二年目の春・3
「のう、横島君。 君は何度挫折したことがある?」
「どうしたんっすか。 突然。 何をもって挫折って言うのかにもよりますけど俺は挫折ばっかりっすよ。 むしろ成功したことの方が数えるほどしかないくらいです。」
一方この日の麻帆良では早朝のまだ開店準備をしている途中の横島の店には突然近右衛門がやって来ていた。
この季節は夜明けも早いのですでに朝と言えるが新聞配達がまだ走ってる頃で街に人気は少ない。
横島は近右衛門に朝食を出しつつ自分は開店準備を進めるが突然近右衛門が妙なことを尋ねてきて少し困惑してしまう。
「いや超君のことじゃがな。 彼女は挫折したことがあるのかとふと気になってのう。」
実はこの日は朝からいよいよ超鈴音の研究室や超包子にお料理研究会などの表向きの拠点に学園側が査察に入る予定になっている。
すでに先程までに研究室にあった未来関連の情報やアイテムは全てハニワ兵により消去されるか確保されていて、学園どころか魔法協会にでさえ未来関連の情報が渡らぬようにと手を打っていた。
今日の査察は表向きの学園や雪広・那波などのコンピュータに不正アクセスした容疑と、学園が拠出している研究費の不正流用など表向きな容疑での査察である。
証拠はすでに土偶羅の協力の元で魔法協会及び学園側の調査部門が掴んでいて、学校内の問題なので警察沙汰にはしてないが罪状は軽くてもその気になれば刑事告訴も不可能ではない。
近右衛門としても最早後戻りは出来ないが、それでも相手がまだ十四の子供なのだ。
すんなりと割り切れるものではない。
「十四ですしね、人生を変えるほどの挫折はないんじゃないっすか? じゃなきゃあんな計画は出来ませんって。 尤も彼女この時代によこした連中はどうか知りませんけど。 随分いい性格してそうっすよね。」
最早詰んでる状況であるが超は過去という異世界に来て二年間も血の滲むような苦労を重ねた結果が、全くの無駄骨だと知った時どうなるかは近右衛門にも横島にも分からない。
加えて横島は超鈴音にはまだ共感する部分や同情も多少なりともあったが、明確に言えば十四の子供を行けるかも分からない過去へと送り付けた彼女の未来の仲間に関しては全く好感をもってない。
子供を歴史を変えろと過去へと送るなんてどんな理由があるかは知らないが正気の沙汰とは思えないのが本音にある。
「本当じゃな。 誰が描いた絵図か知らんが残酷なことをするわい。 もしかすれば万が一の際に子供ならばと許される可能性も計算したかと思うと余計にのう。」
超鈴音の計画は可能な限り穏便に解決するつもりの近右衛門だが超の今後を案じる気持ちもあるし、何より子供にあんな特攻じみたことをさせる大人には近右衛門もまた憤りを感じていた。
可能ならばこの時代で自分の人生を生きてほしい気もするが彼女の性格ではそれも無理だろう。
葉加瀬共々本当に今後の処遇や扱いには頭を痛める。
「刷り込みみたいなもんなんでしょうね。 未来の連中は世界のため未来のためと、この時代を見下し失敗した過去だとでも思ってるんでしょうよ。 超さんにもそんな節がありますし。 いっそ報復でもしに行きますか?」
「そんな連中ならばワシらがあえて手を下すまでもなかろう。 その世界の時が裁いてくれるじゃろう。」
結局いよいよ王手と迫ったこの日になっても近右衛門と横島は後味の悪さに複雑な気分となる。
超鈴音を憎む気はないがあんな子供にこんな計画をさせる大人は許せないという気持ちが直前になればなるほど込み上げてくるが、近右衛門はそれでも報復など考えずにただ自らの仕事をするつもりらしい。
まあ超鈴音の未来世界など関わってもいいことなど何一つないという理由もあったが。
「どうしたんっすか。 突然。 何をもって挫折って言うのかにもよりますけど俺は挫折ばっかりっすよ。 むしろ成功したことの方が数えるほどしかないくらいです。」
一方この日の麻帆良では早朝のまだ開店準備をしている途中の横島の店には突然近右衛門がやって来ていた。
この季節は夜明けも早いのですでに朝と言えるが新聞配達がまだ走ってる頃で街に人気は少ない。
横島は近右衛門に朝食を出しつつ自分は開店準備を進めるが突然近右衛門が妙なことを尋ねてきて少し困惑してしまう。
「いや超君のことじゃがな。 彼女は挫折したことがあるのかとふと気になってのう。」
実はこの日は朝からいよいよ超鈴音の研究室や超包子にお料理研究会などの表向きの拠点に学園側が査察に入る予定になっている。
すでに先程までに研究室にあった未来関連の情報やアイテムは全てハニワ兵により消去されるか確保されていて、学園どころか魔法協会にでさえ未来関連の情報が渡らぬようにと手を打っていた。
今日の査察は表向きの学園や雪広・那波などのコンピュータに不正アクセスした容疑と、学園が拠出している研究費の不正流用など表向きな容疑での査察である。
証拠はすでに土偶羅の協力の元で魔法協会及び学園側の調査部門が掴んでいて、学校内の問題なので警察沙汰にはしてないが罪状は軽くてもその気になれば刑事告訴も不可能ではない。
近右衛門としても最早後戻りは出来ないが、それでも相手がまだ十四の子供なのだ。
すんなりと割り切れるものではない。
「十四ですしね、人生を変えるほどの挫折はないんじゃないっすか? じゃなきゃあんな計画は出来ませんって。 尤も彼女この時代によこした連中はどうか知りませんけど。 随分いい性格してそうっすよね。」
最早詰んでる状況であるが超は過去という異世界に来て二年間も血の滲むような苦労を重ねた結果が、全くの無駄骨だと知った時どうなるかは近右衛門にも横島にも分からない。
加えて横島は超鈴音にはまだ共感する部分や同情も多少なりともあったが、明確に言えば十四の子供を行けるかも分からない過去へと送り付けた彼女の未来の仲間に関しては全く好感をもってない。
子供を歴史を変えろと過去へと送るなんてどんな理由があるかは知らないが正気の沙汰とは思えないのが本音にある。
「本当じゃな。 誰が描いた絵図か知らんが残酷なことをするわい。 もしかすれば万が一の際に子供ならばと許される可能性も計算したかと思うと余計にのう。」
超鈴音の計画は可能な限り穏便に解決するつもりの近右衛門だが超の今後を案じる気持ちもあるし、何より子供にあんな特攻じみたことをさせる大人には近右衛門もまた憤りを感じていた。
可能ならばこの時代で自分の人生を生きてほしい気もするが彼女の性格ではそれも無理だろう。
葉加瀬共々本当に今後の処遇や扱いには頭を痛める。
「刷り込みみたいなもんなんでしょうね。 未来の連中は世界のため未来のためと、この時代を見下し失敗した過去だとでも思ってるんでしょうよ。 超さんにもそんな節がありますし。 いっそ報復でもしに行きますか?」
「そんな連中ならばワシらがあえて手を下すまでもなかろう。 その世界の時が裁いてくれるじゃろう。」
結局いよいよ王手と迫ったこの日になっても近右衛門と横島は後味の悪さに複雑な気分となる。
超鈴音を憎む気はないがあんな子供にこんな計画をさせる大人は許せないという気持ちが直前になればなるほど込み上げてくるが、近右衛門はそれでも報復など考えずにただ自らの仕事をするつもりらしい。
まあ超鈴音の未来世界など関わってもいいことなど何一つないという理由もあったが。