二年目の春・3

「これ面白いね!」

その後少女達はこの水鉄砲バトルが気に入ったらしくチームを変えたり人数を変えたりしながらゲームを続けた。

横島も初戦こそ負けたものの二戦目以降は勝つこともあったが、横島とエヴァは一対一だとなかなか勝負が付かないことがほとんどであった。

ただまあ横島やエヴァの実力があっても盾の置き場所や作戦を考えるなど作戦や技術次第で勝敗が決まるこのゲームは想像以上に面白いらしい。


「麻帆良祭か納涼祭でやれば流行るし、水鉄砲とか売れば儲かるわ!」

「確かに面白いけど。 でもこの手のスポーツは広めるの結構大変なはずよ。」

何度も対戦し遊び疲れた少女達は休憩をしながらこのゲームについて語り合うが、ハルナは突如水着と水鉄砲という夏のオモチャでスポーツをするこのゲームは絶対に流行るからと広めようとか儲けようとか景気のいいことを語り始める。

しかし雪広さやかはこの手の新しい遊びやスポーツは流行るまでが大変であることを知ってるらしく、そう簡単にいかないと告げた。

実際日本のみならず世界には地域によってはマイナーなスポーツやゲームなんかで町おこしや祭りをしてるところは意外にあったりするが、地域の交流以上の広がりを見せるにはスポーツやゲームの面白さ以上にマネージメント能力や資金必要になる。


「私達はもう手一杯ですよ。」

「さすがにこれ以上の掛け持ちは……。」

ちなみにハルナが麻帆良にも広めようと言い出すと同時に、夕映とのどかは自分達は忙しいから無理だと早々に予防線を張っていた。

気持ちは分かるが現状ではあやかを含めて横島の周囲は新しいことに挑戦するほど暇じゃない。

確かに麻帆良祭や納涼祭でやれば面白いことは面白いが、横島が何かやる度に仕事が増える周囲はすでに新しいことを始める余裕なんてないのだ。


「新しい遊びとして麻帆良祭辺りで実演すりゃ水鉄砲は売れそうだけどな。 管理する人がなぁ。 芦コーポレーションは直接販売してないし、雪広グループとかに那波グループも麻帆良祭は忙しいからな。」

ぶっちゃけアイデアが面白いのは横島も雪広姉妹なんかも認めるが、販売したりゲームを実演したりするには相応の人員や資金が必要になるが麻帆良祭まで残り二ヶ月余りとなっている今から始めるにはちょっと無理がある。

特に管理する人が居ないのが致命的だった。

まあ大学部のサークルなんかに企画を売り込むくらいならば出来ないことはないが、今のところそこまでしなくてもいいのではという意見が大勢である。

自分達が楽しむならば異空間アジトで出来るのであえて広めたいとも思わないのが横島を含めてほとんどの少女達の意見だった。


「クラスの出し物にって訳にも行かないしね。」

結局水鉄砲バトルを広めたいと口にしたハルナは、自分であまり動く気も能力もないだけに少し不満げだが意見を引っ込めるしかなかった。

3ーAのクラスで水鉄砲を使ったイベントはとの話も少し出たが、六月の半ばに水着と水鉄砲で遊んでもさほど儲からない可能性が高いことから盛り上がることはないまま話は流れてしまう。

というか麻帆良祭で水着を客に見せるような出し物はしたくないという意見がかなり多いようである。



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