二年目の春・3

その後この日は結局いつもと同じく地道な蔵書の調査をしていく夕映達を横島とタマモは本棚の上から引っ張り上げたりしているが、基本的に横島とタマモは暇なので二人は持参したトランプで遊んだりしていた。


「ほんとこの時計って便利よね。」

ちなみに調査をしていた少女達だが、無言で淡々と作業をするのに横島があげた腕時計型通信機の機能の一つで音楽を聞いていた。

実はこの腕時計型通信機は念話やテレパシーの要領で音は直接頭の中に聞こえるので、周りに悟られずにオマケの機能である音楽やラジオを聞けたりや本やテレビを見れたり出来る。

ただ欠点もあり秘匿性を重んじた基本的な設計の影響で既存のAV機器を使って音楽をダビングしたりは出来なく、音楽や映像に書籍は異空間アジトのメインシステムからダウンロードするシステムを採用していた。

なお音楽に限らず土偶羅は情報収集用の分体やダミー会社が幾つかあり常に最新情報を入手しているので、書籍や音楽や映画なんかも地球や魔法世界問わず販売されてる物はほぼ全て購入していたりする。

以前見た異空間アジトでの映画は基本的に購入したDVDをスクリーンでの放映用にシステムで処理して放映しているが、音楽なんかも意味があるのか無いのか分からないが情報として集めていて横島はそこから各自好きにダウンロード出来るようにしていたらしい。


「そうですね。 本も音楽も映像も見放題というのは素晴らしいです。」

「そうか? それ本当はオマケの機能だったんだけど。」

結果として少女達は密かに知らない歌手の歌を聞いて好きな歌や音楽を探すのを楽しんでるらしいが横島とすれば基本的なスペックをパソコン並にした結果、通信機能だけにするのは勿体ないので携帯電話やこの数年後には普及するスマートフォンをモデルにいろいろ機能を付け足しただけであった。


「踊るGSってドラマ面白かったわ。 悪霊とかと戦うドラマなんや。」

「そんなドラマもあるんですね。」

「俺の世界のドラマだな。 娯楽関係は制限ほとんど付けなかったからなぁ。」

なお木乃香はなんとなく検索して横島の世界のドラマなんかを見たりしてるらしく、横島の幼馴染みの銀一のドラマなんかもちゃっかり見ていたらしい。

少女達に関しては異空間アジトにて横島の世界の書籍やテレビ番組を見たりしてるので、娯楽関係は閲覧制限を付けなかったようで腕時計型通信機があれば引きこもれると言われるほど面白いと言ってたりする。


「私は創作活動の資料探しが楽で助かってるわ! 成人指定の閲覧制限もないし。」

「……そういや、その制限つけるの忘れたな。」

それとこの腕時計型通信機を一番喜んだのは実はハルナで、彼女好みの本や創作活動の資料になるような物まで大量にあったらしくいい刺激にもなるし創作活動がはかどってるようだった。

横島としては成人指定の閲覧制限をつけ忘れただけだが、ある意味少女達の中で成人指定の物を閲覧したりダウンロードしたりしてるのはハルナだけなので他は誰も気づかなかったらしい。


「横島さん……。」

「いや、インターネットと同じ感覚て設定したからさ。」

ただでさえ手に負えないハルナに更なる燃料を注いだ横島に巻き込まれる側の夕映とのどかは抗議する視線を向けるが、横島としては十代の女の子に成人指定の制限が必要だとは思いもしなかったというのが本音なのだろう。

申し訳なさげにするも今から制限を付けるとハルナが暴れそうなので、結局はこのままにすることになった。


30/100ページ
スキ