二年目の春・3

翌日の月曜日は一週間の始まりだが、翌々日の火曜からは修学旅行なため3ーAの少女達は気分はすでに修学旅行気分で授業に身が入ってない者も多い。

ただ僅か五日とはいえ麻帆良を離れることでその間の対応に追われて忙しい者も中には居る。


「それは帰ってからでいいネ。」

「正直修学旅行に行ってる時間が惜しいですね。」

それは本来の計画を一年前倒ししてる真っ最中の超と葉加瀬の二人であった。

茶々丸の離反により冗談抜きで猫の手も借りたいほど忙しい二人は、僅か五日でもゆっくりしてる余裕はないようである。

そもそも世界を変えるほどの計画を進めてる彼女達だが計画の全容を知るのは超と葉加瀬の二人だけであり、他には大まかな計画を知る五月も居るが彼女は超の計画に具体的な協力は今のところしてない。

超包子を任されているので全く無関係でもないのだが、五月は超達の計画に賛成も反対もしておらず協力も止めもしてないのが現状だった。

それと超と葉加瀬に関しては修学旅行を素直に楽しみにしてる超と時間の無駄ではと半ば考えてる葉加瀬には温度差がある。

少し皮肉なことだが過酷な未来で生まれた超は平和の大切さを理解してる故に今ある平和な生活を心から喜び楽しんでも居るが、葉加瀬はどちらかと言えば現状の平和の大切さを理解してない。

超は自身の計画を必ずしも正しいと考えておらずこの時代の人間に止められるならそれもまた本望だと考えてる節があるものの、葉加瀬はそこまで深く考えてなく自分が世界と未来を救うことに酔ってるような感じさえあった。


「はい、よろしくお願いします。」

一方もう一人の関係者の五月は居ない間の超包子の売り上げの管理などを大学生のメンバーに頼むなど、こちらも修学旅行中の対応をしていた。

超自身は忙しい身なので超包子はほとんど五月が仕切っていたが、最近の彼女の表情が冴えないと超包子の関係者は心配している。


「茶々丸までが動いた今、私はどうすれば……。」

誰もが楽しみにしてる修学旅行を前に表情が冴えない五月であるが、悩みの種は親友とも言える超鈴音のことだ。

極論を言えば超の計画はあまりに無謀と言うしかないと言うのが五月の本音にある。

客観的に見て上手くいくはずがないし超は計画の犠牲をゼロにするつもりらしいが、その結果どれだけの人の人生を狂わせ犠牲を出すのだろうと思うと怖くてとても協力などできないのが五月が協力してない理由だった。

本来ならば五月は高畑にでも頼り穏便に計画を阻止してもらおうと考えていたが、そんな五月が動く前に茶々丸が反旗を翻してしまったことが彼女をまた悩ませている。

荒廃した未来世界を背負う超の葛藤や苦しみを葉加瀬は理解してないが五月は概ね理解していた。

心情としては計画を遂行して胸を張って未来に帰ってほしい気もするが、その代償はとてつもなく大きい。

本当にこのままでいいのかと悩んでる時に一足先に茶々丸が決断してしまったのだ。

超と葉加瀬は麻帆良祭までなんとか誤魔化して計画を実行したいようだが、五月は二人の考えが甘いと感じている。

高畑はともかく魔法協会に計画が一部でも露見すれば、証拠の有無など関係なく計画は潰され自分を含めた関係者は処分されるかもしれないと考えていた。

最悪の場合も考えなくてはならないし、どうにかして穏便に済ませられないかと五月は悩み続けることになる。




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