二年目の春・3
それは木乃香としても不安というか気になる部分であった。
今思えば木乃香にお見合いの話が来なくなったのは横島が麻帆良に来た前後からである。
お見合いが来なくなった理由が直接横島にあったとは思わないがよくよく考えてみると、近右衛門が横島を婿の候補として見ていたのは木乃香も気付いていた。
「実際学園長先生もかなりマスターに気を使ってるもんね。 発言権とかはあるならかなり有りそう。 高畑先生を子供扱いしてハニワランドを自由にしてる時点で無理もないけど。」
加えて美砂達ですら近右衛門と横島の力関係は実質的に横島が上なのではと気付いてる。
魔法世界で英雄の一人とされる高畑を子供扱いする実力に加えて、異空間にある文化を楽しむハニワ兵達の世界を自由にしてる時点で潜在的な発言権は子供でも分かることだった。
「横島さん多分面倒なことには興味ないから首を突っ込まないわよ。」
「でもさ、木乃香の後ろ楯くらいにはなってくれるんじゃない?」
「それは確かにそうかもしれへんけど……。」
ただ美砂達は元より木乃香も明日菜も横島が魔法協会に深入りするとはあまり思ってない。
地位や名誉や権力なんてものに全く興味がない男なのは少女達もよく理解している。
しかしそれでも現時点での木乃香や自分達の状況からして、横島が事実上の後ろ楯なのは夕映やのどかでなくとも分かることだった。
「結局何が言いたいの?」
「現状維持だけじゃダメだと思うのよ。 無理に関係を進めたり変えたりする必要もないだろうけど。 少なくともこれからも一緒に居たいならそろそれ自分の気持ちをきちんと考え見直す必要はあると思うの。」
明日菜や木乃香に対し横島との関係を改めて指摘する美砂に明日菜は少し回りくどいと感じたのか単刀直入に話の核心を尋ねると、美砂はこれから先を見越して現状のまま甘えてしまいそうな関係を一度きちんと見直す必要があると告げた。
横島自身が今は現状に不満が無さそうなのは周囲に居れば理解しているが、明確な形も関係もない現状のままあまり横島を束縛したり周りに集まる女から引き離したりしてはいつか横島がそれを不満に感じるかもしれないと危惧しているのだ。
「どっかのラブコメじゃあるまいし、友達って言いながら嫉妬だけは一人前に彼女づらされて喜ぶと思う? 最初は良くても絶対ウザくなるわよ。」
美砂の言葉に明日菜と木乃香は反論せぬまま部屋には沈黙が訪れた。
恋愛として好きか嫌いかは別にして横島の周りにはとにかく人が集まり特に女が集まる。
中には愛情より先に横島の魔法の実力や資産を目的に近付く女も居たりするので、木乃香達からしたら信じられない相手でありろくな人じゃないと問答無用で遠ざけてもいる。
まあ美砂も似たような気持ちはあるし似たようなことはしているから責めてる訳ではないが、現状のままいつまでも変わらないのはあまりいいことだとは思えないのが本音だった。
「焦る必要はないわよ。 でも明日菜と木乃香は放っておくとこのまま関係が固まっちゃいそうなんだよね。 好きなんでしょ? とりあえずそれを認めることから始めてみたら?」
少しきついことを言う美砂をフォローするように円は無言の明日菜と木乃香に優しい口調で二人の気持ちを確かめる。
少女達の中で横島を男性として見てない円なだけに一番客観的に状況を見ており、正直このまま友達というか家族のような関係で固まってしまうといつか気持ちを自覚した明日菜や木乃香が苦労するのではと見ていた。
まあ横島は恋愛オンチなのでいまいちその辺りの本音が周りでもよく分からないが、子供や妹のような関係で固まってしまった相手を後から女として見てくれるのかは未知数だった。
正直横島とずっと一緒に居るならば以前美砂達が話していた通り、家族や家庭の問題など越えなくてはならない障害も多い。
ただ木乃香達の場合は明確なライバルでも現れなければいつまでも気持ちすら自覚しないのではと危惧していたのである。
結局この夜木乃香と明日菜は明確な答えを口にしないが否定しないことが答えなのだと美砂達は思う。
そして本来の歴史では初めて外の敵と出会うはずだった修学旅行において、この世界ではハワイという異国の地で自分達の気持ちと横島との関係を改めて考えることになる。
今思えば木乃香にお見合いの話が来なくなったのは横島が麻帆良に来た前後からである。
お見合いが来なくなった理由が直接横島にあったとは思わないがよくよく考えてみると、近右衛門が横島を婿の候補として見ていたのは木乃香も気付いていた。
「実際学園長先生もかなりマスターに気を使ってるもんね。 発言権とかはあるならかなり有りそう。 高畑先生を子供扱いしてハニワランドを自由にしてる時点で無理もないけど。」
加えて美砂達ですら近右衛門と横島の力関係は実質的に横島が上なのではと気付いてる。
魔法世界で英雄の一人とされる高畑を子供扱いする実力に加えて、異空間にある文化を楽しむハニワ兵達の世界を自由にしてる時点で潜在的な発言権は子供でも分かることだった。
「横島さん多分面倒なことには興味ないから首を突っ込まないわよ。」
「でもさ、木乃香の後ろ楯くらいにはなってくれるんじゃない?」
「それは確かにそうかもしれへんけど……。」
ただ美砂達は元より木乃香も明日菜も横島が魔法協会に深入りするとはあまり思ってない。
地位や名誉や権力なんてものに全く興味がない男なのは少女達もよく理解している。
しかしそれでも現時点での木乃香や自分達の状況からして、横島が事実上の後ろ楯なのは夕映やのどかでなくとも分かることだった。
「結局何が言いたいの?」
「現状維持だけじゃダメだと思うのよ。 無理に関係を進めたり変えたりする必要もないだろうけど。 少なくともこれからも一緒に居たいならそろそれ自分の気持ちをきちんと考え見直す必要はあると思うの。」
明日菜や木乃香に対し横島との関係を改めて指摘する美砂に明日菜は少し回りくどいと感じたのか単刀直入に話の核心を尋ねると、美砂はこれから先を見越して現状のまま甘えてしまいそうな関係を一度きちんと見直す必要があると告げた。
横島自身が今は現状に不満が無さそうなのは周囲に居れば理解しているが、明確な形も関係もない現状のままあまり横島を束縛したり周りに集まる女から引き離したりしてはいつか横島がそれを不満に感じるかもしれないと危惧しているのだ。
「どっかのラブコメじゃあるまいし、友達って言いながら嫉妬だけは一人前に彼女づらされて喜ぶと思う? 最初は良くても絶対ウザくなるわよ。」
美砂の言葉に明日菜と木乃香は反論せぬまま部屋には沈黙が訪れた。
恋愛として好きか嫌いかは別にして横島の周りにはとにかく人が集まり特に女が集まる。
中には愛情より先に横島の魔法の実力や資産を目的に近付く女も居たりするので、木乃香達からしたら信じられない相手でありろくな人じゃないと問答無用で遠ざけてもいる。
まあ美砂も似たような気持ちはあるし似たようなことはしているから責めてる訳ではないが、現状のままいつまでも変わらないのはあまりいいことだとは思えないのが本音だった。
「焦る必要はないわよ。 でも明日菜と木乃香は放っておくとこのまま関係が固まっちゃいそうなんだよね。 好きなんでしょ? とりあえずそれを認めることから始めてみたら?」
少しきついことを言う美砂をフォローするように円は無言の明日菜と木乃香に優しい口調で二人の気持ちを確かめる。
少女達の中で横島を男性として見てない円なだけに一番客観的に状況を見ており、正直このまま友達というか家族のような関係で固まってしまうといつか気持ちを自覚した明日菜や木乃香が苦労するのではと見ていた。
まあ横島は恋愛オンチなのでいまいちその辺りの本音が周りでもよく分からないが、子供や妹のような関係で固まってしまった相手を後から女として見てくれるのかは未知数だった。
正直横島とずっと一緒に居るならば以前美砂達が話していた通り、家族や家庭の問題など越えなくてはならない障害も多い。
ただ木乃香達の場合は明確なライバルでも現れなければいつまでも気持ちすら自覚しないのではと危惧していたのである。
結局この夜木乃香と明日菜は明確な答えを口にしないが否定しないことが答えなのだと美砂達は思う。
そして本来の歴史では初めて外の敵と出会うはずだった修学旅行において、この世界ではハワイという異国の地で自分達の気持ちと横島との関係を改めて考えることになる。