二年目の春・3
真珠湾の見学を終えた修学旅行一行は午後はポリネシア文化センターを訪れていた。
ポリネシア文化センターとはハワイはもちろんのこと、ニュージーランドやイースター島を含むポリネシアと呼ばれる地域の伝統的な文化や暮らしを再現した文化施設になる。
ここは真珠湾と打って変わって気楽に地域の先住民の文化や歴史を見学できる施設と言えるだろう。
「クソッ!!」
同じ頃、メガロメセンブリアでは不機嫌さを露にしたクルト・ゲーデルが誰もいない部屋で八つ当たりをするように机を叩きつけていた。
ジョンソン魔法協会への視察と称して彼らが旧世界と呼ぶに渡り高畑に直接会う計画は、少数の信頼がおける人物しか話してないにも関わらず露見してしまった。
流石のクルトも現時点で元老院中枢を敵に回すことは出来ないので諦めざるおえないが、ネギの去就への介入以降の彼は本当に踏んだり蹴ったりである。
「私の邪魔をしてるのは誰だ!!」
今回は慎重に計画を建てて余計な波風を立てないようにしたにも関わらず、彼の地球行きは直前になりビザが降りなかった。
正確には表向き視察先であったジョンソン魔法協会の都合による視察中止であったが、裏で元老院上層部が動いたのは考えるまでもない。
大幅に減ったクルトの同志も何故計画が露見したのだと驚いていて、ネギの去就の件から秘密結社完全なる世界の露見の件などもあったのでクルトと同志達は互いに身内に裏切り者が居るのではと疑心暗鬼になっている。
一般論としてここで必要なのは落ち着いて失敗の原因を探ることだろうが、そもそもの問題としてクルトとその同志は必ずしも信頼しあってる訳ではない。
メガロメセンブリアの国民を救い可能ならば魔法世界そのものも救うという共通の目的はあるが、具体的な方針や方法となるとまた個々の立場や考えにより違いがある。
必要ならば同志を犠牲にしても人々を救うという固い意思で繋がる者達であったが、残念ながら事実上の盟主であるクルトには人を率いる人望も能力もなかった。
この男は実務では有能であり組織や集団のナンバー2ならばたぐいまれな実力を発揮するも信頼や尊敬を集めるタイプではないので、世界を救おうとする集団を率いる器ではない。
実際クルトはネギの去就の折に失脚したり左遷させられた元老院や軍の同志の何人かを見捨てている。
最早クルトには助ける余力がなかったとも言えるが、叩かれて埃が出る側にも問題があったと自力で復権するようにとしか言わなかった。
実のところクルトの一派は高畑とも親密な関係で、人望という面では高畑の方がある。
高畑とクルトは互いにないものを補いあいながら今まで行方不明のナギ達の捜索や完全なる世界の殲滅を行って来たのだから、ネギの去就を境に高畑が距離を開けるとクルト一人では同志を纏めることすら難しくなっているのだ。
「タカミチもタカミチだ! 世界を見捨てる気か!!」
ここに来てクルトは誰かが自分の邪魔をしてるのではと考え始めるが、それは半分は正解だが半分はただの被害妄想である。
事実土偶羅がクルトをターゲットに動いたのは今回の地球行きの妨害のみで、ネギの件は関与してないし完全なる世界の件は関西を救う目的なので直接クルトを狙った訳ではない。
ただまあ今まで散々人の弱味に漬け込んだり魔法世界の秘密を盾に暗躍してきたクルトだけに、誰かが同じように暗躍していると考えてしまったのだろう。
元々器用で優秀なだけに失敗の経験があまりなく一度転がり始めると泥沼に嵌まりつつあることを本人はまだ自覚してなかった。
ポリネシア文化センターとはハワイはもちろんのこと、ニュージーランドやイースター島を含むポリネシアと呼ばれる地域の伝統的な文化や暮らしを再現した文化施設になる。
ここは真珠湾と打って変わって気楽に地域の先住民の文化や歴史を見学できる施設と言えるだろう。
「クソッ!!」
同じ頃、メガロメセンブリアでは不機嫌さを露にしたクルト・ゲーデルが誰もいない部屋で八つ当たりをするように机を叩きつけていた。
ジョンソン魔法協会への視察と称して彼らが旧世界と呼ぶに渡り高畑に直接会う計画は、少数の信頼がおける人物しか話してないにも関わらず露見してしまった。
流石のクルトも現時点で元老院中枢を敵に回すことは出来ないので諦めざるおえないが、ネギの去就への介入以降の彼は本当に踏んだり蹴ったりである。
「私の邪魔をしてるのは誰だ!!」
今回は慎重に計画を建てて余計な波風を立てないようにしたにも関わらず、彼の地球行きは直前になりビザが降りなかった。
正確には表向き視察先であったジョンソン魔法協会の都合による視察中止であったが、裏で元老院上層部が動いたのは考えるまでもない。
大幅に減ったクルトの同志も何故計画が露見したのだと驚いていて、ネギの去就の件から秘密結社完全なる世界の露見の件などもあったのでクルトと同志達は互いに身内に裏切り者が居るのではと疑心暗鬼になっている。
一般論としてここで必要なのは落ち着いて失敗の原因を探ることだろうが、そもそもの問題としてクルトとその同志は必ずしも信頼しあってる訳ではない。
メガロメセンブリアの国民を救い可能ならば魔法世界そのものも救うという共通の目的はあるが、具体的な方針や方法となるとまた個々の立場や考えにより違いがある。
必要ならば同志を犠牲にしても人々を救うという固い意思で繋がる者達であったが、残念ながら事実上の盟主であるクルトには人を率いる人望も能力もなかった。
この男は実務では有能であり組織や集団のナンバー2ならばたぐいまれな実力を発揮するも信頼や尊敬を集めるタイプではないので、世界を救おうとする集団を率いる器ではない。
実際クルトはネギの去就の折に失脚したり左遷させられた元老院や軍の同志の何人かを見捨てている。
最早クルトには助ける余力がなかったとも言えるが、叩かれて埃が出る側にも問題があったと自力で復権するようにとしか言わなかった。
実のところクルトの一派は高畑とも親密な関係で、人望という面では高畑の方がある。
高畑とクルトは互いにないものを補いあいながら今まで行方不明のナギ達の捜索や完全なる世界の殲滅を行って来たのだから、ネギの去就を境に高畑が距離を開けるとクルト一人では同志を纏めることすら難しくなっているのだ。
「タカミチもタカミチだ! 世界を見捨てる気か!!」
ここに来てクルトは誰かが自分の邪魔をしてるのではと考え始めるが、それは半分は正解だが半分はただの被害妄想である。
事実土偶羅がクルトをターゲットに動いたのは今回の地球行きの妨害のみで、ネギの件は関与してないし完全なる世界の件は関西を救う目的なので直接クルトを狙った訳ではない。
ただまあ今まで散々人の弱味に漬け込んだり魔法世界の秘密を盾に暗躍してきたクルトだけに、誰かが同じように暗躍していると考えてしまったのだろう。
元々器用で優秀なだけに失敗の経験があまりなく一度転がり始めると泥沼に嵌まりつつあることを本人はまだ自覚してなかった。