二年目の春・3

さてそれから数日後の金曜の夜は久々に図書館探検部の活動をすることになり、横島はいつもの探検部メンバーとタマモと一緒に図書館島の地下に来ていた。


「いつ来てもメチャメチャな図書館だな。」

「図書館探検部にも魔法使いが結構居るらしく、魔法関連の本があったら密かに回収して欲しいと言われてるです。」

元々地下施設は魔法協会関連の施設でありそれは図書館島も変わらず、蔵書の管理が出来てないことから実は地下に行けば行くほど魔法関連の本が混じってるらしい。

今日の活動を前に夕映はいつものように図書館探検部のサークルの方に探検の届け出を出したのだが、魔法関係者には地下にある魔法関連の本の回収も頼んでるらしく夕映達も頼まれたとのこと。


「どうせならもっと地下に降りてみたいわね。 幻の地底図書室とか行ってみたいわ!」

「ああ、そこは魔法協会でも無許可での立ち入りは禁止だそうです。 基本的に地下の下層は何処も同じだそうですが。」

ちなみに魔法協会の協力員となった影響で魔法協会側にある図書館島の情報も得ているようで、その中には本来の歴史で行くはずだった幻の地底図書室の情報も普通にあったようだ。

図書館探検部に幻のと噂になった原因は何年か前に一般人の探検部員がたどり着いてしまい幻の地底図書室と命名したからなのだが、元々はメガロメセンブリアの魔法使いが居住していた場所で魔法協会では別に正式な名称がある場所になる。

それと図書館島の地下に蔵書の目録もない主な理由は、二十年前まで管理していたメガロメセンブリアが麻帆良から撤退する前に持ち出せる資料などを一切合財持ち出して行ったかららしい。

まあ元々管理はずさんで二度の世界大戦で被害が大きかったヨーロッパやその植民地の魔法協会が所有する本を図書館島の地下に集めたようなのだが、管理するのも手間だったらしく劣化防止の魔法を図書館島の地下に張り巡らして半ば放置していたようで元々詳細な蔵書の目録はなかったと言われているが。


「立入禁止とあえて強調するということは行けるもんなら行ってみろという私達への挑戦ね! ほらよく言うじゃない、押すな押すなは押せって意味だって。」

「そりゃあの芸人のネタだって。」

ここのところ夕映達が忙しいので活動回数が減ってるせいか、ハルナは地味な調査よりも未知の領域に行きたいらしく屁理屈を捏ねて盛り上がるがやはり同調者は居なかった。


「どうしても行きたいなら今度学園長先生に頼んでみましょうか? 木乃香と横島さんも居ますし、機密がある場所でないなら許可が降りると思いますよ。」

少女達の中で一番同調しそうな夕映は社会との関わりが多く精神的に成長してるので、魔法協会ですら立入禁止にしている区域に勝手に入るほど愚かではない。

というか近右衛門の孫の木乃香と横島のコネを使えばよほどの機密がある場所以外は許可が降りるとみている。

使える者は使い頼れる人には頼ろうという横島の生き方を学んだ夕映は、無理に立入禁止区域に入って人に迷惑をかけるよりはコネで許可を取った方が誰にとってもいい結果になると合理的な判断をしていた。


「下層か? まあ別に頼むだけなら俺が頼もうか?」

結局夕映の提案にハルナばかりか木乃香やのどかも乗り気となり、行けるなら行ってみたいと口にすると横島は今度近右衛門に頼むことにする。

アルビレオ・イマのところには行かせたくないが、少女達が幻の地底図書室と呼ぶ場所くらいならいいんじゃないかと横島は思うらしい。

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