二年目の春・2

その後白いハニワ兵の誕生会をしようということになり、一同は異空間アジト内の玄関口であり馴染みとなりつつあるハワイ諸島のホテルで宴会をすることになった。

タマモがみんなに会わせたいと言い出したので、急遽この場に来てない刀子・高畑・雪広さやか・エヴァ・チャチャゼロ・茶々丸に刹那まで呼ばれて来ている。

正直刀子と高畑は今夜は魔法協会の訓練で忙しいのだが、元の時間に帰すからと言われると断る理由は特になかった。


「基本的にはゴーレムや式神を発展させたようなものなのよね。 次元は違うけど。」

急に呼ばれて横島がまた何かを始めたと聞き少し不安げであった刀子だが、内容は凄いようで意外に普通だけど実はとんでもないことだと微妙な評価をしている。

元々ハニワ兵が非科学の技術により生まれたのならば人工生命のようなものなのは魔法を知らなくても簡単に想像は出来るので特に驚くことではないが、刀子はその情報と一緒に少女達から聞かされたバベルの塔の方は驚きであった。

前々から断片的にいろいろ聞かされてはいたが、横島がアシュタロスの技術を受け継ぎ使えてることの意味を少女達の半数は理解してないと感じていた。

まあ理解したところで今更感もあり特に変わりそうもないが。


「なんか芸能人みたい!」

一方本日の主役である白いハニワ兵は少女達とあれこれと交流していたが、途中からやって来た報道関係者のような格好をしたハニワ兵達にも囲まれ写真や映像を取られていた。

その姿は芸能人のようで何事だと少女達もざわめくが、自分達の新しい仲間が出来たと聞いたハニワ兵達が取材すべく集まって来たらしい。


「なんか朝倉を思い出すわね。」

「ハニワさんも人間もスクープが欲しい人は同じなんでしょうか?」

何台ものカメラのフラッシュが光る中テレビカメラらしき物も回しており、中には生中継までしてるハニワ兵達もいるようだ。

少女達はそんなハニワ兵達に報道部の友人の姿を思い出して、人間もハニワ兵達もあまり変わらないなと妙な納得をしてしまう。


「えっ? ウチ? 別にええけど。」

そして何故か白いハニワ兵ばかりではなく木乃香も報道関係ハニワ兵達に囲まれていた。

なんで自分のところにと首を傾げる木乃香であるが、実は最近異空間アジトでは先月の木乃香の誕生会でタマモやハニワ兵が撮影した映像や写真がテレビや雑誌で取り上げられていてサムライマスターの娘として結構有名になりつつある。

そもそも異空間アジトだと人間は珍しいのでそれだけでも取材対象になるのだが。


「そっか~、タマちゃんがお母さんなのかぁ。」

「産みの親ってより創造主に近いけどな。」

その後ハニワ兵達の取材によりタマモがお母さんとして紹介されたことで、少女達はタマモが早くも一児の母かと不思議そうにしていた。


「っていうかここまで出来るのに話せるように出来ないの?」

ちなみにハニワ兵達と横島以外は意思疏通が基本はジェスチャーかスケッチブックに文字を書くことで行っているが今日の報道関係者のハニワ兵達は自動翻訳用のアイテムを持参していて、同時通訳のようにハニワ兵の言葉が文字として現れるスマホのようなタブレットを首からぶら下げている。


「元々ここに入れた人間なんて限られてたからなぁ。 ハニワ兵達に日本語を話させるか、みんなにハニワ兵達の意思疏通を理解させるアイテムを作るのかどっちがいいかな?」

ちなみに自動翻訳アイテムは昔からあったが、元々は異空間アジトに入れた数少ない人間である令子達との意思疏通の為にと小数のみ作っただけなので普及してない。

ハニワ兵は先程産み出したようにアシュタロスの技術による擬似的な生命であるため人間と会話可能な術式を組み込むことも不可能ではないし、逆に少女達にハニワ兵の言語というか意思疏通の思念を理解させるアイテムを作ることも不可能ではない。

特にハニワ兵と仲がいい美砂達はいい加減話が出来るようになりたいらしく、彼女達の要望で横島は意思疏通の方法をかんがえることにする。


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