二年目の春・3

その後お昼を食べると高畑は霊動シミュレーターに行ったものの、残りは刹那も含めてみんなで近くの砂浜に来てくれた。

高畑に関しては対アーウェルンクスの経験が積める数少ない機会なだけに修行を優先したらしい。


「ねえこれ、ちょっと大胆じゃない?」

「こういう水着は私達じゃ似合わないと思うです。」

「いいじゃん。 ハニワさん達と横島さんしか居ないんだし。」

そして泳ぎに来た女性陣は日本風の海の家で着替えていたのだが、明日菜や夕映は美砂達が選んで来た水着に少し戸惑いの声を上げていた。

それというのも彼女達が選んできた水着が全てビキニタイプだったからである。

一応パレオが着いた水着もあるが、木乃香達四人は基本的にワンピースタイプの水着しか着たことがないようで抵抗感があるらしい。

特に恥ずかしがり屋ののどかなんかは無言で顔を真っ赤にしてる辺り本気で恥ずかしいらしいが、他の人が居る海と違いここは横島とハニワ兵しかいないので美砂達は木乃香達にもビキニを着せたいようだった。


「暑いからかき氷が美味いな。」

「ぽー。」

一方横島は一足先に着替え終えたらしく二体のハニワ兵と一緒にかき氷を食べていた。

気温も二十八度くらいあるようで冷たいかき氷が美味しいのだが、白いハニワ兵は特に冷たい食べ物が好物らしくいち早くお代わりしている。


「おおっ!? って何故大人の姿に!?」

水着を選んだりしている少女達のキャーキャーと騒ぐ声が横島のところにも届く中、いち早く着替え終えて出てきたのはエヴァとチャチャゼロだった。

しかも前回は少女の姿で割と大人しいワンピースタイプの水着だったエヴァが、まるで外人が着るような結構きわどい水着で現れると横島は思わずガン見してしまう。

元々大人の姿の時はかなり派手な服装なので驚くほどではないが、幻術とはいえ実体があるのでどうしても見てしまうのが男の性というものなのだろう。


「別に構わんだろう?」

「いや、いいけどさぁ。」

そんな横島の視線と反応に以前子供扱いされた記憶を根に持っているのか、エヴァはサディスティックな表情を浮かべて横島に自身を体を見せつけるように近寄る。

スタイルもよく白く綺麗な肌に横島も満更ではないようだが、エヴァはどうやら横島が女性経験がないかあってもかなり少ないと気付いていてからかっていた。


「相変わらず積極的な女に弱いな。 そんなだから小娘どもが騒ぐのだ。」

「悪かったな。 モテない男なんてこんなもんなんだよ。」

というか少々過激な水着は下手なヌードより刺激が強いらしく横島が目を逸らして海の方を見ると、エヴァは日頃好き勝手している横島に勝ったのがよほど嬉しいのか満足げな笑みを見せる。


「貴様がそれを言うと全世界の男を敵に回す気がするな。」

「力も技術もこの世界もほとんど借りもんなんだよ。 本当の俺はなんの取り柄もないただの人間だったからな。 本質は今も大差ないんだ。」

横島自身は相変わらずモテないというか今の自分が少なからずモテてるのは、全部自分以外の力や技術や知識が理由に思えるらしく本質的には今もモテてないと思ってるようだ。

仮に今すぐに昔の自分に戻れば木乃香達ですら態度が変わるのかもしれないと思うらしい。

結局横島は相変わらず少女達の気持ちを分かってるようで全く分かってなく、人並みの恋愛すらしたことがないエヴァにさえ呆れられることになる。


7/100ページ
スキ