的にそんな見られ方をして喜ぶほどプライドがない訳ではないのだ。

正直数年後には夕映も美人になるので気にするほどではないのだが。

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