二年目の春・3
「あんなテロリストと一緒にしないで下さい! 私達は世界を救いたいだけなんです!」
「超君から聞いてないかい? 完全なる世界の目的も魔法世界の救済なんだよ。 彼らは苦しみも犠牲もない誰もが幸せになれる新世界を造ると言っていた。 連中の名前の完全なる世界もそこから付けたらしいしね。」
世界最悪のテログループよりも悪いと言われた二人だが超は少なからず自覚があるのか過剰に反応しないが、今度はまた葉加瀬が怒りの表情で口を挟む。
相変わらず現実を理解してない葉加瀬の横やりに高畑は少し困った表情を見せつつ、秘密結社完全なる世界の真の目的を説明する。
正直なところ葉加瀬はあまりに都合よく考え過ぎていた。
まあ超は超でテロリストも国を掌握すればテロリストではなくなると考えてる節があるので、決してきちんと理解してるとは言いがたいが。
「結局どこまで話しても平行線ネ。 私達を力ずくで連れ戻すカ?」
「素直に修学旅行に戻ってくれないならばそれも仕方ないな。」
そのまま三人の間にはしばしの沈黙が走る。
高畑はあわよくばここで説得したかったのだが、葉加瀬は思っていた以上に現実を知らないし超は予想通り固くなだった。
高畑の方も二人の計画が悪だと一方的に断罪する気もないことも説得力に欠けるのかもしれないが。
「一緒に戻ろう。 今なら僕が及ばずながら弁護するよ。 それに君達が望むなら歴史ではない魔法世界のリアルな真実も教えよう。 歴史ではなく現実としてもう一度考え直すんだ。」
話し合いは終わりに近付こうとしていた。
ボールは超達にあり決断するのは超と葉加瀬なのだが、ここで高畑は教師として担任として本当に最後の手を差しのべることになる。
それは予め話し合いも根回しもしてない完全な高畑の独断による提案であった。
近右衛門達はすでに超を野放しに出来ないと処分をすることを決めていて、高畑自身も何処まで弁護出来るかあまり自信はない。
ただこのままでは二人が納得出来ないことは明らかである。
「今更それを許されるとは思えないネ。 温情があっても記憶を消され一生飼い殺しがせいぜいなはず。 それは飲めないヨ。」
「君の未来の仲間と一緒にしないで欲しいな。 学園長がどれだけ君達のことに悩み穏便に済ませようとしてるか分からないのかい?」
一方の超は迷っていた。
最早逃げ切れないのは明らかであることはもちろんあるが、高畑が予想以上に自分の計画を知ってる様子なことが気になる。
そもそもこのハワイ諸島は太平洋のど真ん中でありハワイから出るには飛行機か船しかない。
超は近右衛門が修学旅行期間中に動いた訳は研究室などを速やかに押さえる為かと考えていたが、ここからは逃げ出すことすら一苦労であることも理由にあったと考える方が自然だった。
今回の一件を改めて考え直してみると自分の行動が全て先読みされてる不気味さがあり、仮に高畑から逃げ出せて飛行機に乗っても降りたら別の誰かに捕まる気がしてならない。
結果として状況は完全に詰んだと自覚した超であるが問題はこの先にある。
現状で破綻した計画を放棄するのは別に構わないが記憶の消去は受け入れられないことだった。
しかし降伏が全くの無駄かと言われるとそれも微妙で、高畑の弁護が何処まで期待出来るかは未知数としても全く交渉の余地がない訳でもないことが彼女を悩ませる。
魔法世界の崩壊が近いことは事実なのであり近右衛門に魔法世界を救う気はなくとも、崩壊の混乱に対する備えに技術や資金は欲しくないはずがないのだ。
司法取引という訳ではないが超には莫大な資金やこの先を見越して取得した特許関連もかなりある。
それと引き換えに記憶と自由を勝ち取れるかが決断の分かれ目だった。
「超君から聞いてないかい? 完全なる世界の目的も魔法世界の救済なんだよ。 彼らは苦しみも犠牲もない誰もが幸せになれる新世界を造ると言っていた。 連中の名前の完全なる世界もそこから付けたらしいしね。」
世界最悪のテログループよりも悪いと言われた二人だが超は少なからず自覚があるのか過剰に反応しないが、今度はまた葉加瀬が怒りの表情で口を挟む。
相変わらず現実を理解してない葉加瀬の横やりに高畑は少し困った表情を見せつつ、秘密結社完全なる世界の真の目的を説明する。
正直なところ葉加瀬はあまりに都合よく考え過ぎていた。
まあ超は超でテロリストも国を掌握すればテロリストではなくなると考えてる節があるので、決してきちんと理解してるとは言いがたいが。
「結局どこまで話しても平行線ネ。 私達を力ずくで連れ戻すカ?」
「素直に修学旅行に戻ってくれないならばそれも仕方ないな。」
そのまま三人の間にはしばしの沈黙が走る。
高畑はあわよくばここで説得したかったのだが、葉加瀬は思っていた以上に現実を知らないし超は予想通り固くなだった。
高畑の方も二人の計画が悪だと一方的に断罪する気もないことも説得力に欠けるのかもしれないが。
「一緒に戻ろう。 今なら僕が及ばずながら弁護するよ。 それに君達が望むなら歴史ではない魔法世界のリアルな真実も教えよう。 歴史ではなく現実としてもう一度考え直すんだ。」
話し合いは終わりに近付こうとしていた。
ボールは超達にあり決断するのは超と葉加瀬なのだが、ここで高畑は教師として担任として本当に最後の手を差しのべることになる。
それは予め話し合いも根回しもしてない完全な高畑の独断による提案であった。
近右衛門達はすでに超を野放しに出来ないと処分をすることを決めていて、高畑自身も何処まで弁護出来るかあまり自信はない。
ただこのままでは二人が納得出来ないことは明らかである。
「今更それを許されるとは思えないネ。 温情があっても記憶を消され一生飼い殺しがせいぜいなはず。 それは飲めないヨ。」
「君の未来の仲間と一緒にしないで欲しいな。 学園長がどれだけ君達のことに悩み穏便に済ませようとしてるか分からないのかい?」
一方の超は迷っていた。
最早逃げ切れないのは明らかであることはもちろんあるが、高畑が予想以上に自分の計画を知ってる様子なことが気になる。
そもそもこのハワイ諸島は太平洋のど真ん中でありハワイから出るには飛行機か船しかない。
超は近右衛門が修学旅行期間中に動いた訳は研究室などを速やかに押さえる為かと考えていたが、ここからは逃げ出すことすら一苦労であることも理由にあったと考える方が自然だった。
今回の一件を改めて考え直してみると自分の行動が全て先読みされてる不気味さがあり、仮に高畑から逃げ出せて飛行機に乗っても降りたら別の誰かに捕まる気がしてならない。
結果として状況は完全に詰んだと自覚した超であるが問題はこの先にある。
現状で破綻した計画を放棄するのは別に構わないが記憶の消去は受け入れられないことだった。
しかし降伏が全くの無駄かと言われるとそれも微妙で、高畑の弁護が何処まで期待出来るかは未知数としても全く交渉の余地がない訳でもないことが彼女を悩ませる。
魔法世界の崩壊が近いことは事実なのであり近右衛門に魔法世界を救う気はなくとも、崩壊の混乱に対する備えに技術や資金は欲しくないはずがないのだ。
司法取引という訳ではないが超には莫大な資金やこの先を見越して取得した特許関連もかなりある。
それと引き換えに記憶と自由を勝ち取れるかが決断の分かれ目だった。