二年目の春・3

さて誕生パーティもしばらくすると流石に食べるペースが落ちてくるが、大人達と横島はお酒を飲みつつ料理を摘まんでおり少女達はゆっくりとしたペースでおしゃべりをしながら食べていた。


「肉とタレの味が染みた野菜が美味しいのよね。」

「このお肉と野菜を卵に絡めて手巻き寿司の具にすると、すき焼き寿司になるのだ!」

横島特製の割り下で作ったすき焼きは最初は肉を中心に食べてたせいか、野菜がちょうどよく肉と割り下の味を吸って美味しくなっているのだ。

桜子とタマモは先程から新しい組み合わせの手巻き寿司に挑戦だと複数の具材を組み合わせたりしていたが、とうとうすき焼きを海苔とご飯で巻き食べ初めていた。

ご飯は酢飯と普通のご飯の両方用意していたのでそこは無難に普通のご飯にしていたが、卵と一緒にすき焼きのタレを具の肉と野菜にかけると見事なすき焼き寿司になっている。


「この海苔は市販されてる高級品よりも味が全然違うし、風味もとてもいいわ。」

「ああ、それは職人ハニワ兵の手作り海苔なんっすよ。 やっぱ違うんだよなぁ。」

なおこの日の料理で密かに注目を集めていたのは手巻き寿司用にと大量に用意した海苔であった。

雪広姉妹なんかが特に海苔の味を気に入り海苔でサラダを巻いて食べたりもしているが、それもそのはずで今日の海苔は海苔作りの職人をしてるハニワ兵達が丁寧に作った最高級の海苔の中でも特に厳選した物を横島に食べて欲しいと届けられた物になる。

別に横島が頼んだ訳ではないがハニワ兵の職人達は技術を競い合っていて、満足がいく出来になるとアシュタロスを奉った社に奉納したり横島に届けたりしていた。

基本的に食料品なんかは一部の発酵食品や酒類以外は品質管理の為に時を止めてる倉庫に保管されていて、横島が麻帆良で取り寄せたりしていた食料品はほとんどがハニワ兵が横島にと厳選した物なのである意味美味しくて当然だったりするが。



その後食事が終わると残るケーキを食べて明日菜へのプレゼントを渡すことになるが、プレゼントで多かったのはやはり洋服だった。

横島は少し悩んだがやはり春と秋に着れるようなコートをプレゼントしていて、タマモとさよは画材一式をプレゼントしている。

どうもタマモは以前に絵の描き方を少し明日菜に教わってから明日菜も自分と同じで絵を描くのが好きなんだと思ってるらしく、美術部ということもあり画材一式をプレゼントすることにしたらしい。


「ありがとう。 みんな本当にありがとう。」

日頃の日常ではなかなか友人からプレゼントを貰うことなどない明日菜は少し気恥ずかしさは相変わらずあるようだが、まあそれでも嬉しいことに変わりはなく喜んでいた。

ちなみに高畑は桜子から昔あげた髪飾りを大切にしてると聞いたからか、新しい髪飾りを美砂達に相談しながら選んでプレゼントにしている。


「パルのこれなに?」

「勝負下着よ! そろそろ明日菜には必要かなと思って。」

「なっ、なに選んでるのよ!」

それとハルナはニヤニヤと意味ありげな笑顔で勝負下着をプレゼントしていて、明日菜が高畑や横島の居るとこで何てものを選んでるんだと顔を真っ赤にして抗議した。

明日菜の下着はくまさんパンツを筆頭にあまり色気がない下着ばかりなので、ハルナとしてはここは一発ガツンとした大人の下着をプレゼントしたらしい。


「しょうぶしたぎってなに?」

なお勝負下着という未知の単語に興味を持ったタマモにどう意味を教えるかで横島と少女達は動揺するも、エヴァがお気に入りの下着だと無難な答えで誤魔化すことになる。




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