二年目の春・4

翌日の四日目は一日海を満喫する日となっていて午前中はいよいよワイキキビーチでの海水浴となっていた。

ワイキキビーチは東西におよそ三キロにもなる人口海岸のことで少女達が行くのはホテルの近くにある中央付近になる。

よくテレビなどで見るワイキキビーチそのものであり、ハワイに来たならば一度は訪れたい場所だろう。

日中は混雑するビーチだが少女達が来たのが朝と言える時間の為、団体でもゆっくり出来る場所が確保出来ていた。


「イェーイ、本物のハワイの海だ!」

まださほど暑さを感じる時間ではないが我先にと海へ走る少女の中には、またもや危ういとも感じる言動をする者も居たが特に気にしてる者は居ないようだ。

加えて千雨・龍宮・サジ・超鈴音・葉加瀬など海に来ても海には入らずに砂浜でくつろぐ者も居り、担任の高畑は荷物の番もあって同じく砂浜でくつろいでいる。

超鈴音と葉加瀬に関しては超はいつもと変わらぬままで葉加瀬は少し表情が固いものの、昨日高畑に空港で説得された後は特におかしな動きはしてない。

高畑としては深夜にもう一度逃亡でもと昨夜も気を付けていただけに肩透かしを食らったともホッとしたとも言えるが、修学旅行と超達の監視が四日目を迎えたこともあって少し精神的にお疲れ気味であった。


「せっちゃんも一緒に遊ぼう!」

ちなみに普段からあまり騒ぐタイプではない刹那は、木乃香に引っ張られる形で海に入り少女達と一緒に遊ぶことになる。

相変わらず幼い頃と比べると距離はあるものの、木乃香としてはもう含むものはないので時間が過ぎれば過ぎるほど関係は良好になりつつあった。

まあ刹那は日頃から女子寮においては魔法の練習の監督役をしているので、木乃香のみならず横島に近い少女達とは結構親しくなっている。


「クッ、やっぱり外人はスタイルいいわね。 那波さんですら標準みたいじゃん!」

なお一部の少女達の興味は海よりもビーチにいる外人に向いていて、ムキムキの男性やボンキュボンの女性を見ては騒いでいた。


「そう言えば最近マスターの店に居る外人の人もスタイルいいわよね。 なんかマスターと訳ありっぽいし。 木乃香ピンチね。」

「あんた達さ。 根も葉もない噂をするんじゃないの! アナスタシアさんは私達も知ってるんだから!」

そしてスタイルがいい外人の話題から最近噂になってる横島の店に居る大人バージョンのエヴァの話になるが、裕奈とまき絵は横島とただならぬ関係だと噂の外人が現れたことで木乃香がピンチだと勝手に盛り上がる。

二又だとか捨てられちゃうとか勝手に盛り上がるものの当の本人は正体を知るだけに笑っており、また余計な噂が増えると困ると考えた明日菜が止めに入る始末だった。


「ここでアスナが参戦か!? 三又とは昼ドラみたいになるわね。」

「そういう意味じゃないわよ! だいたいなんで私がそこに加わるのよ!」

「いや、だってアスナ何だかんだ言いつつ怪しいし。 ちゃっかり彼女になってそうな立ち位置なんだもん。」

ただまあここで止め入ったのは失敗で裕奈とまき絵は今度は四角関係だと騒ぎどこぞの昼ドラみたいなドロドロとした裏側があるのではと話を膨らませる。

明日菜自身は相変わらず否定はするものの、表情は満更でも無さげでありあまり説得力はない。

このあと二人の妄想は千鶴や刀子も加わり加速してしまい何故か横島が明日菜に刺されて終わるまでの愛憎劇を飽きもせずに語り続けていくことになるが、木乃香達はあまり深入りせずに笑って済ませていた。


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