二年目の春・2
その後高畑をノックアウトした横島であるが、次に相手をせねばならないのは刀子である。
実は横島としては女性の相手は高畑以上に勘弁して欲しいのだが、一人の戦士として刀子は横島との対戦を熱望した結果押しきられていた。
まあ戦いに人生を捧げた高畑ほどではないが、人知を越える相手と手合わせ出来る機会がある以上はそれに興味を持たないほど戦いに無関係な人生でもない。
「まさか……。」
横島が休憩が不要だと言うので高畑と入れ替わるようにシミュレーター内に入り野太刀を手にする刀子だが、横島の影から一振りの幅が広い剣がゆっくりと浮かび上がるように現れると驚きの表情を見せる。
「日本刀はあんまり経験ないっすけど、剣は使えるんっすよ。」
それはかつての世界で神剣と呼ばれた物で取り分け名のある物ではないが、小竜姫が愛用していたものになる。
流石に横島も刀子に対してえげつない戦いをする気はないようで、右手に影から現れた神剣を持つと軽く振り久々の感触を確かめた。
まあ剣士である刀子には剣で対する方が刀子も戦いやすいだろうし、学ぶべきことがあるだろうとの配慮がある。
「……いくわね。」
一方の刀子は初めて相対する形で横島と向き合うことで、コントロール室から見学してるだけでは分からない不気味な感覚を感じていた。
一言で言えば強さを感じることもなければ強者にある威圧感もまるでない。
その気になれば一振りで片付きそうなそんな感覚に襲われてしまうことが逆に自分の未熟さを現してるようで怖かった。
「ハアアア!!」
手加減はする気は最初からない、例え相手が愛する者でも。
実力の差は大人と子供ほどあるのは確かなのだから。
そもそも自分には最終的には剣という力でしか横島の隣に立つしか道がないと刀子は思っている。
今は横島と魔法協会を繋ぐ役割でもあるが、それはいずれ木乃香本人か夕映やのどかに移ると見ていた。
元々戦闘職の刀子が裏方に回っているのは近右衛門の信任が厚いからで、必ずしも裏方の調整や根回しが得意な訳ではない。
少女達が横島と共に生きることを選び、年齢と共に成長すれば自分の居場所が無くなるのではとの恐怖がある。
酷く個人的な理由だが、だからこそ刀子は力を求めこの手合わせを望んだのだ。
先手はやはり刀子だが横島の間合いに入らない位置から仕掛けた。
横島の神剣は刀子の野太刀に比べると短い分間合いが狭い。
無論剣の長さ以上の攻撃がないとは思わないが野太刀と神鳴流の間合いで戦わなければ勝負にもならないと理解はしている。
「いい一撃っすけど、もっと肩の力を抜いて下さい。 集中力も度が過ぎると弱点になりますから。」
刀子の初手は当然ながら横島の神剣に受け止められてしまうが、刀と剣のぶつかる金属音が静かなシミュレーター内に響き渡る。
気合いも集中力も素晴らしい刀子であるが、横島は少し困ったように冷静になるようにと口にした。
高畑にしろ刀子にしろどうしても横島と相手をすると集中して肩に力が入ってしまう。
それは必ずしも悪くはないが、何事も過ぎれば毒となり弱点になる。
その点美神令子は天才的だったなと横島は刀子の野太刀を受けつつ思う。
令子の場合は戦い方にばかり焦点が集まりがちだったが、その真意は戦い方を自在に考え実行できる精神面にあったのだと横島は考えていた。
まあアシュタロス相手にヘッドバットをかますなんて彼女以外には考えられないのかもしれないが。
実は横島としては女性の相手は高畑以上に勘弁して欲しいのだが、一人の戦士として刀子は横島との対戦を熱望した結果押しきられていた。
まあ戦いに人生を捧げた高畑ほどではないが、人知を越える相手と手合わせ出来る機会がある以上はそれに興味を持たないほど戦いに無関係な人生でもない。
「まさか……。」
横島が休憩が不要だと言うので高畑と入れ替わるようにシミュレーター内に入り野太刀を手にする刀子だが、横島の影から一振りの幅が広い剣がゆっくりと浮かび上がるように現れると驚きの表情を見せる。
「日本刀はあんまり経験ないっすけど、剣は使えるんっすよ。」
それはかつての世界で神剣と呼ばれた物で取り分け名のある物ではないが、小竜姫が愛用していたものになる。
流石に横島も刀子に対してえげつない戦いをする気はないようで、右手に影から現れた神剣を持つと軽く振り久々の感触を確かめた。
まあ剣士である刀子には剣で対する方が刀子も戦いやすいだろうし、学ぶべきことがあるだろうとの配慮がある。
「……いくわね。」
一方の刀子は初めて相対する形で横島と向き合うことで、コントロール室から見学してるだけでは分からない不気味な感覚を感じていた。
一言で言えば強さを感じることもなければ強者にある威圧感もまるでない。
その気になれば一振りで片付きそうなそんな感覚に襲われてしまうことが逆に自分の未熟さを現してるようで怖かった。
「ハアアア!!」
手加減はする気は最初からない、例え相手が愛する者でも。
実力の差は大人と子供ほどあるのは確かなのだから。
そもそも自分には最終的には剣という力でしか横島の隣に立つしか道がないと刀子は思っている。
今は横島と魔法協会を繋ぐ役割でもあるが、それはいずれ木乃香本人か夕映やのどかに移ると見ていた。
元々戦闘職の刀子が裏方に回っているのは近右衛門の信任が厚いからで、必ずしも裏方の調整や根回しが得意な訳ではない。
少女達が横島と共に生きることを選び、年齢と共に成長すれば自分の居場所が無くなるのではとの恐怖がある。
酷く個人的な理由だが、だからこそ刀子は力を求めこの手合わせを望んだのだ。
先手はやはり刀子だが横島の間合いに入らない位置から仕掛けた。
横島の神剣は刀子の野太刀に比べると短い分間合いが狭い。
無論剣の長さ以上の攻撃がないとは思わないが野太刀と神鳴流の間合いで戦わなければ勝負にもならないと理解はしている。
「いい一撃っすけど、もっと肩の力を抜いて下さい。 集中力も度が過ぎると弱点になりますから。」
刀子の初手は当然ながら横島の神剣に受け止められてしまうが、刀と剣のぶつかる金属音が静かなシミュレーター内に響き渡る。
気合いも集中力も素晴らしい刀子であるが、横島は少し困ったように冷静になるようにと口にした。
高畑にしろ刀子にしろどうしても横島と相手をすると集中して肩に力が入ってしまう。
それは必ずしも悪くはないが、何事も過ぎれば毒となり弱点になる。
その点美神令子は天才的だったなと横島は刀子の野太刀を受けつつ思う。
令子の場合は戦い方にばかり焦点が集まりがちだったが、その真意は戦い方を自在に考え実行できる精神面にあったのだと横島は考えていた。
まあアシュタロス相手にヘッドバットをかますなんて彼女以外には考えられないのかもしれないが。