二年目の春・3
「家族って……、高畑先生と明日菜さんには血縁関係はありませんよね!? しかも中等部に入って以降は明日菜さんと個人的な関係はないはずですよね! 今更そんな理由で!?」
家族を守るのが先だと言い切った高畑に超は驚きはなく寧ろ納得してるようではあったが、ここで驚きの声をあげたのは葉加瀬だった。
「葉加瀬君、家族という形は必ずしも君が考える形ばかりではないんだよ。 僕は元々孤児でね。 ナギ達に助けられそのまま一緒に旅をして育ったんだ。 よく壮絶な人生だと言われるけど僕自身は楽しい思い出もたくさんある。 僕にとって家族とは赤き翼のみんなで明日菜君は末の妹のような存在なんだよ。」
自身はたった今家族を捨てて超に着いていこうとした葉加瀬にとって、血縁関係もなく一時的に預かった子を家族というのは言い訳のように聞こえていたのかもしれない。
そんな家族の有り難みも理解出来ぬほど世間知らずな葉加瀬に高畑は怒りどころか哀れみすら感じてしまい、自身の家族観を語り諭すように話をしていく。
「正直僕が家族について冷静に考え受け止められるようになったのはつい最近なんだけどね。 ある人達に教えられるまで僕は愚かだからずっと気付けなかった。 だが気付いたからには僕は家族を守らなければならないんだ。 かつてナギや師匠がしてくれていたようにね。 明日菜君と明日菜君が手に入れた新しい家族を。 絶対にね。」
驚き言い訳のように考えていた葉加瀬も無言で高畑から目を離さぬ超も、高畑が初めて語る自身の過去と家族についての話をただただ聞き入っていた。
担任として二年共にしたとはいえ自身の過去について高畑が生徒に語ったのは当然初めてであり、もっといえば他人にここまで話したこと自体前例などあるはずがない。
「葉加瀬君。 君は今一度家族のことを考えてみるべきだ。 親御さんが君のことをどれだけ愛し心配しているか君は理解してないようだからね。」
「わっ、私は科学に魂を売り渡したんです! 超さんと共により高みに挑み世界を救いたいんです!!」
しかし少しは高畑の気持ちを理解した様子の超と対照的に、葉加瀬は高畑の言葉を理解できずに逆に反発して自身の夢というか理想を語り高畑を睨む。
「家族の有り難みも知らぬ君に救える世界はないよ。 今回の結果がいい例だ。 茶々丸君が止め四葉君が止めた意味すら理解できぬ君に世界の何が理解出来るんだい?」
「私はっ! 私は!!……」
「理解カ。 人は理解したフリはしても所詮他人の本心など理解出来ないのではないカ? だからこそ争いは無くならないネ。」
葉加瀬はやはり研究馬鹿そのものであり、多少無理をしてよく言えば純粋なのかもしれない。
家族の大切さも友人達の苦言も何も理解出来ぬ葉加瀬が又聞きの未来知識から世界を語ることに、本当にこの少女は人としてまだまだ子供なのだと痛感する。
木乃香達どころか下手するとタマモよりも現実が見えてないのではと感じるほど葉加瀬は危うい。
口べたな高畑相手に口でも勝てぬ葉加瀬には怒る気も失せるほどなのだが、さすがに見てられなくなったのかここで超が再び口を開く。
「理解出来ないならばこそ余計に人は話し合うべきなのだと僕は思うよ。 無論実力行使を否定する訳じゃないが、君達のように話し合うこともなく自分達の都合を世界に押し付けようとして上手くいくと思うのかい? はっきり言おうか。 君達に比べるとまだ完全なる世界の連中の方が人道的だ。」
超の反論は根本的に間違いではないものの、だがそれは人が人として築き上げて来たモノを否定することになる。
だからこそ高畑は赤き翼や自身の戦って来た世界最悪と言われるテロリストの方が、まだ人道的だと超鈴音の計画について客観的な意見を告げた。
家族を守るのが先だと言い切った高畑に超は驚きはなく寧ろ納得してるようではあったが、ここで驚きの声をあげたのは葉加瀬だった。
「葉加瀬君、家族という形は必ずしも君が考える形ばかりではないんだよ。 僕は元々孤児でね。 ナギ達に助けられそのまま一緒に旅をして育ったんだ。 よく壮絶な人生だと言われるけど僕自身は楽しい思い出もたくさんある。 僕にとって家族とは赤き翼のみんなで明日菜君は末の妹のような存在なんだよ。」
自身はたった今家族を捨てて超に着いていこうとした葉加瀬にとって、血縁関係もなく一時的に預かった子を家族というのは言い訳のように聞こえていたのかもしれない。
そんな家族の有り難みも理解出来ぬほど世間知らずな葉加瀬に高畑は怒りどころか哀れみすら感じてしまい、自身の家族観を語り諭すように話をしていく。
「正直僕が家族について冷静に考え受け止められるようになったのはつい最近なんだけどね。 ある人達に教えられるまで僕は愚かだからずっと気付けなかった。 だが気付いたからには僕は家族を守らなければならないんだ。 かつてナギや師匠がしてくれていたようにね。 明日菜君と明日菜君が手に入れた新しい家族を。 絶対にね。」
驚き言い訳のように考えていた葉加瀬も無言で高畑から目を離さぬ超も、高畑が初めて語る自身の過去と家族についての話をただただ聞き入っていた。
担任として二年共にしたとはいえ自身の過去について高畑が生徒に語ったのは当然初めてであり、もっといえば他人にここまで話したこと自体前例などあるはずがない。
「葉加瀬君。 君は今一度家族のことを考えてみるべきだ。 親御さんが君のことをどれだけ愛し心配しているか君は理解してないようだからね。」
「わっ、私は科学に魂を売り渡したんです! 超さんと共により高みに挑み世界を救いたいんです!!」
しかし少しは高畑の気持ちを理解した様子の超と対照的に、葉加瀬は高畑の言葉を理解できずに逆に反発して自身の夢というか理想を語り高畑を睨む。
「家族の有り難みも知らぬ君に救える世界はないよ。 今回の結果がいい例だ。 茶々丸君が止め四葉君が止めた意味すら理解できぬ君に世界の何が理解出来るんだい?」
「私はっ! 私は!!……」
「理解カ。 人は理解したフリはしても所詮他人の本心など理解出来ないのではないカ? だからこそ争いは無くならないネ。」
葉加瀬はやはり研究馬鹿そのものであり、多少無理をしてよく言えば純粋なのかもしれない。
家族の大切さも友人達の苦言も何も理解出来ぬ葉加瀬が又聞きの未来知識から世界を語ることに、本当にこの少女は人としてまだまだ子供なのだと痛感する。
木乃香達どころか下手するとタマモよりも現実が見えてないのではと感じるほど葉加瀬は危うい。
口べたな高畑相手に口でも勝てぬ葉加瀬には怒る気も失せるほどなのだが、さすがに見てられなくなったのかここで超が再び口を開く。
「理解出来ないならばこそ余計に人は話し合うべきなのだと僕は思うよ。 無論実力行使を否定する訳じゃないが、君達のように話し合うこともなく自分達の都合を世界に押し付けようとして上手くいくと思うのかい? はっきり言おうか。 君達に比べるとまだ完全なる世界の連中の方が人道的だ。」
超の反論は根本的に間違いではないものの、だがそれは人が人として築き上げて来たモノを否定することになる。
だからこそ高畑は赤き翼や自身の戦って来た世界最悪と言われるテロリストの方が、まだ人道的だと超鈴音の計画について客観的な意見を告げた。