同じ頃超鈴音は葉加瀬と五月と古菲とアラモアナショッピングセンターで昼食を終えた頃だった。


「そんな……バカな……。」

彼女達の中で唯一海外でも使える超の携帯に第一報が入ったのは査察が行われる僅か十分ほど前で、生徒会関係者と親しい大学部の学生がいち早く査察の情報を掴み超鈴音に連絡したようである。


「超さん？」

「どうしたアル。 お腹痛くなったアルカ？」

その瞬間、超は親友と言える葉加瀬達ですら初めて見たほど真っ青な顔になり呆然と立ち尽くしてしまう。

茶々丸の離反以降は超の方でも学園側の動きを警戒して最低限の情報収集をしようとしていたが、学園や魔法協会のシステムはすでに今年初めの芦コーポレーションの協力により警備強化のために既存のネット回線と学園のサーバーやシステムは接続しないという完全なローテクにより超鈴音であっても覗けなくなっている。

計画が計画だけに全容を知るのは超自身と葉加瀬くらいで他は五月が大まかの流れを知る以外は、せいぜい超鈴音が麻帆良祭でシークレットイベントを計画がしてると知る者が少数居るだけだ。

人員の少なさは超の計画の秘匿するのに役立つと同時に人手不足が弱点となり、情報収集に関しては信頼して頼める人員が居なかったことから査察の当日十分前まで情報が得られなかったという結末となっていた。


「……学園が動いたネ。」

そしてそれは超にとって周りが見えなくなるほどの衝撃となっていたが、それでも彼女はなんとか冷静に状況の把握と現状の推測をしようとしていくが正直留守中を堂々と査察をされるとは夢にも思ってもいなく完全な冷静では居られない。

実のところ超もまた留守中に密かに魔法協会か魔法協会の依頼を受けた茶々丸に研究室を狙われるかと考え、パソコンなどのデータは全て茶々丸でも解けぬプロテクトをかけている。

従って仮に査察を受けてもすぐに計画が露見するとは思えないが、同時に近右衛門が何の確証もなく表の学園までも動かしたとも思えない。

一体何がどうなってるのかと頭を悩ませるが、そもそもの容疑である不正アクセスに関してもこの時代の人間に証拠を掴まれるはずがないのは自信があった。

だが麻帆良からの連絡では不正アクセスに関して証拠を揃えており生徒会までもが承認した査察となれば、証拠を捕まれたと考えるのが自然で不可能を可能にした何かがあるはずである。


「えっ！？！？」

そんな超鈴音が考えていた間に大学部や超包子からは査察が来たとの連絡が次々に入るが、超としてはハワイからでは出来ることは少ない。

同時に計画の協力者である葉加瀬と五月だが、葉加瀬はあまりに予期せぬ事態に困惑しておりこれが何を意味するかすら理解できてなかった。

五月は超と同じく顔を青くしておりこれがただの査察でないことを理解するも、超と同じく出来ることはない。

尤も五月は茶々丸が離反した時に動き超と葉加瀬の減刑を頼むべきだったかと後悔はしていたが。


「修学旅行で私達が動けぬ時を狙われたカ。」

「そんな！ それじゃあ……。」

そのまましばらく麻帆良から情報を集めていたが、超はあまりの手際の良さと騒ぎに近右衛門が本気で自分を潰しに来たのかもしれないと考えていた。

そもそも査察の為の情報や証拠集めは昨日今日で出来るものではないので、茶々丸の離反以前から目を付けられていた可能性が高い。

茶々丸に関してもよくよく考えてみれば計画に関する情報の一端を知っていたような口振りであったし、超はそれがエヴァの推測かと考えていたがこうなればかなり以前から何らかの情報が漏れていたと考えるべきであった。